男性不信の女子がチョコレート渡してみた
げっそりとした私は再びよたよたと廊下を歩いている。ただ今回違うのは、そんな私の少し後ろをヘラヘラ笑ってるだろう「囚人」のバルサーさんがついて来ていることだ。
「あの後私が中庭に入ったから助かったな。クレス君はすっかり君に告白されたものだと思い込んでいたぞ。」
「はひ…。」
そう。私は男性たちに普段からお世話になってるからってお歳暮の感覚でチョコを渡していたけど、そもそも“ばれんたいん”とは女性が男性に好意を伝える日であり…。だからクレスさんは私に告白されたものだと思い込んでしまったらしい。
…な………、ななな…、
なんとはしたない…!なんと恥ずかしい…っ!
「まあそう気を落とすな。今頃クレス君も他の女性たちにチョコをもらって、この荘園における“バレンタイン”の意味を理解してるだろう。
それに私もちゃんと説明してやったしな。男性不信の君にこんなことできないだろうと。」
本当におっしゃる通りで…。バルサーさんがクレスさんの誤解を上手に解いてくれたからいろいろ事がうまく運んだ。
それにしても…、ゲーム中はもちろん、今回といいこれまでといい…、バルサーさんの機転の利くところや博識なところには助けられっぱなしだ…。
だから何かお礼をしなきゃだなぁ…なんて考えた私は懲りないおバカだ。だってせめてものお詫びにと取り出したのは件のチョコなんだもん。そして急に立ち止まって体を反転させると、背後にいるバルサーさんにそれを差し出した。
「ん?なんだ?」
「あ…、いや…ありがとうございました…。
勢いで渡しちゃってる感じはしますが、日頃からのほんの感謝の気持ちです。どうかお納めください。」
おずおずとそう言いながらチョコを差し出して頭を下げる私を前に、バルサーさんは一瞬だけ驚いたように目をぱちくりとさせた。だけどすぐにいつものヘラヘラとした笑顔に戻る。
「へぇ、こいつを私に?
君の本命は私だったのか。照れるじゃないか。」
「ちちちち違いますよっ!!?」
ヘラヘラしながら冷やかしてくるバルサーさんの言葉を真っ赤な顔をしつつ急いで否定する。だけどその間にチョコを受け取ったバルサーさんは、なんだかウキウキしながら開けてもいいかと聞いてきた。それにもちろんといわんばかりに私が大きく頷いたのを確認すると、中を開けてチョコを取り出してへへっと笑った。
「美味しそうなチョコじゃないか。ありがとうな。」
そう言うと早速チョコを頬張る。バルサーさんの年齢は伺ったことがないからちゃんと知らないけど、恐らく年上の男性だというのになんだかその様がかわいらしい。だから思わずクスっと笑ってしまった。
「バルサーさん、チョコお好きだったんですね。」
「好きというか、疲れた脳に染みるだろう?だからあんたも今みたいに疲れてる時にはチョコを食べるようにすればいい。」
そう言ってチョコをカリッと大きめに噛み割ると、口からチョコを出したままその大きな手で私の後頭部を固定するかのように覆い掴んできた。それにより否応なしにバルサーさんの顔が目の前にやってきたというのに、バルサーさんは「ん、」と言いながら更に鼻と鼻が触れるほど顔を近付けてき………
……
……
………て…?
「ほら、遠慮するな。」
ってえええぇぇぇぇーっ!!?
(口付けられるかと思った…!口付けられるかと思ったぁ…っ!!)
※「公式でバルサーさんに愛を叫んだのに返事が別の人からだった」とコメントくださった方に捧げるべく、少し甘めに仕上げました。
「あの後私が中庭に入ったから助かったな。クレス君はすっかり君に告白されたものだと思い込んでいたぞ。」
「はひ…。」
そう。私は男性たちに普段からお世話になってるからってお歳暮の感覚でチョコを渡していたけど、そもそも“ばれんたいん”とは女性が男性に好意を伝える日であり…。だからクレスさんは私に告白されたものだと思い込んでしまったらしい。
…な………、ななな…、
なんとはしたない…!なんと恥ずかしい…っ!
「まあそう気を落とすな。今頃クレス君も他の女性たちにチョコをもらって、この荘園における“バレンタイン”の意味を理解してるだろう。
それに私もちゃんと説明してやったしな。男性不信の君にこんなことできないだろうと。」
本当におっしゃる通りで…。バルサーさんがクレスさんの誤解を上手に解いてくれたからいろいろ事がうまく運んだ。
それにしても…、ゲーム中はもちろん、今回といいこれまでといい…、バルサーさんの機転の利くところや博識なところには助けられっぱなしだ…。
だから何かお礼をしなきゃだなぁ…なんて考えた私は懲りないおバカだ。だってせめてものお詫びにと取り出したのは件のチョコなんだもん。そして急に立ち止まって体を反転させると、背後にいるバルサーさんにそれを差し出した。
「ん?なんだ?」
「あ…、いや…ありがとうございました…。
勢いで渡しちゃってる感じはしますが、日頃からのほんの感謝の気持ちです。どうかお納めください。」
おずおずとそう言いながらチョコを差し出して頭を下げる私を前に、バルサーさんは一瞬だけ驚いたように目をぱちくりとさせた。だけどすぐにいつものヘラヘラとした笑顔に戻る。
「へぇ、こいつを私に?
君の本命は私だったのか。照れるじゃないか。」
「ちちちち違いますよっ!!?」
ヘラヘラしながら冷やかしてくるバルサーさんの言葉を真っ赤な顔をしつつ急いで否定する。だけどその間にチョコを受け取ったバルサーさんは、なんだかウキウキしながら開けてもいいかと聞いてきた。それにもちろんといわんばかりに私が大きく頷いたのを確認すると、中を開けてチョコを取り出してへへっと笑った。
「美味しそうなチョコじゃないか。ありがとうな。」
そう言うと早速チョコを頬張る。バルサーさんの年齢は伺ったことがないからちゃんと知らないけど、恐らく年上の男性だというのになんだかその様がかわいらしい。だから思わずクスっと笑ってしまった。
「バルサーさん、チョコお好きだったんですね。」
「好きというか、疲れた脳に染みるだろう?だからあんたも今みたいに疲れてる時にはチョコを食べるようにすればいい。」
そう言ってチョコをカリッと大きめに噛み割ると、口からチョコを出したままその大きな手で私の後頭部を固定するかのように覆い掴んできた。それにより否応なしにバルサーさんの顔が目の前にやってきたというのに、バルサーさんは「ん、」と言いながら更に鼻と鼻が触れるほど顔を近付けてき………
……
……
………て…?
「ほら、遠慮するな。」
ってえええぇぇぇぇーっ!!?
(口付けられるかと思った…!口付けられるかと思ったぁ…っ!!)
※「公式でバルサーさんに愛を叫んだのに返事が別の人からだった」とコメントくださった方に捧げるべく、少し甘めに仕上げました。