悪い女(曲芸師)
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「あら?あなたから話しかけてくるだなんて珍しいわね。」
目の前の黒髪の女、マルガレータ・ツェレ……いや、ナタリーがそう言った。僕はなんだか憎々しくて睨んでしまいそうになったけど、どうにか口角を上げて笑顔を保った。
「…君も僕もこの荘園に来てそれなりの時間が経った。そろそろお話してみてもいいんじゃないかと思ってね。
一体あの日は何があったの?」
僕がそう言うと、ナタリーはピクリと反応したように見えた。
「あの日ノイジーサーカスのみんなは君と君の恋人以外死んだ。僕がみんなの死体を確認したんだから間違いない。ここでどうしてもとある疑問が浮かぶんだ。
…ナタリー、君と君の恋人はがあの日ステージに出るのは最後だったはず。ノイジーサーカスのみんなは一人残らず死んでしまったのに…、
どうして最後にステージに登場するはずの君が生き残ってるの?」
…核心を突いたはず。だけどナタリーは不敵な笑みを浮かべるだけで何も言わない。それに苛立って無理矢理上げていた口角はヒクヒクと動いてしまった。
そんな中、「マル姐~?」と【名前】ちゃんの声がした。いつもなら大歓迎のかわいい声なのに、今このタイミングだから思わず舌打ちをしてしまった。
「あら?ノイジーサーカズの看板俳優であるマイク・モートンでもそんな野蛮な態度を取るのね。」
僕の態度にクスっと嫌な笑みを浮かべながらそう言うナタリーをキッと睨みつけると僕はその場を後にした。
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自室にて。僕はペンを片手に改めて招待状を見ていた。
招待状には裏面に「ナタリー」と書かれた写真が同封されており、これを見て僕はこの荘園にやって来た。今日ほど核心を突いた話し方はしてないものの、今までも何回かナタリーと話す機会はあった。なのにナタリーはあの日のことを話そうとしない。
僕はただ僕の世界を壊した犯人を捜してるだけなのに…!
改めてそう思うとギリ…と歯を食い縛りながら思わずペンをナタリーの写真に突き刺してしまった。そして黒い感情がもやもやと僕の中に広がっていく。
そんな中、急にドアをノックする音が聞こえてきた。
「モ…、モートンさん…!私です!【名前】です!」
……こんな時に限って【名前】ちゃんか…。今日の【名前】ちゃんはなんだかタイミングが悪い。
そう思いながらも深くため息を吐いてからゆっくり深呼吸する。そしていつも通りの笑顔を浮かべてドアに向かい、ガチャリとドアを開けた。
「どうしたの【名前】ちゃん?」
僕がそう声をかけると、小動物のように小刻みに震えている。そして「あの…、これ…」とおずおずと何かを差し出してきた。
「マ…、マル姐がモートンさんのじゃないかって…。話をしてたからって…。」
「あ、うん。僕のだね。わざわざありがとう。」
そう言ってそれを受け取った。【名前】ちゃんのことだからそそくさとどこかに行くだろうとドアを閉めようとした。だけど、【名前】ちゃんはその場を動かず震えたまま僕の顔をじっと見てくる。
「なぁに?僕の顔に何かついてる?」
「…………マル姐と…、何かありました…?」
おずおずとそう口にする【名前】ちゃん。僕は思わず笑顔が崩れて目を見開いてしまった。
「あ……、ご、ごめんなさい!よよよ余計な事聞いちゃいましたよね!とととというか!マル姐って小悪魔っぽいところあるから困っちゃいますよね!」
【名前】ちゃんは冷や汗を垂らしながら何やら焦ってそんなことを言ってきた。しかも何かすごく誤解してる…。僕はなんだか無性に腹が立って【名前】ちゃんの細い手首を掴むと部屋の中に引きずり込んでやった。
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