「か…壁ドンしてください……！」


私は血の気を引かせながらそう言った。
いや、そう言わざるを得なかった。だって荘園の主が「『ふぁんさーびす』のためだ」とか意味の分からないことを言ってきたんだもん…。しかもこれを引き受けないと追放するとか言われたし…。

というか、言われた側だってすごく困るよね…。
そう思って改めて目の前の人物、ポストマンのグランツさんを見ると、すごくびっくりした顔をしている…。
そしておずおずと手紙を渡された…。


「“どうしたんですか？嫌な事でもあったんですか？
どうか自暴自棄にならないでください”…。」


手紙を読んでから改めてグランツさんを見ると…、笑顔は笑顔だけど何か憐れんでるかのような雰囲気だ…。だから急いで説明した。



「“それは大変ですね！僕で力になれるならがんばります。
申し訳ございませんが、壁に背中を預けてください”…。」


私は言われたがまま壁に寄って背中を預けた。すると、グランツさんが恐る恐る私の顔の両横に手をついてきた。
そんなグランツさんの顔を血の気が引き始めた顔で恐る恐る見ると……、



湯気が出そうなくらい顔が真っ赤なんだけど…！



これはいけない…！
こんな状態でがんばってくれてるグランツさんをひっぱたくなんてことしちゃいけない…！

そう思って両手を握りしめながら必死に耐えてると、グランツさんが顔を両手で押さえながらものすごい勢いで走り去っていってしまった…。



（な…、何か悪いことをした気分だ…。）