中編 地味子がアイドルやってるなんて知らない
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翌日も教室に入ると、昨日ほどではないがまだ余韻が残っているようなざわめきがあった。
「昨日のナマエちゃん、可愛かったよな」
「やっぱアイドルの子に似てるって」
男たちがそんな話を小声でしている。ミョウジさん本人は、いつもの地味な三つ編みに戻って、メガネをかけ直しているが──あれだけ注目を浴びれば“違和感”はそう簡単に消えない。
僕は心の中で『やれやれ…面倒なことになったな』と呟いた。
授業中も、彼女の思考はいつも以上に騒がしかった。
『やだやだやだ……もう絶対に目立ちたくない……夢原さん悪気はないんだろうけど……あんなに騒がれたらバレちゃう……』
『次の収録もあるのに……学校でこんな風に見られるなんて……』
──やはり、彼女にとって学校とアイドル活動は切り離したいものらしい。
放課後。僕は帰ろうとしたが、昇降口で妙な光景を目にした。
夢原さんがミョウジさんを捕まえている。
「ねぇナマエちゃん!今日も少しだけメイクして帰ろうよ!」
「……わ、私はいいよ……」
「いいからいいから! 似合ってるんだから!」
完全に引き気味のミョウジさん。その姿は、ファンに囲まれて困惑しているアイドル本人そのものだ。
僕はため息をつきながら、念のため透明化して後をつけた。
校門を出て少し歩いたところで黒い車が止まり、スタッフらしき大人が車から顔を出す。
「ナマエちゃん、間に合わないから迎えきた!行くよ!」
「はい、ありがとうございます……」
夢原さんはポカンと口を開けて、そのまま固まっていた。
その光景を見たクラスメイトがひとり、スマホを構え──
僕は瞬間的にテレキネシスでスマホを“誤作動”させた。画面が真っ暗になり、男は「えっ?」と首をかしげる。
やれやれ。これ以上騒ぎになるのはごめんだ。
ミョウジさんは何も気づかず、スタッフに促され車に乗り込む。その横顔は、学校での地味さが嘘のように凛としていた。
……結局、僕はまた“彼女の秘密”を守ってしまったわけだ。
正直、僕には何の得もない。だがこのままじゃ、ますます目が離せなくなる気がする。
『やれやれ……。』
小さく呟きながら、僕はいつものように帰り道の喫茶店でコーヒーゼリーを食べてから帰る。
彼女の秘密は、まだ僕だけのものだ──そう思いたい。
「昨日のナマエちゃん、可愛かったよな」
「やっぱアイドルの子に似てるって」
男たちがそんな話を小声でしている。ミョウジさん本人は、いつもの地味な三つ編みに戻って、メガネをかけ直しているが──あれだけ注目を浴びれば“違和感”はそう簡単に消えない。
僕は心の中で『やれやれ…面倒なことになったな』と呟いた。
授業中も、彼女の思考はいつも以上に騒がしかった。
『やだやだやだ……もう絶対に目立ちたくない……夢原さん悪気はないんだろうけど……あんなに騒がれたらバレちゃう……』
『次の収録もあるのに……学校でこんな風に見られるなんて……』
──やはり、彼女にとって学校とアイドル活動は切り離したいものらしい。
放課後。僕は帰ろうとしたが、昇降口で妙な光景を目にした。
夢原さんがミョウジさんを捕まえている。
「ねぇナマエちゃん!今日も少しだけメイクして帰ろうよ!」
「……わ、私はいいよ……」
「いいからいいから! 似合ってるんだから!」
完全に引き気味のミョウジさん。その姿は、ファンに囲まれて困惑しているアイドル本人そのものだ。
僕はため息をつきながら、念のため透明化して後をつけた。
校門を出て少し歩いたところで黒い車が止まり、スタッフらしき大人が車から顔を出す。
「ナマエちゃん、間に合わないから迎えきた!行くよ!」
「はい、ありがとうございます……」
夢原さんはポカンと口を開けて、そのまま固まっていた。
その光景を見たクラスメイトがひとり、スマホを構え──
僕は瞬間的にテレキネシスでスマホを“誤作動”させた。画面が真っ暗になり、男は「えっ?」と首をかしげる。
やれやれ。これ以上騒ぎになるのはごめんだ。
ミョウジさんは何も気づかず、スタッフに促され車に乗り込む。その横顔は、学校での地味さが嘘のように凛としていた。
……結局、僕はまた“彼女の秘密”を守ってしまったわけだ。
正直、僕には何の得もない。だがこのままじゃ、ますます目が離せなくなる気がする。
『やれやれ……。』
小さく呟きながら、僕はいつものように帰り道の喫茶店でコーヒーゼリーを食べてから帰る。
彼女の秘密は、まだ僕だけのものだ──そう思いたい。