花よいつまでも

君の誕生日プレゼントが思い浮かばなかった。今の君が一体何を欲し、何を求めているのかを、私は理解できないからだ。君の本心を知ることも怖い。君の心が壊れ、離れていくのを、どうしても繋ぎ止めたい自分がいる。自我を押し殺し、まるで気配が消えそうな君を、どうにかして再び蘇らせたいんだ。
君の笑顔が消えてから久しい。君が最後に笑ってからどれほどの時が経ったのだろう。君が笑わなくなってから、私は君にどう接したらいいのかわからなくなった。それでも私は、君が生まれたこの日を祝いたい。エゴだと思われても構わない。今の私にはそれくらいしかできないのだから。
アーヤ、君は知らないだろうが、私は君を生後5日から見てきた。かつて私を「にーにー」と慕い、笑いかけてくれた君は、遙か彼方に消えてしまったようだ。君は覚えているか?あの柔らかな木漏れ日を。何もない研究所で、確かに何かがあった日々を。君がもたらしたものは私の胸に深く刻まれている。思えば、私はあの時から君を愛してしまっていたんだ。兄として——いや、一人の男としても。そうだ、君が覚えていなくとも、私が全てを覚えている。

今年は君に、白い薔薇を贈ろうと思う。柔く、脆く、儚く、小さな一輪の薔薇を。かつての無垢な君も、今の傷ついた君も、私の中ではアーヤ——大切な君なのだから。
白妙の薔薇よ、いつまでも誇らしくいておくれ。清く美しく、まるで永遠の時を封じ込めるかのように、枯れることなく可憐であれ。そうであれば、私は私の何もかもを許せる気がするのに。君に贈るこの花が、一瞬でも君に届くことを祈る。花よ、いつまでも。
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