「か…壁ドンしてください……！」


私は血の気を引かせながらそう言った。
いや、そう言わざるを得なかった。だって荘園の主が「『ふぁんさーびす』のためだ」とか意味の分からないことを言ってきたんだもん…。しかもこれを引き受けないと追放するとか言われたし…。

というか、言われた側だってすごく困るよね…。
そう思って改めて目の前の人物、幸運児さんを見ると、顔を真っ赤にしてびっくりした顔をしている。


「いいいいんですか！？」

「むしろぜひ…。」


恐怖で白目をむきながら涙を浮かべている私は「どうぞ」と言わんばかりに壁にもたれかかった。すると、そんな私とは裏腹になぜかうれしそうな幸運児さんがものすごいにこやかに近付いてきた。だけどなぜかその場に落ちていたバナナの皮を踏んでしまい、そのままツルっと滑ってしまった。


「こ、幸運児さんっ！！？」


そう叫ぶと同時に胸にパフンと感じる感覚…。
その感覚を確かめるべくゆっくり目線を下ろしていくと…、



幸運児さんの顔面が胸にうずまってる…！？



「ごめんなさい。ラッキースケベ発動したみたいです。」
「……………。



キャアアアァァァァーッ！！！」



そう叫ぶと共に私は右手を大きく開きながら構えた。



（荘園の主曰く、あれは「胸ドン」といって壁ドンの派生なんだとか…？そんな情報いりません…！）