第6章 零落の楽園
アガスティアタワー、異空間。
時間軸の干渉により、デミ・ファルシ=アダムが無限に再生する―――はずだった場所。
ノエルの記憶する限り、その輪廻はセラの叱責によって断ち切られた。
だが、今は。
「ホープ、今何回目だ!?」
「13回目ですよ、これ!」
「…くそっ」
肩で息をしながらエクレールが毒づく。
「…父さんが倒した時は、セラさんがホープさんに怒ったんだよな?」
「ええ、それを見た僕が、デミ・ファルシ計画の中止を決めたんです」
「けど、ここは『造られることが確定した歴史』の中なんだろ?」
レインの指摘に、全員の顔が曇る。
うすうすわかってはいたことだった。造られたことが確定している以上、前の手は使えない。
だとしたら―――
「こいつを倒すことは、できない?」
エクスの呟きに、アダムは沈黙を以て返した。
最初の頃は申し訳程度に抵抗していたアダムも、最早動くことすらやめている。
罠と疑っていたエクレールやノエルも、流石に気づき始めていた。
「…本当に、消えたいのか、こいつは」
「けれど、こうやって再生は続けてる」
「続けているのは、アダム自身の意思なのか、それとも……」
「『コクーンを浮かせるために存続し続ける』という命令によるものなのか」
ホープが苦い顔でアダムを見る。
「これ、最悪俺たちも脱出できずに、死ぬまでここにいる羽目になるんじゃないか?」
「通信も繋がらないしな…」
先ほどから端末を弄っていたエクレールが舌打ちする。
「……詰んだか?」
エクスの呟きが、全てを言い表していた。
睨み合う中、ルミナがアダムへと歩み寄る。
「ルミナ…?」
「…何とか、してみる」
歩を進めるルミナを止めようとしたエクレールを、レインが止める。
「レイン!」
「伯母さん、信じてやってくれねぇか」
「だが…」
「アタシはアレで助けられた。多分、今度も…」
歩み寄ったルミナが、そっとアダムに触れる。
「―――そっか。貴方は、とっくに―――」
その手のひらから、エトロの印が顕れ、輝く。
輝きが収まった後、ルミナはゆっくりと振り返った。
「…もう、大丈夫」
「大丈夫って、お前―――」
何をした?そう問おうとしたエクレールを、激震が襲う。
「なんだ!?」
「…あ、そっか。もうこの空間を保てなくなったから、崩壊するんだ!」
「お前、そういうことは先に言えよ!」
「今気づいたんだって!」
抗議するルミナを、アダム本体のかぎ爪がそっとかき抱く。
同時に、エクレールたちの傍に触肢が近寄った。
「…乗れっつってんのか?」
「本当に?」
訝しむノエルを他所に、スノウが一番乗りでよじ登る。
「…やるしかなければ、やるだけか」
「まさか、こんなことになるとは思いませんでしたね」
こめかみを押さえたエクレールとホープが続く。レインもスノウに引き上げられながら触肢に乗った。
「父さん、急ごう」
「…ああ」
まだ首を捻りながらも、ノエルたちもよじ登る。
全員が乗ったことを確認したのか、アダムは触肢を率いて崩壊する足場から飛び立った。
時間軸の干渉により、デミ・ファルシ=アダムが無限に再生する―――はずだった場所。
ノエルの記憶する限り、その輪廻はセラの叱責によって断ち切られた。
だが、今は。
「ホープ、今何回目だ!?」
「13回目ですよ、これ!」
「…くそっ」
肩で息をしながらエクレールが毒づく。
「…父さんが倒した時は、セラさんがホープさんに怒ったんだよな?」
「ええ、それを見た僕が、デミ・ファルシ計画の中止を決めたんです」
「けど、ここは『造られることが確定した歴史』の中なんだろ?」
レインの指摘に、全員の顔が曇る。
うすうすわかってはいたことだった。造られたことが確定している以上、前の手は使えない。
だとしたら―――
「こいつを倒すことは、できない?」
エクスの呟きに、アダムは沈黙を以て返した。
最初の頃は申し訳程度に抵抗していたアダムも、最早動くことすらやめている。
罠と疑っていたエクレールやノエルも、流石に気づき始めていた。
「…本当に、消えたいのか、こいつは」
「けれど、こうやって再生は続けてる」
「続けているのは、アダム自身の意思なのか、それとも……」
「『コクーンを浮かせるために存続し続ける』という命令によるものなのか」
ホープが苦い顔でアダムを見る。
「これ、最悪俺たちも脱出できずに、死ぬまでここにいる羽目になるんじゃないか?」
「通信も繋がらないしな…」
先ほどから端末を弄っていたエクレールが舌打ちする。
「……詰んだか?」
エクスの呟きが、全てを言い表していた。
睨み合う中、ルミナがアダムへと歩み寄る。
「ルミナ…?」
「…何とか、してみる」
歩を進めるルミナを止めようとしたエクレールを、レインが止める。
「レイン!」
「伯母さん、信じてやってくれねぇか」
「だが…」
「アタシはアレで助けられた。多分、今度も…」
歩み寄ったルミナが、そっとアダムに触れる。
「―――そっか。貴方は、とっくに―――」
その手のひらから、エトロの印が顕れ、輝く。
輝きが収まった後、ルミナはゆっくりと振り返った。
「…もう、大丈夫」
「大丈夫って、お前―――」
何をした?そう問おうとしたエクレールを、激震が襲う。
「なんだ!?」
「…あ、そっか。もうこの空間を保てなくなったから、崩壊するんだ!」
「お前、そういうことは先に言えよ!」
「今気づいたんだって!」
抗議するルミナを、アダム本体のかぎ爪がそっとかき抱く。
同時に、エクレールたちの傍に触肢が近寄った。
「…乗れっつってんのか?」
「本当に?」
訝しむノエルを他所に、スノウが一番乗りでよじ登る。
「…やるしかなければ、やるだけか」
「まさか、こんなことになるとは思いませんでしたね」
こめかみを押さえたエクレールとホープが続く。レインもスノウに引き上げられながら触肢に乗った。
「父さん、急ごう」
「…ああ」
まだ首を捻りながらも、ノエルたちもよじ登る。
全員が乗ったことを確認したのか、アダムは触肢を率いて崩壊する足場から飛び立った。