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契約

家に帰宅し、自室に急いで入った。
「ここだったら安全だ…」
『実夢、ドウシタノ』『焦ッテイルヨウダ』
「帰り道すごく視線感じたんだから仕方ないでしょ!」
この双子の声は私にしか聞こえない。それは、私が契約をしたからだ。未来の命とこの双子の自由のために契約した。双子には同じ痛みを味わってほしくないという想い、未来には元気でいてほしいという私の想い。
この双子は私の身体に憑依している状態で、私の身体に、私・天使くん・悪魔ちゃんがいる。それも、私にしか双子の声が聞こえない理由にもなる。
だから、外では中々喋れない。
「そういえば、いつ行くの?」
『今ハ感ジナイ』『モット人ガイル場所ヘ行カナイト』
人が居る場所…商店街だ。ここからそう遠くない。むしろ近いぐらいだ。
──────────────────
自宅から10分程の場所に商店街はあった。
商店街の入り口すぐの場所に時計台があった。時計の針は13時過ぎを指していた。
久々にここにきたな…。
想いを馳せていると双子が話しかけてきた。
『感ジルゾ』『アノ女子高生ダ』
双子が言っている女子高生は、休日というのに制服を身に着けていた。しかも、私の高校と同じ制服だった。暗く沈んだ顔をして、片手にはスクール鞄、片手にはコンビニの袋を持っていた。
私はあまりコミュニケーション能力に自信はないが、双子の為だ。頑張ろう。
彼女とすれ違う寸前で声をかけることにした。
「あ、あの…!」
彼女は下を向いていた顔をゆっくりとあげた。
「…はい。なんでしょう」
「少しお時間ありますか?」
「…?少しなら……」
「ここでは人目が気になるのでそこの路地裏でお願いします」
私はそう言うと路地裏に入り、彼女と話した。
『サア聞キダスンダ』『話ハソコカラダ』
「私は山本実夢と申します。悩み事を解決するお手伝いをしておりまして、是非お力になれれば、と…」
彼女は私を睨んだ。
「……あなたに私の苦しみなんてわからない」
彼女がそう言った瞬間、何かが聴こえた。
ー私ノ気持チナンテ誰モ理解シテクレナイー
心の声だろうか。直感的にそう思った。
「えっ?」
「…これで失礼します」
彼女はそう言って路地裏を去っていった。
『失敗シタ』『単刀直入過ギル』
なにが悪かったんだろうか。
『トリアエズ今日ハターゲットヲ見ツケラレタダケマシ』
『次ハワタシニ任セテクレナイカナ』
悪魔ちゃんに任せるってどうなるんだろう。
『ワタシガアナタノ身体ニ憑依シテ彼女ト話ス』
『コイツヲ信用シテヤッテクレ。腕ハ確カダ』
「わかった。いつ決行なの?」
グゥ~~
私のお腹が鳴った音がした。
『実夢、昼食ヲ取ロウ』
『ワタシ達ノ分モアルカラ、三人分シッカリ取ッテネ』
一つの身体に三人分の魂だから、三人分の食事か…。
これから大変になりそうだ。
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