男性不信の女子が壁ドンされてみた
「か…壁ドンしてください……!」
私は血の気を引かせながらそう言った。
いや、そう言わざるを得なかった。だって荘園の主が「『ふぁんさーびす』のためだ」とか意味の分からないことを言ってきたんだもん…。しかもこれを引き受けないと追放するとか言われたし…。
というか、言われた側だってすごく困るよね…。
そう思って改めて目の前の人物、オフェンスのエリスさんを見るときょとんとして固まっている。
「つってもなぁ…。お前男性不信じゃねぇかよ。しんどくなるのお前だぞ?」
ものすごく心配してくれてる…。…うん。すごくいい人…。
でも、そのお気持ちに甘えてこんなことやめたいのは山々なんだけど、追放はどうしても嫌なんです…。
「とととと!とにかくお願いします!」
叫ぶようにそう言うと、エリスさんは困ったような笑みを浮かべながら「しゃあねぇなぁ」と言うと、近付いてきて正面に立ってきた。そしてそのまま両肩に手を沿えると、私をそっと押した。
それにより体が後ろへよろめいて背中から壁にぶつかりそうになる。でもぶつかる直前に後頭部に手を添えると、そのまま壁に追いやって私の顔の横に肘をそっと置いてきた。
「こんなんでいいか?」
そう言って私を見ながら照れ臭そうに笑うエリスさん。たぶん頭が痛くないようにっていう心遣いなんだろうけど、後頭部を抱えられながら壁ドンされてるので半分抱き締められてるような錯覚になる…。
きっと普通の女性ならキュンとするんだろうなぁ…。
でも私は男性不信なわけで…。カーっと顔に熱が集まったかと思えば、サーっと一気に血の気が引いていった。そして…
「キャアアアァァァァーッ!!!」
そう叫ぶと思いっきり平手打ちしてしまった…。
だからこの後めっちゃ謝った…。
(説明したら荘園の主に対して怒りを露わにしてくれた。ホントいい人…。)