男性不信の女子がおすそわけしてみた

とんでもないハプニングに私は顔を赤らめたり青ざめさせたりを繰り返していた。でも気を取り直そうと金平糖を一粒口に放り込む。口に広がるその甘さのおかげで、動揺していた気持ちが落ち着きを取り戻してきた。


「落ち着こう私…。クレスさんのことだからモートンさんのようにいたずらであんなことしてきたとかそんなわけじゃないだろうしね…。」

「僕がどうかしたの?」


真後ろから聞こえてきたその声にビクッと大きく肩を揺らした。思わずバッと振り返ると、案の定ニコニコといつも通りの人懐こい笑顔を浮かべた曲芸師のモートンさんがいらっしゃった…!


「モモモモモートンさんっ!!?」

「どうしたのそんなに驚いちゃって?
あれ?なんか食べてる?」


私が手に持っている金平糖の包み紙に目線を移したモートンさんは、不思議そうにそれを見ている。…こっちの国の人にとったら珍しいのかな?


「こ、金平糖という私の母国のお菓子です…。」

「そうなんだ。おいしいの?」

「おいしいですよ。食べてみます?」


そう言って私は包み紙ごとモートンさんの前に差し出した。だけどモートンさんはなんだかつまらないと言わんばかりの顔をしながら金平糖を見ている。


「もしかして…、甘いものお嫌いですか?」

「好きだよ。でも、僕もアンドルー君みたいにあーんってされたいなぁと思って。」


…………見てたのっ!?

そう思って口をパクパクさせながら動揺する私の肩をガシッと掴むと、首を傾げながらかわいらしく「ちょうだい?」と言ってきた…。


……たぶんこれはやらないと逃げられないんだろな…。


「は…、はい……、あーん…。」

「…ん!おいしいねこれ!」

「で、ですよね!……では私はこれで…」


そう言って逃げようとしたけど、肩に置かれてる手に力が籠められる…。白目をむきながらモートンさんの顔を見ると、何か影を含んだようなニッコリとした笑顔がそこにあった…。


「もっと食べたいなぁ。」


そう言ってあーんと口を開けるモートンさん。

……この後、モートンさんが満足するまであーんさせられた…。



(おかげで私のライフは0になりました…。)
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