男性不信の女子がおすそわけしてみた

モートンさんにさんざんあーんをさせられたせいでライフが0になった私は、ピクピク震えながら廊下に突っ伏すように寝そべっていた。


「…どうしたんですか?」


そんな声にゆっくり首を動かしてみると…、納棺師のカールさんがゴミを見るような目でこちらを見てきていた。


「ご…、ごめんなさいカールさん…。ちょっと今ライフが0になって動けなくて……」

「…なんとなくそうなってる理由がわかりました。とりあえず通路の端に寄せたいと思うので触れても?」


私が力なく頷いたのを見たカールさんは、私の両脇に手を入れてずるずると引きずって通路の端に運んでくれた。


「それでどうやったらあなたのライフは回復しますか?」

「だ…、大丈夫です…。今は即効性のある回復薬があります…。」


そう言うと金平糖を一粒手に取って口に放り込んだ。すると、見る見るうちにライフが復活して、シャキーンと目をかっ開きながら立ち上がった。母国の味ってやっぱりすごい!


「…そんなに元気になって何よりです。ところでなんですかそれ?」

「私の母国のお菓子で金平糖っていうんです。甘くておいしいですよ。よければどうぞ。」


そう言いながら金平糖の包み紙をカールさんの前に差し出す。カールさんは「じゃあ…」と言いながら一粒取り出すとマスクをずらして口に運んだ。


「……甘いですね…。」

「原材料が砂糖と水とのことなので。」


そう言いながら私ももう一粒食べようと包み紙がら一粒取り出した。だけど次の瞬間、指先にザラリとした感触を感じる。冷や汗を一筋垂らしながらその感触を目視で確かめてみると……、なんとカールさんが指ごと金平糖を食べている…!?


「………ごちそうさまでした。」


指から口を離したカールさんはそう言うと、マスクを元に戻しながらその場を去っていった…。



(な…、なぜそんなことを…?というかカールさんって確か社交恐怖なはずでは…!?)
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