It’s raining cats and dogs.
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思わず身構えるが、的場が自分達に気付いたのを確認すると、小鬼達はふうっと煙のように消えてしまった。
脅しのようなものだろうか。
どこにいても、その行いを監視出来るのだと。いつでも、その首に爪を立てられるのだと。そう言っているのかもしれない。
あの大鬼達のことは、調べても何も分からなかった。
ただ、小鬼としての姿なら、2年程前から神崎家の周辺で目撃されていたらしい。
2年前に、一体何があったのだろう。十二天将を蘇らせたという噂と関係があるのか。
もう一度、鳥居を見上げてみる。
大にも小にも姿を変えられるのがあの鬼達だとしたら、大鬼の姿が本当の姿なのかさえ定かではない。
いつの時代かは分からないが、かつては鬼でありながら神の如く祀られ、人々の信仰を集めた鬼神の類なのかもしれない。
神格に次ぐであろう妖達を従える咲耶に、"視える者"としての格の違いが垣間見え、そっと首筋が冷たくなる。
しかし、恐れや劣等感を抱いているばかりではいられないのだ。
どのようにして鬼達と出会い、どのようにして彼らを屈伏させ、視える者としてどう過ごしているのか。
今や、欲しているのは咲耶の力ではなく咲耶に関する情報となっていた。たとえ、鬼神に目を付けられようと、咲耶のことが知りたい。
我ながら、奇妙な執着心だった。
――――――
咲耶と出会ってからというもの、会合が退屈に感じるようになってしまった。
彼女程強く関心を引かれる人間は、ここにはいない。
何故こうも咲耶のことばかり考えてしまうのだろう。考え悩まなければいけないことは、他にも山程あるのに。
「△△の林に封じられていた妖、新参の術師が式にしようとして失敗したらしいぞ」
身が入らないなりに会合会場を歩き回っていると、何気無い会話が耳に入ってきた。
騒がしい会場内でその会話だけが気になったのは、そこに出てきた地名が神崎邸の近隣だったからだ。
そっと立ち止まり、耳を傾ける。
「新参がやりがちなことだなぁ。それにしても、あそこに封じられてたのって、まあまあ厄介な奴じゃなかったか?」
「そうなんだよ。それを逃がしちまったっていうんだから……近いうち、大家が出張ることになるんじゃないかなあ」
功を焦ったのか、手に負える程の妖かどうかも調べず踏み込むとは、愚かだと思う。
しかし、急にそわそわと落ち着かない気持ちに駆られた。
祓い人達の会話はそこで終わってしまい、逃げた妖が捕まっていないことだけが明確になっている。だからこそ、不安になるのだ。
ふと、唐突に疑問が浮かぶ。
「不安……俺が……?」
神崎邸の近辺に封じられていた妖が逃げ、それは即ち咲耶にも危害が及ぶかもしれないということ。それが、こんなにも心をざわつかせるというのか。
だとしたら、何故。
咲耶には、強い大鬼達がついている。そう自分に言い聞かせても、駄目だった。
会場を飛び出す際に擦れ違った拓磨に、何事か声を掛けられた気がするが、今はどうでもいい。
逃げた妖がどこに行ってどうなったのか、咲耶が危ない目に遭ってはいないか。それらをこの目で確かめない限りは、心のざわつきを鎮めることは出来ない。
その思考の片隅に、どうか無事でいてほしいと祈る自分もいた。
こうも感情に突き動かされるのは、思えば初めてかもしれない。
脅しのようなものだろうか。
どこにいても、その行いを監視出来るのだと。いつでも、その首に爪を立てられるのだと。そう言っているのかもしれない。
あの大鬼達のことは、調べても何も分からなかった。
ただ、小鬼としての姿なら、2年程前から神崎家の周辺で目撃されていたらしい。
2年前に、一体何があったのだろう。十二天将を蘇らせたという噂と関係があるのか。
もう一度、鳥居を見上げてみる。
大にも小にも姿を変えられるのがあの鬼達だとしたら、大鬼の姿が本当の姿なのかさえ定かではない。
いつの時代かは分からないが、かつては鬼でありながら神の如く祀られ、人々の信仰を集めた鬼神の類なのかもしれない。
神格に次ぐであろう妖達を従える咲耶に、"視える者"としての格の違いが垣間見え、そっと首筋が冷たくなる。
しかし、恐れや劣等感を抱いているばかりではいられないのだ。
どのようにして鬼達と出会い、どのようにして彼らを屈伏させ、視える者としてどう過ごしているのか。
今や、欲しているのは咲耶の力ではなく咲耶に関する情報となっていた。たとえ、鬼神に目を付けられようと、咲耶のことが知りたい。
我ながら、奇妙な執着心だった。
――――――
咲耶と出会ってからというもの、会合が退屈に感じるようになってしまった。
彼女程強く関心を引かれる人間は、ここにはいない。
何故こうも咲耶のことばかり考えてしまうのだろう。考え悩まなければいけないことは、他にも山程あるのに。
「△△の林に封じられていた妖、新参の術師が式にしようとして失敗したらしいぞ」
身が入らないなりに会合会場を歩き回っていると、何気無い会話が耳に入ってきた。
騒がしい会場内でその会話だけが気になったのは、そこに出てきた地名が神崎邸の近隣だったからだ。
そっと立ち止まり、耳を傾ける。
「新参がやりがちなことだなぁ。それにしても、あそこに封じられてたのって、まあまあ厄介な奴じゃなかったか?」
「そうなんだよ。それを逃がしちまったっていうんだから……近いうち、大家が出張ることになるんじゃないかなあ」
功を焦ったのか、手に負える程の妖かどうかも調べず踏み込むとは、愚かだと思う。
しかし、急にそわそわと落ち着かない気持ちに駆られた。
祓い人達の会話はそこで終わってしまい、逃げた妖が捕まっていないことだけが明確になっている。だからこそ、不安になるのだ。
ふと、唐突に疑問が浮かぶ。
「不安……俺が……?」
神崎邸の近辺に封じられていた妖が逃げ、それは即ち咲耶にも危害が及ぶかもしれないということ。それが、こんなにも心をざわつかせるというのか。
だとしたら、何故。
咲耶には、強い大鬼達がついている。そう自分に言い聞かせても、駄目だった。
会場を飛び出す際に擦れ違った拓磨に、何事か声を掛けられた気がするが、今はどうでもいい。
逃げた妖がどこに行ってどうなったのか、咲耶が危ない目に遭ってはいないか。それらをこの目で確かめない限りは、心のざわつきを鎮めることは出来ない。
その思考の片隅に、どうか無事でいてほしいと祈る自分もいた。
こうも感情に突き動かされるのは、思えば初めてかもしれない。