夢
トントントン
私は階段を上り、二階へ向かう。
一番奥の部屋が確か未来の部屋だったはず。未来の部屋のドアの前に立ってノックを二回した。
コンコン
返事はない。
「未来、入るよ」
もちろん、返答もない。
ガチャ
未来の部屋は綺麗に整理されていた。壁には好きな音楽アーティストのポスター、勉強机には昨日の宿題がクリアファイルに入れられている。ベッドには未来が寝ていた。
普通の人なら、寝ている間はいびきをかいたり、寝返りを打ったりするはずなので、シーツや掛け布団が少なからず動く。しかし、未来は違った。
動いた形跡もなく、綺麗な鼻呼吸でまさに理想の寝方。ベッドの方に目をやると、ベッドの近くに目覚まし時計やスマートフォンを置ける小さな机が置いてあった。その上にはスマートフォンと水の入ったコップ、そしてあの『薬』があった。
『薬』をすかさず手に取り、用法・用量の欄を見る。ネットで調べたり未来から聞いてはいたが、まだ実物を見ていなかった。
これは…
そこにはこう書かれていた。
『18歳未満の服用を禁止致します。18歳未満の方が服用すると、眠りから覚めることはできませんので、ご注意ください。』
ネットで見たあの文字化け部分はこれだったんだと確信した。
眠りから覚めない…?てことは…未来は……
そう考えていると、部屋の外からノックが聞こえた。
コンコン
ガチャ
「実夢ちゃん…未来が起きないの……。何度揺すっても、頰を叩いても………」
「そう、みたいですね。念のため、病院で検査した方がいいのかもしれません。」
未来のお母さんは少し動揺していた。当然だろう。してはいけないことを未来はやってしまったのだから……。
「とりあえず、今日の分の宿題や知らせの紙は机の上に置いておきますね」
「ありがとうね」
未来とは小学校以来の仲で風邪や熱の時、失恋した時など色々な時を一緒に過ごした。お互いの悩み事や不安なことを気軽に話せる仲だ。だから、未来のお母さんも私のことを信頼してくれている。そういう気持ちから出た言葉なんだろう。
「いえいえ、私と未来の仲なので。私も何かできることはないか探してみます。」
「本当にありがとうね」
「もしかしたら、睡眠病かもしれないのでそれは検査してもらわないと結果はどうなのかわからないので。とりあえず、病院が先ですよ」
未来のお母さんは、「そうね」という顔をして私を送ってくれた。
未来の家を出て未来のお母さんにお辞儀をし、自分の家の方向へ歩き出す。
睡眠病。私の口から咄嗟に出た病名。正式名称は『眠れる森の美女症候群』別名、『クライン・レビン症候群』。
未来が『好きな夢を見れる薬』の話題を話してきた2週間前にネットで話題になった話がこの『睡眠病』だった。
この睡眠病は100万人に1人しか発症しない睡眠障害であるとされる。自制が効かず、20時間を超える睡眠を繰り返してしまうのが特徴。
ただ、未来がこれに該当するかはわからない。
私自身、信じたくはないがあの『薬』のせいだと思っている。噂だし、偽物の可能性もあるからだ。ネットの情報など誰にでも作れてしまう。
色々な可能性が頭を巡る。そうして考えながら帰っていると、自宅についた。
私は階段を上り、二階へ向かう。
一番奥の部屋が確か未来の部屋だったはず。未来の部屋のドアの前に立ってノックを二回した。
コンコン
返事はない。
「未来、入るよ」
もちろん、返答もない。
ガチャ
未来の部屋は綺麗に整理されていた。壁には好きな音楽アーティストのポスター、勉強机には昨日の宿題がクリアファイルに入れられている。ベッドには未来が寝ていた。
普通の人なら、寝ている間はいびきをかいたり、寝返りを打ったりするはずなので、シーツや掛け布団が少なからず動く。しかし、未来は違った。
動いた形跡もなく、綺麗な鼻呼吸でまさに理想の寝方。ベッドの方に目をやると、ベッドの近くに目覚まし時計やスマートフォンを置ける小さな机が置いてあった。その上にはスマートフォンと水の入ったコップ、そしてあの『薬』があった。
『薬』をすかさず手に取り、用法・用量の欄を見る。ネットで調べたり未来から聞いてはいたが、まだ実物を見ていなかった。
これは…
そこにはこう書かれていた。
『18歳未満の服用を禁止致します。18歳未満の方が服用すると、眠りから覚めることはできませんので、ご注意ください。』
ネットで見たあの文字化け部分はこれだったんだと確信した。
眠りから覚めない…?てことは…未来は……
そう考えていると、部屋の外からノックが聞こえた。
コンコン
ガチャ
「実夢ちゃん…未来が起きないの……。何度揺すっても、頰を叩いても………」
「そう、みたいですね。念のため、病院で検査した方がいいのかもしれません。」
未来のお母さんは少し動揺していた。当然だろう。してはいけないことを未来はやってしまったのだから……。
「とりあえず、今日の分の宿題や知らせの紙は机の上に置いておきますね」
「ありがとうね」
未来とは小学校以来の仲で風邪や熱の時、失恋した時など色々な時を一緒に過ごした。お互いの悩み事や不安なことを気軽に話せる仲だ。だから、未来のお母さんも私のことを信頼してくれている。そういう気持ちから出た言葉なんだろう。
「いえいえ、私と未来の仲なので。私も何かできることはないか探してみます。」
「本当にありがとうね」
「もしかしたら、睡眠病かもしれないのでそれは検査してもらわないと結果はどうなのかわからないので。とりあえず、病院が先ですよ」
未来のお母さんは、「そうね」という顔をして私を送ってくれた。
未来の家を出て未来のお母さんにお辞儀をし、自分の家の方向へ歩き出す。
睡眠病。私の口から咄嗟に出た病名。正式名称は『眠れる森の美女症候群』別名、『クライン・レビン症候群』。
未来が『好きな夢を見れる薬』の話題を話してきた2週間前にネットで話題になった話がこの『睡眠病』だった。
この睡眠病は100万人に1人しか発症しない睡眠障害であるとされる。自制が効かず、20時間を超える睡眠を繰り返してしまうのが特徴。
ただ、未来がこれに該当するかはわからない。
私自身、信じたくはないがあの『薬』のせいだと思っている。噂だし、偽物の可能性もあるからだ。ネットの情報など誰にでも作れてしまう。
色々な可能性が頭を巡る。そうして考えながら帰っていると、自宅についた。