やっぱり…、私が男性にチョコを渡すなんて無理なのでは…？


なんだかげっそりとした私はそんなことを考えながらフラフラと一人で廊下を歩いてた。
でもそんな私を呼ぶ声が背後からする。バッと振り向くと穏やかな笑顔を浮かべたクラークさんがこちらに向かってくる姿が目に入った。そんなクラークさんを見てなぜか私は逃げようかと思ったけれど、思うように足が動かず結局その場に留まった。だからクラークさんは私のすぐ近くまでやってきた。


「今日はバレンタインですね。ピアソンさんがエマさんからチョコをもらおうと何やら作戦を練っているようですよ。」


あああ～…！結局逃げられなかった上にバレンタインの話をクラークさんから持ち出されたぁ…！
こうなってはなんだかチョコを差し出さないとなぜだか私が気まずいわけで…。だから私はおずおずとチョコを取り出して、震える声で「どうぞ」と言いながらクラークさんに差し出した。


「おや、このような物を用意していただけるなんて、本当に貰ってもよろしいのでしょうか？」

「は…、はい…。私ので良ければ…。」

「ありがとうございます。お返しはちゃんと考えておきますね。」

「おっ、お返しだなんて！お気になさらずっ！」


慌ててそう言うも、「そんなわけにはいきません」と微笑むクラークさんはなんだかうれしそうにしてくれてる…！
…そう言えばクラークさん、以前私が指に摘まんでた一口チョコを躊躇なく頬張ってたっけ…。もしかして……、


「チョコ、お好きなんですか？」


頭によぎった疑問をそのまま口にすると、クラークさんはその穏やかな笑顔のままフフっと笑った。


「好き嫌い以前に、あなたが私の為に何か用意していただけるというその気持ちがうれしいんです。

あなたのご好意、痛み入ります。」





（…あ、あれ？おお？なんだか私まだがんばれるかも？）
※うちの夢主はアホなので気付きませんでしたが、よければ深読みしてみてくださいね♡