第1章 過世の追走

「お姉ちゃん、ルミナちゃん、いらっしゃい!」
夏季休暇に合わせて、海岸都市へと旅行に来た姉と姪をセラは出迎えた。
「久しぶりだな、セラ。世話になる」
「セラ叔母さん、こんにちは!レイン姉とエクスは?」
「二人なら海の方に…「わかった!」…あっ」
荷物をほったらかして駆け出していく姪を呼び止めようにも、既にその姿は扉の向こう。
「…悪い、セラ。追ってくる。荷物は置いておいてくれ」
「うん、わかった。お茶用意して待ってるね」
苦笑いする妹に肩をすくめ、エクレールは扉に手をかけた。


「レイン姉!エクス!」
「おう、ルミナか!はえーな!」
「……早すぎないか?」
疑いの眼差しを向けるエクスにギクリとし、ルミナは頬を掻いて目を逸らす。
「えっとぉ…電車がたまたま早く着いたんだよ」
「嘘つけ。全部ほっぽりだしてこっち来たんだろ」
図星を突かれて固まるルミナに、エクスはやれやれと首を振った。
「まぁまぁ、そんだけうちらに会いたかったってこったろ?可愛い妹分じゃねぇか、なぁ?」
「そういうわけにもいかないだろ、ほら」
エクスが視線を向けた先には、駆け寄ってくるエクレールの姿。
「怒られてこい」
「はぁい………」
しょぼん。肩を落として項垂れるルミナに、エクスは呆れ、レインは軽やかに笑った。
「全く、お前は…!」
「まーまーまー!そんなに怒ってやらないでくれよ、伯母さん!」
叱ろうと声を上げるエクレールの前に、レインが割って入る。
「レインか……また無駄にデカくなったな」
「親父譲りだからな!」
既に自分の身長を越している姪を見上げ、エクレールは額を抑えながらため息を吐いた。
「…とりあえず、ルミナ。遊ぶなら荷解きを終わらせてからにしろ」
「はーい」
「アタシも手伝ってやるからさ。ほら、エクスも行くぜ!」
「俺は強制か?」
文句を言いつつも、手伝わないとは言わない優しい幼馴染に、ルミナは微笑を浮かべる。

ーーー見つけたぞーーー

「……ん?誰か何か言った?」
「ンあ?」
ルミナの声に、レインは訝し気に首を捻る。
「どうした?早く行くぞ」
「あ、置いてかないでよ!」
首を傾げていたルミナは、慌てて皆の背中を追った。
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