第5章 激震の世界

「他の場所は突入さえできていない状態でね。ギアを供与したこの部隊は、使い方を心得た隊長の指揮もあって、辛うじて突入には成功したそうだ」
「辛うじてってのは、穏やかじゃないな?」
欠伸を漏らし始めたスノウ・レイン・ルミナをジト目で見て、エクスは問う。
「ああ。内部で軍用獣・シ骸に遭遇し、敵わず撤退。その際、接触してきた擬人端末から最低限の情報は得た…ということだ」
「擬人端末?」
「未来ではデュプリケートと呼ばれるモノだそうだ。知っているか?」
「ええ」「はい」「ああ」「クポ」
実際目にしたことのあるホープ、セラ、ノエル、モーグリが頷く。
「では続けよう。そのデュプリケートによれば、シ界内に展開された空間はアガスティアタワーという場所だそうだ」
「アガスティアタワー…」
セラとノエルが顔を見合わせる。
「『矛盾に潰えたはずの、存在しえぬ機構の地。足を踏み入れるべきではない』…そう伝えられたと、報告書にある」
「矛盾…パラドクスだよな?存在しえぬ機構ってのは…」
「デミ・ファルシ=アダム…だよね」
「ファルシだと?」
眉を跳ね上げたレインズの後ろで、リグディが頭を掻く。
「それ、アレだろ?コクーンを再度浮上させるために、人工のファルシを作ろうって計画で、結果的には凍結されたってやつ」
「ええ。未来からセラさんに叱られまして。ご迷惑をおかけしました」
セラに頭を下げるホープ。セラは苦笑いと共に手を振った。
「それがなんでまた…」
混沌カオスに沈められた歴史を、奴が利用している…?」
「そんなところだろうな」
ライトニングが鼻を鳴らす。
「出発は?」
「君らの分のギアの用意もあるからね。明朝でどうだ?」
「わかりました、お願いします」
ホープは頷いて、ふと黙りこくっている娘に視線を向けた。
「………スー……」
「はは、ガキには早かったかね」
気付いたリグディが肩をすくめた。
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