このサイトは1ヶ月 (30日) 以上ログインされていません。 サイト管理者の方はこちらからログインすると、この広告を消すことができます。

災い

キーンコーンカーンコーン
ガラ
「おはよう…!」
ハァ…ハァ…
チャイムが鳴り終わるまでになんとか教室に入り、仲の良いクラスメイトたちに朝の挨拶をした。
私が自分の席に着くと同時に担任の先生が教室に入ってきた。
ガラ
「はい、席につけ~」
先生の呼びかけでバラバラになっていたクラスメイトたちは次々に席に着く。
「朝礼を始める前に皆さんに伝えないといけないことがあります」
え、もしかして…。
嫌な予感が的中しそうな気がした。
「鈴川未来だが、今日は休みだ。おそらくしばらく休みになると思う」
そう聞くと皆は口々に言った。
「なんでですか」
「なにがあったんですか」
「病気ですか」
私は知っている気がする。きっとあの『薬』を…。
「皆、落ち着け。まだ病気と決まったわけじゃない。まだ詳細はわからんが、とりあえず検査入院とのことだ。」
そして、朝のホームルームが終わった。
そんな知らせを聞いて私は少し落ちこんだ。そんな顔をしているととある男子が話しかけてきた。
「おい、山本。どうした」
こいつは中田志朗。去年も今年も一緒のクラスで、男子の中では割りと仲が良い。共通の話題は、同じオンラインゲームをスマホでやっている。いつもは会ってゲームの楽しい会話をしていた。
けれど、今日は違う。いつも明るい私の姿を見て異変を感じたらしい。
「お前、顔色が悪いぞ。らしくねえな」
「うん。未来がいないから、それで…」
「まあ、鈴川とお前仲良いもんな。仕方ねえよ」
まだ二年間の付き合いではあるがすごく気にしてくれている。
「ありがとう」
「なんかあったら気軽に言えよ。お前がそんな顔してるとゲームも楽しくねえからな」
「フフ。なにそれ。ほんと中田ってゲームで頭いっぱいだね。」
ちょっと元気が出た。私が笑ってる顔をしてるとホッとしたように中田が見ている。
「そろそろ授業だから、移動しなきゃね」
「おう、そうだな」
未来のことはあまり考えないようにして、授業を受けることにした。
────────────────────────
放課後。
ホームルームも終わり、帰る準備をした。すると、帰ることに気づいたかのように私の席に近づいてきた。
「よお、山本。もう帰り?」
「うん」
「帰り一緒に帰る?」
「いや、未来の様子とか見たいし。心配してくれてありがとう」
「それならいいけど。気を付けて帰れよ」
────────────────────────
帰り道。
「はぁ」
一日未来のことを考えない様にしてたけど、やっぱり心配だし、『薬』のことがきになる…。
中田っも案外いい奴だし。いい友人に囲まれたな。
私は未来の家に向かって歩き続ける。
宿題とか知らせの紙を届けるついでに未来の顔を見よう。
今まで未来が私の隣からいなくなったことはなかった。それがとても新鮮で不思議な感覚だった。
そう思いをはせていると、未来の家の前に到着した。
ピンポーン
ベルを鳴らした。
ガララ
「はい」
そこに現れたのは未来のお母さんだ。
「こんにちは。今日は授業のお知らせを届けにきました」
「あら、ありがとう」
そう言うと未来のお母さんはそっと微笑んだ。
「あ、あの……、未来は…………」
「未来ならまだ2階の自室にいるわよ。様子を見てくるといいわ」
てっきりもう検査入院で病院にいると思ってたから胸をなでおろした。
「お邪魔します」
未来の家に上がり、未来の自室がある2階へ向かった。
4/4ページ
スキ