男性不信の女子がチョコレート渡してみた
ヘレナのおかげでモートンさんから逃げられた私は、ホッとしながら廊下を歩いていた。すると、中庭につながるドア近くにやって来ていることに気付く。だから、せっかくだしエマが丹精込めて育てた草木を見て癒されようかなぁなんて思って中に入った。
「バウ!」
中庭に入るなりそんな元気な声が聞こえる。見ると舌を出してヘッヘッと呼吸しているをウィック君と、その横でニコっと微笑むポストマンのグランツさんの姿が目に入った。
「あ、どうも…。」
苦笑いをしながら会釈すると、グランツさんがニコッと微笑んでいた笑顔を解いてじっと顔を見てくる。私がその視線にドキッとしていると、グランツさんは紙と筆を取って何かをスラスラと書き始め、書き終わったそれを私に見せてきた。
中には、
“お疲れのようですが何かありましたか?”
と書かれている。
……ええと…、なんと言えばいいか…、
「いつもの男性不信が厄介ごとを招きまして…。自爆みたいなものです…。」
ここに来るまでのことを振り返ながらまた苦笑いを零す。そんな私の表情を見たグランツさんはまた紙にスラスラと何かを書いて私に見せてくれた。
「“ご無理なさらないでくださいね”…ですか…。
いつもお気遣いありがとうございます。」
「んん。」
グランツさんの気遣いの言葉に身を震わせながら感動している中、普段からグランツさんにはこうして何かしら気を遣わせてるんだから、彼にこそお礼のチョコを渡すべきじゃないかと思ってハッとした。だから急いでチョコを取り出すとグランツさんに差し出す。一方のグランツさんは差し出されたチョコを前にきょとんとしていた。
「あっ!怪しい物ではありませんよ!
なんせ女性たちから今日は“ばれんたいん”と伺ったものですから!普段からグランツさんには何かとお世話になってるので、よければお受け取りいただきたいなぁと思った次第でございまして!」
なぜかビクビクしながらそう言うと、グランツさんはまるで私を安心させるかのようにニッコリ笑いながらチョコを受け取ってくれた。そしてまた紙と筆を取って何かスラスラと書いていき、書き終わると直接私に手渡してくれた。だけど受け取ったそのかわいらしい便せんは、いつもより少し上質な気がする…。
「ええと…、
“筆に感謝の気持ちを沢山込めて、お礼をお伝えいたします。
素敵なチョコをありがとうございます。お礼はまた考えておきますね。
敬具
ビクター・グランツ”
………って!お礼なんていいですよ!大したものじゃな…っ」
お気遣いなんて無用だと言おうとした口に人指し指を押し付けられる。だから、少しびっくりしてニッコリ笑うグランツさんの顔を見る。そしてゆっくり薄く開けた目で私を見つめてくるも、その目にはなんだか妖しさが伴ってるもんだから私はなんだかそれ以上言葉を紡げなかった。
(………た、たまにグランツさんは強引だ…。)
「バウ!」
中庭に入るなりそんな元気な声が聞こえる。見ると舌を出してヘッヘッと呼吸しているをウィック君と、その横でニコっと微笑むポストマンのグランツさんの姿が目に入った。
「あ、どうも…。」
苦笑いをしながら会釈すると、グランツさんがニコッと微笑んでいた笑顔を解いてじっと顔を見てくる。私がその視線にドキッとしていると、グランツさんは紙と筆を取って何かをスラスラと書き始め、書き終わったそれを私に見せてきた。
中には、
“お疲れのようですが何かありましたか?”
と書かれている。
……ええと…、なんと言えばいいか…、
「いつもの男性不信が厄介ごとを招きまして…。自爆みたいなものです…。」
ここに来るまでのことを振り返ながらまた苦笑いを零す。そんな私の表情を見たグランツさんはまた紙にスラスラと何かを書いて私に見せてくれた。
「“ご無理なさらないでくださいね”…ですか…。
いつもお気遣いありがとうございます。」
「んん。」
グランツさんの気遣いの言葉に身を震わせながら感動している中、普段からグランツさんにはこうして何かしら気を遣わせてるんだから、彼にこそお礼のチョコを渡すべきじゃないかと思ってハッとした。だから急いでチョコを取り出すとグランツさんに差し出す。一方のグランツさんは差し出されたチョコを前にきょとんとしていた。
「あっ!怪しい物ではありませんよ!
なんせ女性たちから今日は“ばれんたいん”と伺ったものですから!普段からグランツさんには何かとお世話になってるので、よければお受け取りいただきたいなぁと思った次第でございまして!」
なぜかビクビクしながらそう言うと、グランツさんはまるで私を安心させるかのようにニッコリ笑いながらチョコを受け取ってくれた。そしてまた紙と筆を取って何かスラスラと書いていき、書き終わると直接私に手渡してくれた。だけど受け取ったそのかわいらしい便せんは、いつもより少し上質な気がする…。
「ええと…、
“筆に感謝の気持ちを沢山込めて、お礼をお伝えいたします。
素敵なチョコをありがとうございます。お礼はまた考えておきますね。
敬具
ビクター・グランツ”
………って!お礼なんていいですよ!大したものじゃな…っ」
お気遣いなんて無用だと言おうとした口に人指し指を押し付けられる。だから、少しびっくりしてニッコリ笑うグランツさんの顔を見る。そしてゆっくり薄く開けた目で私を見つめてくるも、その目にはなんだか妖しさが伴ってるもんだから私はなんだかそれ以上言葉を紡げなかった。
(………た、たまにグランツさんは強引だ…。)