契約
日曜、休日にも関わらず制服姿にスクール鞄を持っていた。初対面のあの時でもすごく暗い顔をしていたので、きっとなにかあるんだろう。
彼女の名前は木村楓。私と同じ高校で1個上の上級生らしい。あまり聞いたことのない名前だが。
「そ、そうだったんですね?!タメ口になっちゃってすいません」
悪魔ちゃんは咄嗟に謝り、頭を下げた。
「…いいの。私はいつも見下されたり卑下される存在だから」
やはり、何か抱えているようだ。
「…?なにかあったんですか?」
「それは常にあること。見てる側は面白くても当事者は辛いってことよ」
いじめかなにかだろうか…。
そう思っていると、悪魔ちゃんは私の言わなさそうなことを言った。
「…もし、もし私にできることがあればなんでもしてあげる…!先輩の力になりたいんです…!」
木村先輩は驚いた顔をした。
「…。私にはかかわらない方がいい。身の為よ。そして、私を救える者はいない」
先輩はそういって先にスタスタと行ってしまった。もう少しのところで学校だった。
「実夢、かわるね」
悪魔ちゃんがそう言い、憑依が解けた。
『ヤハリアノ子ニハナニカアル』
『確定ダネ』
今日も1日学校生活がはじまる。
──────────────────
放課後。
さすがに入院2日目だし、未来はまだ退院できないか。少し残念。この後、未来のお見舞いに行こう。
『ダメ』『木村楓ガ先』
はぁ…と落胆してスクール鞄を持って教室を出るところに中田が話しかけてきた。
「よお、山本」
「あ、中田じゃん」
「どう、調子は…?」
相変わらず、私のことを気にしてくれている。まったく。
「うん、かなり回復はしたかな。未来も目覚めたみたいだし」
「まじか、原因はわかったのかよ」
中田が驚いた顔をして聞いてきた。
「うーん。原因不明なんだけど、身体に異常はないみたい」
ざっくりとした説明を中田にした。
「でも、本当にお前が元気になってよかったよ」
『実夢ニ気ガアルンジャナイカ?』
『ダカライツモ話シカケテクルンダ』
そんなわけないじゃない。中田はただの友達。しかも、元はネット友達だし。
「ありがとう、心配してくれて」
「いいって。友達なんだから当たり前だ」
やっぱり友達っていう認識じゃない。
「私、そろそろ帰るね」
「おう、気を付けろよ」
私は中田にバイバイと手を振り、学校を出た。
すっかり夕暮れ時。
こんな時間帯に木村先輩はいるのだろうか。
『ココカラハワタシノ時間!』
そう言うと、悪魔ちゃんは私の身体に憑依した。
そうだなあ、と目を閉じ腕組みをして校門前で立っていると、誰かがやってきた。
コツコツ
ローファーの音だ。
「…山本実夢さん」
目を開けると目の前には木村先輩がいた。
「木村先輩、どうしたんですか?」
「いえ、あなたが目を閉じてなにか唸ってたように見えたから」
この人は根はすごく優しい人で困っている人を放っておけないタイプなのだろう。
「ちょうど、木村先輩のこと探してたんです」
「…また朝の話……?」
「いえ、その話ではなくて、先輩のこともっと知りたいなって思って…」
「…ついてくるのは勝手だけどなにも喋らないよ」
さっきの表情から、今朝の冷たい表情に変わった。
先輩はスタスタと商店街の方へ歩いて行った。
彼女の名前は木村楓。私と同じ高校で1個上の上級生らしい。あまり聞いたことのない名前だが。
「そ、そうだったんですね?!タメ口になっちゃってすいません」
悪魔ちゃんは咄嗟に謝り、頭を下げた。
「…いいの。私はいつも見下されたり卑下される存在だから」
やはり、何か抱えているようだ。
「…?なにかあったんですか?」
「それは常にあること。見てる側は面白くても当事者は辛いってことよ」
いじめかなにかだろうか…。
そう思っていると、悪魔ちゃんは私の言わなさそうなことを言った。
「…もし、もし私にできることがあればなんでもしてあげる…!先輩の力になりたいんです…!」
木村先輩は驚いた顔をした。
「…。私にはかかわらない方がいい。身の為よ。そして、私を救える者はいない」
先輩はそういって先にスタスタと行ってしまった。もう少しのところで学校だった。
「実夢、かわるね」
悪魔ちゃんがそう言い、憑依が解けた。
『ヤハリアノ子ニハナニカアル』
『確定ダネ』
今日も1日学校生活がはじまる。
──────────────────
放課後。
さすがに入院2日目だし、未来はまだ退院できないか。少し残念。この後、未来のお見舞いに行こう。
『ダメ』『木村楓ガ先』
はぁ…と落胆してスクール鞄を持って教室を出るところに中田が話しかけてきた。
「よお、山本」
「あ、中田じゃん」
「どう、調子は…?」
相変わらず、私のことを気にしてくれている。まったく。
「うん、かなり回復はしたかな。未来も目覚めたみたいだし」
「まじか、原因はわかったのかよ」
中田が驚いた顔をして聞いてきた。
「うーん。原因不明なんだけど、身体に異常はないみたい」
ざっくりとした説明を中田にした。
「でも、本当にお前が元気になってよかったよ」
『実夢ニ気ガアルンジャナイカ?』
『ダカライツモ話シカケテクルンダ』
そんなわけないじゃない。中田はただの友達。しかも、元はネット友達だし。
「ありがとう、心配してくれて」
「いいって。友達なんだから当たり前だ」
やっぱり友達っていう認識じゃない。
「私、そろそろ帰るね」
「おう、気を付けろよ」
私は中田にバイバイと手を振り、学校を出た。
すっかり夕暮れ時。
こんな時間帯に木村先輩はいるのだろうか。
『ココカラハワタシノ時間!』
そう言うと、悪魔ちゃんは私の身体に憑依した。
そうだなあ、と目を閉じ腕組みをして校門前で立っていると、誰かがやってきた。
コツコツ
ローファーの音だ。
「…山本実夢さん」
目を開けると目の前には木村先輩がいた。
「木村先輩、どうしたんですか?」
「いえ、あなたが目を閉じてなにか唸ってたように見えたから」
この人は根はすごく優しい人で困っている人を放っておけないタイプなのだろう。
「ちょうど、木村先輩のこと探してたんです」
「…また朝の話……?」
「いえ、その話ではなくて、先輩のこともっと知りたいなって思って…」
「…ついてくるのは勝手だけどなにも喋らないよ」
さっきの表情から、今朝の冷たい表情に変わった。
先輩はスタスタと商店街の方へ歩いて行った。