First Light.
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「そうかもね。だとしても、そう簡単に敷地内には入れないわよ。防犯で門には鍵を掛けたし、妖用の結界も張ってあるんだから」
このようなことには慣れている。
夏目を落ち着かせて座らせた時、玄関のチャイムが鳴った。
ニャンコ先生が驚いてピュッと飛び上がる。
ピンポーーン—————
乾いた電子音が、もう一度鳴る。
一人であれば居留守を使ってしまうのだが、今は客人である夏目に迷惑がかかってはいけない。
「ちょっと見てくる。夏目君とニャンコ先生は部屋から出ないで。東雲は、2人に怖いことが無いようにここにいて」
てきぱきと指示を出し、東雲に目配せをしてから部屋を出た。
インターホンのあるダイニングへ移動する数秒の間に、またチャイムが鳴った。
門の向こうの人物が祓い人だとすれば、祖父が不在であるということも調べてあるはず。
屋敷には咲耶しかいない。ならば早く出てこいと、そう急かされているようで不愉快な気分になった。こんな気分は、嫌な意味で懐かしい。
ダイニングの壁に設置されているインターホンのボタンを押し、モニタに映されたのは40代くらいの中肉中背の男だった。
「どちら様でしょうか」
声をかけると、途端に男の顔に笑みが浮かぶ。
しかし、直前までの仏頂面を見られていないとでも思ったのか。セールスマンでももう少しうまく営業用の顔を作るだろう。
『△△町で祓い屋をしている三上と申します。本日はお嬢様にお話があってまいりました』
△△町の三上といえば、風聞にて名前だけは知っている。もとは妖をコレクションして愛でるだけの変態だったようだが、欲が出て"祓い人"としても活動するようになったらしい。
しかし、祓い人としての実績は無いため、無節操に有力者の勧誘を行っているとは聞いたが、まさか神職をも勧誘しようというのか。
一瞬の予感は見事に的中した。
三上という男は、揉み手でもしそうな勢いでニコニコと笑い続ける。
『そちらにいらっしゃるのは神崎咲耶様、ご本人様ですね?』
祖父の不在時にピンポイントで訪ねてくるのならば、在宅の人間が誰であるかも既に知っているはず。
「だったら何なんです?祓い屋の用件など伺わなくても分かりますが、一応聞いて差し上げますよ」
相手が一般人ではないのなら、容赦などはしてやらない。
小娘の高飛車な言い方が気に食わなかったのだろう。モニタの向こうで、三上の笑顔が引き攣った。
『では、単刀直入に申し上げますが、我々にお力添え願えませんでしょうか。我々と一緒に人に害を及ぼす悪しき妖を討って、人ではないもの達の世界を整えましょう』
一体何を言っているのだろうと思う。そんなことは人間のするべきことではないし、妖の世界の頂点にでも立つつもりなら、そもそもその考えが危険だ。
真っ当な祓い人ではないこの男が、界隈でも浮いた存在であることがよく分かる。
もしかしたら、自身でも自覚しているからこそ有力な術師に声をかけて回っているのかもしれない。
咲耶ならば神職になりたての見習いなため、手っ取り早く内に引き込めると思ったのか。
名家の傘下にすら入れてもらえなかったであろう異端者————否、変人が。
「お断りしますよ。神崎は祓い屋に加担しない。お引取りを」
これまでに、何十回、何百回と口にしてきた言葉だ。さすがにうんざりする。
インターホンを切られる気配を察知したのか、モニタの向こうの三上は徐ろに身を乗り出してきた。
『報酬なら、咲耶さんのお給料の何倍もお出ししますよ』
ああ、これだから祓い人は嫌いなのだ。
損得と金によって動き、そこに関わる人間も妖も道具同然に扱う。
何より不快なのは、神職という道を選んだ咲耶の信念やプライドに、平気で泥を投げつけてくるところだ。
「外に白い小鬼がいたはずですが」
夏目が来ているということが理性となり、表に出かけた怒りの炎は、かろうじて抑えることが出来た。
深呼吸をして話題をぶった斬ると、モニタの向こうから『えっ』という戸惑いの声が聞こえた。
『あ……ええ!白いお面の白い小鬼ですね!木の枝に腰を下ろして、うちの式をじっと見ていましたよ。咲耶さんの式ですか?それともお祖父様の?』
そんなにカメラに近付かなくとも聞こえているし、見えているのに。そして、簡単な質問にはYESかNOだけで答えてくれればいいのに。
どこまでも不愉快な男だ。
「そちらの式、喰われていないといいですね」
もう、これ以上話すことは何も無い。
このようなことには慣れている。
夏目を落ち着かせて座らせた時、玄関のチャイムが鳴った。
ニャンコ先生が驚いてピュッと飛び上がる。
ピンポーーン—————
乾いた電子音が、もう一度鳴る。
一人であれば居留守を使ってしまうのだが、今は客人である夏目に迷惑がかかってはいけない。
「ちょっと見てくる。夏目君とニャンコ先生は部屋から出ないで。東雲は、2人に怖いことが無いようにここにいて」
てきぱきと指示を出し、東雲に目配せをしてから部屋を出た。
インターホンのあるダイニングへ移動する数秒の間に、またチャイムが鳴った。
門の向こうの人物が祓い人だとすれば、祖父が不在であるということも調べてあるはず。
屋敷には咲耶しかいない。ならば早く出てこいと、そう急かされているようで不愉快な気分になった。こんな気分は、嫌な意味で懐かしい。
ダイニングの壁に設置されているインターホンのボタンを押し、モニタに映されたのは40代くらいの中肉中背の男だった。
「どちら様でしょうか」
声をかけると、途端に男の顔に笑みが浮かぶ。
しかし、直前までの仏頂面を見られていないとでも思ったのか。セールスマンでももう少しうまく営業用の顔を作るだろう。
『△△町で祓い屋をしている三上と申します。本日はお嬢様にお話があってまいりました』
△△町の三上といえば、風聞にて名前だけは知っている。もとは妖をコレクションして愛でるだけの変態だったようだが、欲が出て"祓い人"としても活動するようになったらしい。
しかし、祓い人としての実績は無いため、無節操に有力者の勧誘を行っているとは聞いたが、まさか神職をも勧誘しようというのか。
一瞬の予感は見事に的中した。
三上という男は、揉み手でもしそうな勢いでニコニコと笑い続ける。
『そちらにいらっしゃるのは神崎咲耶様、ご本人様ですね?』
祖父の不在時にピンポイントで訪ねてくるのならば、在宅の人間が誰であるかも既に知っているはず。
「だったら何なんです?祓い屋の用件など伺わなくても分かりますが、一応聞いて差し上げますよ」
相手が一般人ではないのなら、容赦などはしてやらない。
小娘の高飛車な言い方が気に食わなかったのだろう。モニタの向こうで、三上の笑顔が引き攣った。
『では、単刀直入に申し上げますが、我々にお力添え願えませんでしょうか。我々と一緒に人に害を及ぼす悪しき妖を討って、人ではないもの達の世界を整えましょう』
一体何を言っているのだろうと思う。そんなことは人間のするべきことではないし、妖の世界の頂点にでも立つつもりなら、そもそもその考えが危険だ。
真っ当な祓い人ではないこの男が、界隈でも浮いた存在であることがよく分かる。
もしかしたら、自身でも自覚しているからこそ有力な術師に声をかけて回っているのかもしれない。
咲耶ならば神職になりたての見習いなため、手っ取り早く内に引き込めると思ったのか。
名家の傘下にすら入れてもらえなかったであろう異端者————否、変人が。
「お断りしますよ。神崎は祓い屋に加担しない。お引取りを」
これまでに、何十回、何百回と口にしてきた言葉だ。さすがにうんざりする。
インターホンを切られる気配を察知したのか、モニタの向こうの三上は徐ろに身を乗り出してきた。
『報酬なら、咲耶さんのお給料の何倍もお出ししますよ』
ああ、これだから祓い人は嫌いなのだ。
損得と金によって動き、そこに関わる人間も妖も道具同然に扱う。
何より不快なのは、神職という道を選んだ咲耶の信念やプライドに、平気で泥を投げつけてくるところだ。
「外に白い小鬼がいたはずですが」
夏目が来ているということが理性となり、表に出かけた怒りの炎は、かろうじて抑えることが出来た。
深呼吸をして話題をぶった斬ると、モニタの向こうから『えっ』という戸惑いの声が聞こえた。
『あ……ええ!白いお面の白い小鬼ですね!木の枝に腰を下ろして、うちの式をじっと見ていましたよ。咲耶さんの式ですか?それともお祖父様の?』
そんなにカメラに近付かなくとも聞こえているし、見えているのに。そして、簡単な質問にはYESかNOだけで答えてくれればいいのに。
どこまでも不愉快な男だ。
「そちらの式、喰われていないといいですね」
もう、これ以上話すことは何も無い。