Love than to be loved...and
名前を変える
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お互いに歳も近く、若く美しい二人に、それ以外にかける言葉が見つからない。
心からそう思った。そう思ったはずなのだが、胸はきりりと痛む。
実の弟のような、大切な利吉。
何のしがらみも持たない彼なら、きっと祥子と一緒に幸せになれる。祥子を幸せにしてくれる。
それも本心なのに、なぜこうも胸が痛むのだろう。
胃ではなく、胸が、痛い。
その時、ぱち、と。こちらを向いた利吉と目が合った。
あっと思う間もなく利吉の視線は祥子へ戻り、そして、自分の口元を指して何事かを伝える。
頷いたらしい祥子は、そっと利吉の唇に紅を差した。紅筆ではなく、その指で。
土井の胸の奥で、ちりとかすかな火花が散る。
これまでの胸の痛みとは違う、抱いたことのない感情。
祥子が利吉から目を離した隙に、利吉は再びこちらを見た。
その表情には、優越感に満ちた笑みが浮かんでいる。
ああ、これは牽制だ。
なんて子供っぽく、なんて利吉らしいのだろうか。
普段であればそれで済ませるのだが、この時ばかりはそうもいきそうになかった。
大切な利吉と争わなければいけないのなら、こちらが身を引こうと思ったのだが。
「あら、土井先生」
何も知らない祥子が、こちらを見上げて温和に微笑む。
利吉はというと、不満を隠さずにむくれた表情でこちらを見ている。というか、睨んでいる。
「楽しそうな様子が見えてね。利吉くんの女装の時の相談事?私も少し聞いていこうかな」
身を引こうと思った。それが、できなかった。
子供っぽいのは、こちらも同じではないか。
祥子が利吉へ触れた時に、胸の奥で弾けた火花。あれは嫉妬だ。
大切で、近しい存在である利吉だからこそ、譲れない気持ちがある。
「……私が参戦しても、構わないよね?利吉くん」
その言葉の意味を、彼なら理解するだろうと思った。
利吉のことだ。逃げるなんてことは、有り得ない。
利吉は、ぐっと奥歯を噛んだ。
「負けませんから……!」
予想どおりと思ったのも、自ら悩みの種を蒔いてしまったと思ったのも、どちらも本当。
しかし、負けられないのはこちらも同じ。
どうしても、祥子の笑顔が向く先にいるのは自分でありたい。祥子が触れる男は、自分だけであってほしい。
我ながら、重症だなと思う。
苦しくて痛くて、ちりちりと熱い。それなのに、どうしようもなく心を満たす祥子への想い。
これが恋だというなら、甘んじて落ちよう。どこまでも。
叶うのなら、どうか落ちた先で祥子の心に触れることができますように。
心優しく、必死で生きようとする美しい祥子の心に。
Love than to be loved...and/了
心からそう思った。そう思ったはずなのだが、胸はきりりと痛む。
実の弟のような、大切な利吉。
何のしがらみも持たない彼なら、きっと祥子と一緒に幸せになれる。祥子を幸せにしてくれる。
それも本心なのに、なぜこうも胸が痛むのだろう。
胃ではなく、胸が、痛い。
その時、ぱち、と。こちらを向いた利吉と目が合った。
あっと思う間もなく利吉の視線は祥子へ戻り、そして、自分の口元を指して何事かを伝える。
頷いたらしい祥子は、そっと利吉の唇に紅を差した。紅筆ではなく、その指で。
土井の胸の奥で、ちりとかすかな火花が散る。
これまでの胸の痛みとは違う、抱いたことのない感情。
祥子が利吉から目を離した隙に、利吉は再びこちらを見た。
その表情には、優越感に満ちた笑みが浮かんでいる。
ああ、これは牽制だ。
なんて子供っぽく、なんて利吉らしいのだろうか。
普段であればそれで済ませるのだが、この時ばかりはそうもいきそうになかった。
大切な利吉と争わなければいけないのなら、こちらが身を引こうと思ったのだが。
「あら、土井先生」
何も知らない祥子が、こちらを見上げて温和に微笑む。
利吉はというと、不満を隠さずにむくれた表情でこちらを見ている。というか、睨んでいる。
「楽しそうな様子が見えてね。利吉くんの女装の時の相談事?私も少し聞いていこうかな」
身を引こうと思った。それが、できなかった。
子供っぽいのは、こちらも同じではないか。
祥子が利吉へ触れた時に、胸の奥で弾けた火花。あれは嫉妬だ。
大切で、近しい存在である利吉だからこそ、譲れない気持ちがある。
「……私が参戦しても、構わないよね?利吉くん」
その言葉の意味を、彼なら理解するだろうと思った。
利吉のことだ。逃げるなんてことは、有り得ない。
利吉は、ぐっと奥歯を噛んだ。
「負けませんから……!」
予想どおりと思ったのも、自ら悩みの種を蒔いてしまったと思ったのも、どちらも本当。
しかし、負けられないのはこちらも同じ。
どうしても、祥子の笑顔が向く先にいるのは自分でありたい。祥子が触れる男は、自分だけであってほしい。
我ながら、重症だなと思う。
苦しくて痛くて、ちりちりと熱い。それなのに、どうしようもなく心を満たす祥子への想い。
これが恋だというなら、甘んじて落ちよう。どこまでも。
叶うのなら、どうか落ちた先で祥子の心に触れることができますように。
心優しく、必死で生きようとする美しい祥子の心に。
Love than to be loved...and/了
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