男性不信の女子が壁ドンされてみた
「か…壁ドンしてください……!」
私は血の気を引かせながらそう言った。
いや、そう言わざるを得なかった。だって荘園の主が「『ふぁんさーびす』のためだ」とか意味の分からないことを言ってきたんだもん…。しかもこれを引き受けないと追放するとか言われたし…。
というか、言われた側だってすごく困るよね…。
そう思って改めて目の前の人物、傭兵のサベダーさんに顔を向けると、案の定怪訝な顔をしながらこっちを見ていた。
「急にどうした?
つーか男性不信のお前にそんなことできねぇよ。そんな血の気引かせた顔しやがって。」
そう言ってサベダーさんは壁ドンをする気はないという意思表明をしてきた。
だけど、荘園の主はここまでお見通しで…。もし一度言っても壁ドンしなかったならある言葉を言えと言われていた。
「……え…、えだまめ…、のくせに……。」
おずおずとその言葉を言うと、怪訝な顔をしていたはずのサベダーさんの顔がピキ―っと固まった。
そして顔を俯かせた……かと思いきや、そのままツカツカと早歩きでこっちへやって来る。
私は更に血の気を引かせながらあたふたしていると、あっという間に壁に追いやられた。そして、私の体の横に足をドンっと置くとそのままグイっと顔を近付けられ、お望み……ではなく、荒々しい壁ドンをされた。
だけどそれに留まらず、顎をクイッと持ち上げられたせいで強制的にサベダーさんの顔を見上げることになる。
見上げたその顔は青筋を浮かべており、殺し屋みたいな鋭い目付きをしながらニィ…と悪そうな笑みを浮かべている…!
「なかなか言ってくれるじゃねぇかよこの口は…!」
「ヒイィィィッ!!違うんです違うんですっ!!ごめんなさいっっ!!!」
……こ、この後めっちゃ説明してめっちゃ謝った…。
(ちなみに謝ったら「逆にすまねぇ」と謝られた。)
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