男性不信の女子が壁ドンされてみた
「か…壁ドンしてください……!」
私は血の気を引かせながらそう言った。
いや、そう言わざるを得なかった。だって荘園の主が「『ふぁんさーびす』のためだ」とか意味の分からないことを言ってきたんだもん…。しかもこれを引き受けないと追放するとか言われたし…。
というか、言われた側だってすごく困るよね…。
そう思って改めて目の前の人物、占い師のクラークさんを見…
「ああ。荘園の主がそんなことを言ってきたんですか。あの人たまに意味のわからないことを言い出しますからね。」
……同情を含んだような笑みをしながらそう言ってくれた…。天眼ってすごいや…。
「それで壁ドンでしたっけ?」
「はい。出会った異性に必ずしないと追放するとか言われまして…。」
「それは大変だ。」
クラークさんは困ったような笑みを浮かべながらそう言うと壁の方まで移動し、ちょいちょいと手招きしている。たぶんそこで壁ドンするということなんだろう…。
私は半泣きになりながらも手招きに従い壁にもたれかかる。すると、両手をドンと私の顔の両横につけてきた。
「これで安心ですね。」
ニッコリ笑いながらそう言うクラークさん。でもそんな彼の背後からカチャリと音が鳴る。
何の音だろうと思ってクラークさんと同じタイミングで音の方を見ると……、
信号銃を構えたマーサ、魔像を構えたパトリシア、扉の鍵を掲げるフィオナ、オルゴールを投げつけようとしているマル姐が見えた。
あとみんな目を三角にしてすごい殺気を放ってる…!
「誤解ですからみなさんんんんっ!!!」
肩を大きくビクつかせながらそう言うクラークさん。
だからこの後めっちゃ説明した。
(あの…、悪いのは私………というか荘園の主なんです。だからクラークさんを正座させて事情聴取なんてやめたげて……ください。)