中編・エースと再会する話
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頭の痛みで目が覚めた。
知らない天井だ…と某アニメのような感想を述べ、ぼーっとする。
待て、ここどこ?今何時?スマホを探そうと起き上がろうとすると、誰かの腕がお腹に巻きついていることに気が付いた。
あれ、昨日ってどうしたっけ。エースくんと飲んで……その後…あれ?
恐る恐る手の主の方を見ると、エースくんがなんと上裸で寝ている。布団をめくってズボンの確認はした。なぜか私自身も下着姿でスリップは着てれどこれはもうほぼ下着…。
だんだん頭が冴えていくのを感じた。
まさか。その嫌な予感が当たるのが嫌で、考えるのも嫌で、そっとエースくんの腕から抜けたあと丁寧にハンガーにかけられたワンピースと上着をさっさと着て、ホテル代足りるか分からないけど万札1枚をベッドサイドテーブルに置いて早足に部屋を出た。
時計をろくに確認せずにホテルを出たことを思い出し、スマホを開く。10:30を表示していた。仕事は13:00出社だ。
まだ時間があることにほっとして、そのまま帰路についたのだった。
心臓は朝からずっとドキドキしたままだ。考えたくもない、最悪の事件をエースくんと起こしてしまった可能性がある。
帰路の道中も、家に帰ってからも脳みそはフル回転で記憶を探している。
とりあえずシャワーを浴びて頭を冷やそう。そして仕事の支度をしなければ。
仕事の支度をしている時、スマホのバイブが鳴った。
エースくんから電話の表示だった。やはり認めたくないので出たくない…。
バイブが落ち着いた時、エースくんからメッセージがひとつ。
『悪かった、もう1回会って話そう』
好きだった彼と、酔った勢いで一線を超えてしまったかもしれないのに。それを話そう?セフレにでもされるの?
私は既読をつけて返信しないまま仕事に向かうのだった。
勤務時間が終わり、夜遅くに職場のエレベーターを下って自動ドアを潜る。
「おい!」
成人式の時みたいに、後ろからまた2文字で私を引き止める声。足を止めてしまう。
今日、エースくん休みって言ってたっけ。こんなに遅い時間なのに。
振り返りたくなかった。話し合うことなんてない。
また歩みを進めようとすると、手首を掴まれる。
勢いよく振り返って振りほどこうとしたけど、振り返ったら両手首を掴まれてしまった。
「何から話せばいいかわからねェけど…。」
「なんだって言うの。」
「お前が酔って潰れて、近場のラブホまで連れ込んだのは俺だけど…。俺はお前が苦しそうにしてるのわかったから、綺麗なワンピースがシワシワになるのも嫌だろうと思って、その、脱がせただけ。俺は暑くて脱いだ。何も起きてねえ…。ベッドは1つしかないから添い寝になっちまっただけだ…。」
ポツポツと話し出したエースくんの内容は往来でするようなことではないけれど、私の目をしっかり見て話してくれた。
「本当に、何もなかったって言うの?」
「あぁ、なかった。あと、今言うことじゃねェのはわかってるけど」
エースくんの私を見る目は本当に真剣で、こっちが息を飲まれている。次に何言われるかも想像付かないし、心臓はドキドキして止まらない。今日だけでどれだけ寿命が減っただろうか。
「俺、ナマエのこと好きだ。よ、よければ付き合ってほしい。」
「へっ?」
予想外の言葉に口から音が溢れた。は?という疑問で頭がいっぱいだ。うん?エースくんが私を好き????
昨日までそんなそぶりを感じなかったのに。いや、私が鈍感すぎて気付けなかったのかな。
「エースくんが、私を、好き?」
「ちょっと繰り返されると恥ずかしいな…。」
耳まで赤くなっていくエースくんに、この人の気持ちは本当なんだと感じる。
思春期の初恋は実らないと勝手に思っていた。成人式で再会して、ってこんな少女漫画みたいな出来事あるんだ。
しみじみしているとエースくんが「お前の答えが聞きたい。」と催促され、「私も好きだった、中学の時から」と答えた。
だんだん尻すぼみになる私の言葉に、エースくんは笑って「俺もきっかけは中学だったぜ」と言って、この何年間もお互いに一歩を踏み出せないだけだったんだと気付いた。
きっとこれが高校が一緒だったりしたらもっと早くに付き合えたのかなとか、少し考えたけど初恋が結ばれるなら何時だって良い。
「じゃあ、お前の付き合えるか付き合えないかの答えは”イエス”だな」
どや顔で言うエースくんが愛おしくて、思わず抱き着いた。
残業を終えて後から出てきた同僚が「お熱いですねぇ」と一言放ったことで、ここが会社の前の往来だということを思い出した。
「ごめんちょっと恥ずかしくて顔上げられない。」
「お前がいいならいつまでもそうしてていいぞ。俺は構わない。」
良いわけがない。
「とりあえず、ここからうち近いけど来る?」
「もちろん行く」
付き合っていきなり家に誘うのもアレだけど、ここにいるのは気まずいのでさっさとうちに帰ることにした。
エースくんが隣で手をつないで歩いてくれるのはとても幸せなことだ。
まだ実ったばかりの恋を、これからも長く続くように願うのだった。
完
知らない天井だ…と某アニメのような感想を述べ、ぼーっとする。
待て、ここどこ?今何時?スマホを探そうと起き上がろうとすると、誰かの腕がお腹に巻きついていることに気が付いた。
あれ、昨日ってどうしたっけ。エースくんと飲んで……その後…あれ?
恐る恐る手の主の方を見ると、エースくんがなんと上裸で寝ている。布団をめくってズボンの確認はした。なぜか私自身も下着姿でスリップは着てれどこれはもうほぼ下着…。
だんだん頭が冴えていくのを感じた。
まさか。その嫌な予感が当たるのが嫌で、考えるのも嫌で、そっとエースくんの腕から抜けたあと丁寧にハンガーにかけられたワンピースと上着をさっさと着て、ホテル代足りるか分からないけど万札1枚をベッドサイドテーブルに置いて早足に部屋を出た。
時計をろくに確認せずにホテルを出たことを思い出し、スマホを開く。10:30を表示していた。仕事は13:00出社だ。
まだ時間があることにほっとして、そのまま帰路についたのだった。
心臓は朝からずっとドキドキしたままだ。考えたくもない、最悪の事件をエースくんと起こしてしまった可能性がある。
帰路の道中も、家に帰ってからも脳みそはフル回転で記憶を探している。
とりあえずシャワーを浴びて頭を冷やそう。そして仕事の支度をしなければ。
仕事の支度をしている時、スマホのバイブが鳴った。
エースくんから電話の表示だった。やはり認めたくないので出たくない…。
バイブが落ち着いた時、エースくんからメッセージがひとつ。
『悪かった、もう1回会って話そう』
好きだった彼と、酔った勢いで一線を超えてしまったかもしれないのに。それを話そう?セフレにでもされるの?
私は既読をつけて返信しないまま仕事に向かうのだった。
勤務時間が終わり、夜遅くに職場のエレベーターを下って自動ドアを潜る。
「おい!」
成人式の時みたいに、後ろからまた2文字で私を引き止める声。足を止めてしまう。
今日、エースくん休みって言ってたっけ。こんなに遅い時間なのに。
振り返りたくなかった。話し合うことなんてない。
また歩みを進めようとすると、手首を掴まれる。
勢いよく振り返って振りほどこうとしたけど、振り返ったら両手首を掴まれてしまった。
「何から話せばいいかわからねェけど…。」
「なんだって言うの。」
「お前が酔って潰れて、近場のラブホまで連れ込んだのは俺だけど…。俺はお前が苦しそうにしてるのわかったから、綺麗なワンピースがシワシワになるのも嫌だろうと思って、その、脱がせただけ。俺は暑くて脱いだ。何も起きてねえ…。ベッドは1つしかないから添い寝になっちまっただけだ…。」
ポツポツと話し出したエースくんの内容は往来でするようなことではないけれど、私の目をしっかり見て話してくれた。
「本当に、何もなかったって言うの?」
「あぁ、なかった。あと、今言うことじゃねェのはわかってるけど」
エースくんの私を見る目は本当に真剣で、こっちが息を飲まれている。次に何言われるかも想像付かないし、心臓はドキドキして止まらない。今日だけでどれだけ寿命が減っただろうか。
「俺、ナマエのこと好きだ。よ、よければ付き合ってほしい。」
「へっ?」
予想外の言葉に口から音が溢れた。は?という疑問で頭がいっぱいだ。うん?エースくんが私を好き????
昨日までそんなそぶりを感じなかったのに。いや、私が鈍感すぎて気付けなかったのかな。
「エースくんが、私を、好き?」
「ちょっと繰り返されると恥ずかしいな…。」
耳まで赤くなっていくエースくんに、この人の気持ちは本当なんだと感じる。
思春期の初恋は実らないと勝手に思っていた。成人式で再会して、ってこんな少女漫画みたいな出来事あるんだ。
しみじみしているとエースくんが「お前の答えが聞きたい。」と催促され、「私も好きだった、中学の時から」と答えた。
だんだん尻すぼみになる私の言葉に、エースくんは笑って「俺もきっかけは中学だったぜ」と言って、この何年間もお互いに一歩を踏み出せないだけだったんだと気付いた。
きっとこれが高校が一緒だったりしたらもっと早くに付き合えたのかなとか、少し考えたけど初恋が結ばれるなら何時だって良い。
「じゃあ、お前の付き合えるか付き合えないかの答えは”イエス”だな」
どや顔で言うエースくんが愛おしくて、思わず抱き着いた。
残業を終えて後から出てきた同僚が「お熱いですねぇ」と一言放ったことで、ここが会社の前の往来だということを思い出した。
「ごめんちょっと恥ずかしくて顔上げられない。」
「お前がいいならいつまでもそうしてていいぞ。俺は構わない。」
良いわけがない。
「とりあえず、ここからうち近いけど来る?」
「もちろん行く」
付き合っていきなり家に誘うのもアレだけど、ここにいるのは気まずいのでさっさとうちに帰ることにした。
エースくんが隣で手をつないで歩いてくれるのはとても幸せなことだ。
まだ実ったばかりの恋を、これからも長く続くように願うのだった。
完