男性不信の女子が壁ドンされてみた

「か…壁ドンしてください……!」


私は血の気を引かせながらそう言った。
いや、そう言わざるを得なかった。だって荘園の主が「『ふぁんさーびす』のためだ」とか意味の分からないことを言ってきたんだもん…。しかもこれを引き受けないと追放するとか言われたし…。

というか、言われた側だってすごく困るよね…。
そう思って改めて目の前の人物、墓守のクレスさんを見ると、ちょっと顔を赤らめてはいるけど嫌そうな顔をしている。


「どうした暴力女?とち狂ったか?」

「違うんです…。荘園の主が……」


とりあえず私がとち狂っていないことを証明するため説明した。


「それなら仕方ないから協力してやる。

だ、だが!だがだ!
絶対に攻撃してくるなよ!
もし攻撃なんかしてきたら許さないからな!」

「わわわわかりました!ど、どうしたら攻撃せずに済みますか!?」

「う、後ろを向いて壁に手をつけるんだ!絶対に手を離すなよ!」


そう言われたので言う通り壁に手をついた。

しばらくして、顔の少し上に両手が見える。
ってことは今壁ドンされてるのかな…?でもこれ、顔が見えないからいけるかも…





……と思ったけど気のせいだっ!
これ、私と壁の間に空間ができるためクレスさんと私の間に空間がない…!つまり密着している…!
そのためクレスさんの心臓の音が聞こえ…ーー



「暴力女!!?」



(気が付けば自室のベッドの上にいた…。)
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