伏せ字だらけのアイラブユー
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(pixivに「私の愛するグリムリーパー」というタイトルで同内容を掲載しています。)
※流血・残酷描写
※死の表現
※モブの描写
夜が更けた今、ベッドの上で未だに痛む頬を撫でていた時のことだ。窓が突然ガシャガシャと不自然な揺れ方をした。
……なんとも不気味なこの荘園のことだ、もしや幽霊でも出たんじゃないか──。ありもしないそんなことを思わず考えてしまった私は、血の気を引かせながらゆっくりと窓の方を見る。
見るなりギョッとした。なぜなら窓に人が張り付いていたからだ。
「ななな…っ、何ッ!?何でッ!?何してるんですかッ!?」
急いで窓に駆け寄った私は、窓を開けるなり思わず騒いでしまった。だけどその不審者は意に介していない様子で、私に「すまん、すまん」と適当な断りを入れると窓から部屋に入ってきた。
「いきなり悪ィな。」
「悪すぎますよ私の心臓にッ!」
「恋人がいる女の部屋にドアから堂々と入るのはマズイかと思ってな。」
「あ~…、なるほど。だから窓から来たんですね。そういやナワーブさんってクライミング得意って言ってましたもんね。お気遣いありがとう──って!この入り方もどうかと思いますけどッ!?」
窓の縁に腰掛ける不審者ことナワーブさんは、私の言葉を受けてようやくマズかったと気付いたらしい。少しばかり申し訳なさそうに冷や汗を垂らしながら「悪ィ悪ィ」と私を宥めてきた。
……いや、私からこう言われるまで少しもマズイと思わなかったのか。というか、その変な気の遣い方は何なんだ。そんなことを考えると次第におもしろくなってきて、ついに耐えきれなくなった私はプッと吹き出してしまった。
「……ちょっとうれしく思っちゃってる私って何なんですかね?」
「そうか。今になって逢い引きしに来たみたいでマズいと思い始めてたんだが……。…まあ、よかった。」
「何それっ?!」
ナワーブさんの口から「逢い引き」なんて言葉が出てくるのはなんだかおもしろかった。というか、こんな「逢い引き」などあってたまるか──。そんなことを考えているとたまらなくおもしろくて、両手でお腹を押さえながら笑ってしまった。笑いつつもローボードへとやってくると、ローボードの上に置いていたお酒を手に取り、振り返ってナワーブさんにこれを見せつけた。
「お酒ありますよ! 飲みます?」
「窓から入ってくるような奴に酒を勧めるなよ。」
夜這いだったらどうするんだ? と、またもナワーブさんには似つかわしくない言葉にプクプクと笑いながら、用意した2つのグラスにトクトクとお酒を注ぐ。それを両手に持って窓の縁まで持っていくと、内1つをナワーブさんに手渡した。律儀にも窓の縁から一歩も動かないあなたが夜這いなんてするわけないでしょ──、そんなことを考えながら私も窓の縁に腰かけるとナワーブさんと乾杯した。
一口コクリと飲むと、鼻からアルコールが抜けてくる。その余韻を味わった後、なんとなく夜空を見上げた。真っ黒な夜空にはキラキラと輝く星々とすっかり薄っぺらくなった月が浮かんでいる。
「…明日は新月ですかね?」
「明後日だな。」
「詳しいんですね。」
「まあな。…それに、新月の日は動きやすい。」
「動きやすい」──、その意図を理解できなかった私はナワーブさんを見る。だけど、フードにより目元が隠れてしまっているその顔は何を考えているかわからなかった。ただ、なんとなくそれ以上は聞いてはいけない気がして、代わりにお酒をゴクリと飲み込んだ。
「……痛むか?」
そんな時、ナワーブさんはこう言いながら私に手を伸ばしてきた。伸ばされた手が頬に触れた瞬間、頬がズキリと痛む──
私がこの荘園へやって来たのは恋人である“彼”についてきたからだ。断ることなどできなかった。なぜなら、“彼”の機嫌を損ねたくなかったからだ。……“彼”は、どんな些細なことでも気に入らなければ暴言や態度による精神的なプレッシャーをかけてきた。でも、なぜか私は「好きだから」「私が悪かったのかもしれないから」と理由をこじつけて我慢することを選び続けていた。
私がそんなだからこの荘園に来てからも“彼”の態度は変わらなかった。いや、むしろ悪化した。ついには暴力を奮うようになったのだ。
そんな私を助けてくれたのはナワーブさんだった。私が“彼”に詰られていると間に割って入ってくれたり、“彼”から受けた暴力による怪我を気遣ってくれたり。部屋にまで乗り込んで来てくれたことだってある。
他にも語り切れない程ナワーブさんは助けてくれたし、何かと私のことを気遣ってくれた。そんなナワーブさんの優しさに幾度となく触れ、私はようやく目が醒めてきた。
“彼”はそんな私の異変を察知したらしい。どこから仕入れたのか、婚約指輪を私に差し出してプロポーズしてきたのだ。
キラキラと光る婚約指輪は多くの女性にとって幸せのシンボルだろう。だけど、目が醒めた私にとってそれはおぞましい物以外の何ものでもなかった。こんな物を受け取ってしまっては“彼”からいよいよ逃げられなくなってしまう──、そう恐怖した。でも、とりあえず笑顔を取り繕って「今の私ではあなたにふさわしくないから少し待ってほしい」とやんわりと断った。……まあ、問題の先送りには成功した。だけど、“彼”にとってこれは気に食わない返事だったらしく、頬を思いっきり殴られてしまった──
ナワーブさんは私のこの頬のアザについて誰かから聞いたのだろうか。だとしたら、心配をかけてしまったな……。……ああ、だからこそこんな奇行に走ってまで私に会いに来てくれたんだろうか。そんなことを考えて思わず苦笑いをした。
「いつもすみません。気にかけてもらっちゃって……。」
「気にするな。俺が勝手に気にかけてるだけだ。……【名前】はいい奴だからな。幸せになってもらいたいんだ。」
そう言いながらいつの間にか目をそらしてしまったナワーブさんに、思わず目をぱちくりとさせた。……いや、だって。この人、今、照れてるんじゃないだろうか。もしかして、そのそらした顔を赤くして、照れてるんじゃないだろうか。
「ちょっ、何で顔背けるんですか!こっち向いてくださいよ!」
「やっ、やめろ!」
「じゃっ、じゃあ!私のどんなところがいい奴だと思ったんですか!?」
「……窓からやって来ても部屋に入れてくれるところだな。」
思わずプフッと吹き出した。
「もう!そこですか!? 他にないんですか!」
「いや……、他にもあるけど……」
「っていうか、それはナワーブさんだからですよ!例えば、キャンベルさんが窓に張り付いてたら絶対部屋の中に入れませんもん。」
私がそう言うと、今度はナワーブさんが吹き出した。
「ま…っ、待て待て…っ!……っあのノートンが? 窓に? 張り付いてるのか…?」
「ちょ…っ、ちょっと…っ!やめてくださいよ…っ!…そっ、想像しちゃったじゃないですか…っ!」
「お…っ、お前が言い出したんだろ…!」
この荘園の中でも比較的体の大きなあのキャンベルさんが窓に張り付いている姿を想像してみると、予想以上におもしろかった。だから二人して肩を震わせながらプクプクと笑ってしまった。
込み上がる笑いがようやく落ち着いて、はー…と一息吐く。こんなに笑ったのは久しぶりだ。こんな楽しい気持ちを肴にお酒をゴク、ゴクと飲んだ。
「ねぇ、もしホントにキャンベルさんが窓に張り付いてたらどうしたらいいですか?」
「窓をバンバン叩いて叩き落としとけ。」
「ちょ…、私、殺人者になっちゃうじゃないですか。ナワーブさんがどうにかしてくださいよ。」
「仕方ねェなぁ。」
それからはそんな他愛もない話をひたすらした。する話はどれもしょうもない話ばかりのくせにどれもとても楽しくって……。そのおかげでお酒が進んで、いつの間にか2本目に突入した。
だけど、2本目の途中ぐらいからだろうか。楽しいという感覚はしっかりわかるものの、ナワーブさんと今何の話をしているかいまいちわからなくなってきた。そうこうしている内に記憶はブチンと途切れ……──
──気が付けば私はぬくぬくとベッドの中で寝ていて、外はもう明るくなっていた。
「いたたた……」
楽しかった代償なのか、いわゆる二日酔いで頭がギンギンと痛む。頭を押さえつつ起き上がった私は、頭の中で思い出せない昨日の記憶をまさぐった。……結局思い出せなかった。途端に嫌な予感がしてきて、まさか……と思いながらも勢いよくシーツをめくりあげる。しかし、幸いにも隣にはナワーブさんの姿はなかった。
……よくよく考えてみるとナワーブさんがそんなことをするわけがないわけで。ホッと胸を撫で下ろした私は、のそのそとベッドから下りた。
「…ナワーブさん?」
ではナワーブさんはどこに行ったのか、そう思ってナワーブさんの名前を呼んでみる。だけど、返事は返ってこなかった。洗面所やベッドの下やクローゼットの中までもを確認してみたけれど、やっぱりナワーブさんの姿はどこにもなかった。
ふとローボードに目をやると、ローボードの隅に空になった酒瓶がまとめて置かれていることに気が付いた。更にその横には、洗われた2つのグラスがふきんに伏せて置かれている。そこにはあまり綺麗とは言えない字で「しっかり休めよ」とメモが添えられていた。この字はたぶんナワーブさんの字だ。私は思わずフフッと笑いを零しながら、昨晩ナワーブさんが腰かけていた窓に近付いた。
「ここから帰ったのかな…?」
鍵が開いたままの窓を見て、ふとそんなことを呟いた。そのまま窓を開けてみると、窓からは爽やかな風が入ってくる。二日酔いによる頭痛に苛まれている私にはこれが心地よくて、この晴れがずっと続けばいいのに──なんて考えた。
だけど、残念ながら晴れはそんなに続かなかった。ナワーブさんが新月になると言っていた今日は曇りだ。黒い雲から察するに、明日には雨が降るだろうと思われる。天気により頭痛が現れる体質の私は例に漏れずジンジンと頭が痛み、ゲームがないことをいいことにずっとベッドにうずくまっていた。
なぜか慌ただしく過ごしているはずの普段より時間が過ぎるのが早かった。途中、ドアの方から“彼”だと思われるノック音がドン!ドン!ドン!となったけれど、それも無視し続けて。そうこうしている間に夜がやって来ると、ふとナワーブさんの言葉を思い出した。本当に今日は新月なんだろうか──、そんなことを考えてベッドに寝転んだまま窓の外を見てみる。だけど、残念ながら夜空にはあの黒い雲がかかっていて、新月かどうかを確かめることはできなかった。
なんとなくこれを残念に思った。思いながらも本日幾度目かのまどろみに落ちると、いつの間にかまた眠っていた。
コン、コン、コン!
コン、コン、コン!
そんな惰眠を貪った翌日、ドアから何度も鳴るノック音によりゆっくりと目を覚ました。窓の外にはザーザーと雨が降り注いでおり、やっぱり今日は雨かなんて思いながら気だるい体をのそのそと動かした。
……控えめなノックの音からして“彼”ではなさそうだ。そう安心しながらドアを開けると、そこにはエマさんが立っていた。
「……た…っ、体調は…、大丈夫……?」
そう言いながら私の体調を気遣ってくれているエマさんの様子はどうもおかしかった。冷や汗を垂らしながら青ざめており、体も小刻みに震えている。只事ではなさそうだと感じた私は、恐る恐る口を開いた。
「あの…、エマさん? 大丈夫…ですか? ……何か、あったんですか…?」
「……………、……ころ、されたの…」
しばらくの迷いの後、エマさんは震える口でそう言ってきた。とはいえ、「殺された」とは何なのか──、いまいち要領を得なかったものの、エマさんは震える手で私の手を掴むとゆっくりと歩き出した。
そうしてやって来たのは“彼”の部屋。部屋の中では数名が、床に流れている大量の赤黒い液体を取り囲むようにして立っている。その中央には何かがあるようだ。
一体何があるのか──、嫌な予感に鼓動が速く打つものの、ゆっくりとゆっくりと彼らに近付いた。するとその時、その数名の内の1人であったナワーブさんが私に気付いて、焦った様子で駆け寄ってきた。
「見るな【名前】!」
だけど、そう言われた時にはもう遅かった。彼らの隙間から、青白くなっている“彼”が目に入ってきたのだ。それが見えた瞬間、全身の毛がぞわりと逆立って思わず全身から力が抜けた。
そのまま崩れ落ちるかと思ったけれど、膝がつく寸前のところで体をガシッと抱き止められる。これがナワーブさんだとわかったけれど、これにお礼を言える程の余裕などなかった。
そんな中、ふと床に物が落ちているのが目に入った。あれはリングケースだ。あの中にはおぞましい婚約指輪が入っていたはずだ。だけど──
「……あ、れ……?」
開かれているリングケースの中には、あの婚約指輪が入っていなかった。
「どうした?」
「……あれ…が、ない………」
「……婚約指輪のことか?」
ナワーブさんは、私の視線から私が言う「あれ」が婚約指輪のことだと察してくれたらしい。違和感を感じたのも束の間、ローボードの隅に目を向けた私は、突如として全身の血の気がサーッと引いていくような感覚に襲われた。
「ない…、………いない…っ、いないんです……っ!」
そう言いながらナワーブさんの腕を振り払った私は、よたよたと震える足でローボードに向かう。そして隅の方でふきんに伏せて置かれている2個のグラスを思い切り払い落した。
パリーンパリーンッと勢いよく割れたグラスの音が部屋に響き渡る。その音により注目を集めてしまったらしい。その場にいる全員が私を見ている気がする。だけど、そんなことには構わずに私は、「いない…!いない…!」と言いながらローボードの引き出しや扉を手当たり次第開けまくった。
「ねぇ!!落ち着いてなの【名前】!!」
こんな私の行動を見かねたのだろう、エマさんは私に駆け寄ると私の両手を掴んで自身の方へと向き直らせた。その表情は心配と困惑と恐怖が入り混じったような何とも言えない表情をしていた。そんな彼女に私は震えつつも口を開いた。
「いない…っ、いないんです…、……彼が…、どこにも……」
震えつつ遠慮がちにそう言った私に、エマさんはいよいよ困惑と恐怖の色を強くした。するとその時、そんなエマさんと私の間を遮るかのように誰かが割って入ってきた。
「ウッズ嬢、あとは任せてくれ。」
それはどうやらナワーブさんのようで。エマさんは声を震わせながら「わかったなの…」と答えると、私から震える手をゆっくり離した。そうしてエマさんの手が離れたことを確認すると、ナワーブさんは私の体を軽々と横抱きにし、そのまま部屋を後にした。
「不用心だな。部屋から出るときは鍵を閉めといた方がいいぞ。」
今のナワーブさんが言える精一杯のジョークだったんだろうか。私の部屋に着くなりそう言った。だけど、今の私にはこのジョークをジョークとして捉えられる程の余裕などなかった。
「……犯人、ドアから…来たんですか…?」
「……窓からだ。……この雨で証拠は洗い流されてるだろうな。」
そう答えつつナワーブさんはベッドまでやってくると、私をそっと降ろした。そして横たわる私に布団を被せると、私に手を伸ばし、頬にそっと手を添えた。ようやく薄くなってきた頬のアザを撫でるその手はあまりにも優しかった。そんなナワーブさんに恐る恐口を開いた。
「……な、んで、アレが……、……あの中にあったのが……婚約指輪って……」
リングケースの中に指輪がないと気付いた時のこと──、ナワーブさんはあの中身をすんなりと「婚約指輪」だと言った。
なぜナワーブさんはあのリングケースの中には「婚約指輪」が入っていたと思ったのか。それは昨晩、ナワーブさんが“彼”に会ったからではないだろうか。証拠を残さないようわざわざ窓から侵入して、そこで“彼”と話をして、“彼”が私にプロポーズしたくだりを聞いた。だからこそあのリングケースの中身が「婚約指輪」だと知っていた──。
なぜナワーブさんが“彼”を殺すに至ったのか、だからこそ証拠を残さないよう“彼”の部屋に行ったのか、指輪はどこに行ったのか──、その詳細までは分かり得ない。だから決定打などない。なので、ここからはあくまで私の推察……、いや、むしろ私にとって都合のいい妄想だ──
まず、昨日は新月だった。ナワーブさんは「新月は動きやすい」と言っていた。その時はその言葉の意味がわからなかったけど、今ならナワーブさんにとって月明かりのない新月は闇に紛れて行動を起こしやすいという意味と捉えてしまうのだ。
次に、ナワーブさん自身が犯人は窓から入ってきたと言ったこと。これは単純に、そんな芸当ができるのはこの荘園じゃナワーブさんぐらいだからだ。
そして、何よりローボードに2つのグラスが伏せて置かれていたことだ。“彼”は使った物を洗った上で伏せて置いておくなんてそんなまめなことはしない。加えてグラスが2つあったのは、誰かが部屋に来ていた可能性が考えられるのだ。
……“彼”は、幾度となく私との間に割って入ってくるナワーブさんのことを疎ましく思いつつも恐れていた。それにナワーブさんに目をつけられている自覚もあったことだろう。“彼”は意外と小心者なのだ。ナワーブさんの機嫌を損ねないよう、さすがに水ぐらいは用意したんじゃないのかな。ナワーブさんはそれに口をつけてしまったため証拠隠滅を図ったのか、はたまたグラスをそのままにしていくことがただ単にためらわれたのか。私の部屋でもそうしてくれていたように、“彼”の部屋でも同じようにグラスを洗ってふきんに伏せて置いたのかもしれない──。
2つのグラスが目に入ったあの瞬間、確証はないとはいえナワーブさんが犯人だと思った。だから思わず血の気を引かせたのだ。……だって、もしあのグラスの置き方がナワーブさんの癖なのなら、見覚えのある人がいるかもしれない。となると、あれが証拠となってしまうかもしれない。そうなると、ナワーブさんに疑いの目が向けられることだろう。
だから私は咄嗟に気が狂ったフリをして、グラスを払い落としたのだ。もうそこにないものを証拠にはできないからね。
「あんな指輪……、なくなってよかった……。私には……おぞましい物だから……。……あれを…、あれを消してくれたのが、…ナワーブさんなのなら……──」
期待を口にし、心臓がけたたましい程に鳴る。ナワーブさんはそんな私をただただ見つめていたけれど、次第にその目をにんまりと細めて口角を上げた。……それは、薄ら笑いとも微笑とも取れるような表情だ。
その表情のまま、ナワーブさんはおもむろに口を開いた──
【時計仕掛けのグリムリーパー fin.】
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果たしてそれは、「薄ら笑い」なのか「微笑み」なのか──。
次ページ→お題【煮ない焼かない噛みつかない】
※流血・残酷描写
※死の表現
※モブの描写
夜が更けた今、ベッドの上で未だに痛む頬を撫でていた時のことだ。窓が突然ガシャガシャと不自然な揺れ方をした。
……なんとも不気味なこの荘園のことだ、もしや幽霊でも出たんじゃないか──。ありもしないそんなことを思わず考えてしまった私は、血の気を引かせながらゆっくりと窓の方を見る。
見るなりギョッとした。なぜなら窓に人が張り付いていたからだ。
「ななな…っ、何ッ!?何でッ!?何してるんですかッ!?」
急いで窓に駆け寄った私は、窓を開けるなり思わず騒いでしまった。だけどその不審者は意に介していない様子で、私に「すまん、すまん」と適当な断りを入れると窓から部屋に入ってきた。
「いきなり悪ィな。」
「悪すぎますよ私の心臓にッ!」
「恋人がいる女の部屋にドアから堂々と入るのはマズイかと思ってな。」
「あ~…、なるほど。だから窓から来たんですね。そういやナワーブさんってクライミング得意って言ってましたもんね。お気遣いありがとう──って!この入り方もどうかと思いますけどッ!?」
窓の縁に腰掛ける不審者ことナワーブさんは、私の言葉を受けてようやくマズかったと気付いたらしい。少しばかり申し訳なさそうに冷や汗を垂らしながら「悪ィ悪ィ」と私を宥めてきた。
……いや、私からこう言われるまで少しもマズイと思わなかったのか。というか、その変な気の遣い方は何なんだ。そんなことを考えると次第におもしろくなってきて、ついに耐えきれなくなった私はプッと吹き出してしまった。
「……ちょっとうれしく思っちゃってる私って何なんですかね?」
「そうか。今になって逢い引きしに来たみたいでマズいと思い始めてたんだが……。…まあ、よかった。」
「何それっ?!」
ナワーブさんの口から「逢い引き」なんて言葉が出てくるのはなんだかおもしろかった。というか、こんな「逢い引き」などあってたまるか──。そんなことを考えているとたまらなくおもしろくて、両手でお腹を押さえながら笑ってしまった。笑いつつもローボードへとやってくると、ローボードの上に置いていたお酒を手に取り、振り返ってナワーブさんにこれを見せつけた。
「お酒ありますよ! 飲みます?」
「窓から入ってくるような奴に酒を勧めるなよ。」
夜這いだったらどうするんだ? と、またもナワーブさんには似つかわしくない言葉にプクプクと笑いながら、用意した2つのグラスにトクトクとお酒を注ぐ。それを両手に持って窓の縁まで持っていくと、内1つをナワーブさんに手渡した。律儀にも窓の縁から一歩も動かないあなたが夜這いなんてするわけないでしょ──、そんなことを考えながら私も窓の縁に腰かけるとナワーブさんと乾杯した。
一口コクリと飲むと、鼻からアルコールが抜けてくる。その余韻を味わった後、なんとなく夜空を見上げた。真っ黒な夜空にはキラキラと輝く星々とすっかり薄っぺらくなった月が浮かんでいる。
「…明日は新月ですかね?」
「明後日だな。」
「詳しいんですね。」
「まあな。…それに、新月の日は動きやすい。」
「動きやすい」──、その意図を理解できなかった私はナワーブさんを見る。だけど、フードにより目元が隠れてしまっているその顔は何を考えているかわからなかった。ただ、なんとなくそれ以上は聞いてはいけない気がして、代わりにお酒をゴクリと飲み込んだ。
「……痛むか?」
そんな時、ナワーブさんはこう言いながら私に手を伸ばしてきた。伸ばされた手が頬に触れた瞬間、頬がズキリと痛む──
私がこの荘園へやって来たのは恋人である“彼”についてきたからだ。断ることなどできなかった。なぜなら、“彼”の機嫌を損ねたくなかったからだ。……“彼”は、どんな些細なことでも気に入らなければ暴言や態度による精神的なプレッシャーをかけてきた。でも、なぜか私は「好きだから」「私が悪かったのかもしれないから」と理由をこじつけて我慢することを選び続けていた。
私がそんなだからこの荘園に来てからも“彼”の態度は変わらなかった。いや、むしろ悪化した。ついには暴力を奮うようになったのだ。
そんな私を助けてくれたのはナワーブさんだった。私が“彼”に詰られていると間に割って入ってくれたり、“彼”から受けた暴力による怪我を気遣ってくれたり。部屋にまで乗り込んで来てくれたことだってある。
他にも語り切れない程ナワーブさんは助けてくれたし、何かと私のことを気遣ってくれた。そんなナワーブさんの優しさに幾度となく触れ、私はようやく目が醒めてきた。
“彼”はそんな私の異変を察知したらしい。どこから仕入れたのか、婚約指輪を私に差し出してプロポーズしてきたのだ。
キラキラと光る婚約指輪は多くの女性にとって幸せのシンボルだろう。だけど、目が醒めた私にとってそれはおぞましい物以外の何ものでもなかった。こんな物を受け取ってしまっては“彼”からいよいよ逃げられなくなってしまう──、そう恐怖した。でも、とりあえず笑顔を取り繕って「今の私ではあなたにふさわしくないから少し待ってほしい」とやんわりと断った。……まあ、問題の先送りには成功した。だけど、“彼”にとってこれは気に食わない返事だったらしく、頬を思いっきり殴られてしまった──
ナワーブさんは私のこの頬のアザについて誰かから聞いたのだろうか。だとしたら、心配をかけてしまったな……。……ああ、だからこそこんな奇行に走ってまで私に会いに来てくれたんだろうか。そんなことを考えて思わず苦笑いをした。
「いつもすみません。気にかけてもらっちゃって……。」
「気にするな。俺が勝手に気にかけてるだけだ。……【名前】はいい奴だからな。幸せになってもらいたいんだ。」
そう言いながらいつの間にか目をそらしてしまったナワーブさんに、思わず目をぱちくりとさせた。……いや、だって。この人、今、照れてるんじゃないだろうか。もしかして、そのそらした顔を赤くして、照れてるんじゃないだろうか。
「ちょっ、何で顔背けるんですか!こっち向いてくださいよ!」
「やっ、やめろ!」
「じゃっ、じゃあ!私のどんなところがいい奴だと思ったんですか!?」
「……窓からやって来ても部屋に入れてくれるところだな。」
思わずプフッと吹き出した。
「もう!そこですか!? 他にないんですか!」
「いや……、他にもあるけど……」
「っていうか、それはナワーブさんだからですよ!例えば、キャンベルさんが窓に張り付いてたら絶対部屋の中に入れませんもん。」
私がそう言うと、今度はナワーブさんが吹き出した。
「ま…っ、待て待て…っ!……っあのノートンが? 窓に? 張り付いてるのか…?」
「ちょ…っ、ちょっと…っ!やめてくださいよ…っ!…そっ、想像しちゃったじゃないですか…っ!」
「お…っ、お前が言い出したんだろ…!」
この荘園の中でも比較的体の大きなあのキャンベルさんが窓に張り付いている姿を想像してみると、予想以上におもしろかった。だから二人して肩を震わせながらプクプクと笑ってしまった。
込み上がる笑いがようやく落ち着いて、はー…と一息吐く。こんなに笑ったのは久しぶりだ。こんな楽しい気持ちを肴にお酒をゴク、ゴクと飲んだ。
「ねぇ、もしホントにキャンベルさんが窓に張り付いてたらどうしたらいいですか?」
「窓をバンバン叩いて叩き落としとけ。」
「ちょ…、私、殺人者になっちゃうじゃないですか。ナワーブさんがどうにかしてくださいよ。」
「仕方ねェなぁ。」
それからはそんな他愛もない話をひたすらした。する話はどれもしょうもない話ばかりのくせにどれもとても楽しくって……。そのおかげでお酒が進んで、いつの間にか2本目に突入した。
だけど、2本目の途中ぐらいからだろうか。楽しいという感覚はしっかりわかるものの、ナワーブさんと今何の話をしているかいまいちわからなくなってきた。そうこうしている内に記憶はブチンと途切れ……──
──気が付けば私はぬくぬくとベッドの中で寝ていて、外はもう明るくなっていた。
「いたたた……」
楽しかった代償なのか、いわゆる二日酔いで頭がギンギンと痛む。頭を押さえつつ起き上がった私は、頭の中で思い出せない昨日の記憶をまさぐった。……結局思い出せなかった。途端に嫌な予感がしてきて、まさか……と思いながらも勢いよくシーツをめくりあげる。しかし、幸いにも隣にはナワーブさんの姿はなかった。
……よくよく考えてみるとナワーブさんがそんなことをするわけがないわけで。ホッと胸を撫で下ろした私は、のそのそとベッドから下りた。
「…ナワーブさん?」
ではナワーブさんはどこに行ったのか、そう思ってナワーブさんの名前を呼んでみる。だけど、返事は返ってこなかった。洗面所やベッドの下やクローゼットの中までもを確認してみたけれど、やっぱりナワーブさんの姿はどこにもなかった。
ふとローボードに目をやると、ローボードの隅に空になった酒瓶がまとめて置かれていることに気が付いた。更にその横には、洗われた2つのグラスがふきんに伏せて置かれている。そこにはあまり綺麗とは言えない字で「しっかり休めよ」とメモが添えられていた。この字はたぶんナワーブさんの字だ。私は思わずフフッと笑いを零しながら、昨晩ナワーブさんが腰かけていた窓に近付いた。
「ここから帰ったのかな…?」
鍵が開いたままの窓を見て、ふとそんなことを呟いた。そのまま窓を開けてみると、窓からは爽やかな風が入ってくる。二日酔いによる頭痛に苛まれている私にはこれが心地よくて、この晴れがずっと続けばいいのに──なんて考えた。
だけど、残念ながら晴れはそんなに続かなかった。ナワーブさんが新月になると言っていた今日は曇りだ。黒い雲から察するに、明日には雨が降るだろうと思われる。天気により頭痛が現れる体質の私は例に漏れずジンジンと頭が痛み、ゲームがないことをいいことにずっとベッドにうずくまっていた。
なぜか慌ただしく過ごしているはずの普段より時間が過ぎるのが早かった。途中、ドアの方から“彼”だと思われるノック音がドン!ドン!ドン!となったけれど、それも無視し続けて。そうこうしている間に夜がやって来ると、ふとナワーブさんの言葉を思い出した。本当に今日は新月なんだろうか──、そんなことを考えてベッドに寝転んだまま窓の外を見てみる。だけど、残念ながら夜空にはあの黒い雲がかかっていて、新月かどうかを確かめることはできなかった。
なんとなくこれを残念に思った。思いながらも本日幾度目かのまどろみに落ちると、いつの間にかまた眠っていた。
コン、コン、コン!
コン、コン、コン!
そんな惰眠を貪った翌日、ドアから何度も鳴るノック音によりゆっくりと目を覚ました。窓の外にはザーザーと雨が降り注いでおり、やっぱり今日は雨かなんて思いながら気だるい体をのそのそと動かした。
……控えめなノックの音からして“彼”ではなさそうだ。そう安心しながらドアを開けると、そこにはエマさんが立っていた。
「……た…っ、体調は…、大丈夫……?」
そう言いながら私の体調を気遣ってくれているエマさんの様子はどうもおかしかった。冷や汗を垂らしながら青ざめており、体も小刻みに震えている。只事ではなさそうだと感じた私は、恐る恐る口を開いた。
「あの…、エマさん? 大丈夫…ですか? ……何か、あったんですか…?」
「……………、……ころ、されたの…」
しばらくの迷いの後、エマさんは震える口でそう言ってきた。とはいえ、「殺された」とは何なのか──、いまいち要領を得なかったものの、エマさんは震える手で私の手を掴むとゆっくりと歩き出した。
そうしてやって来たのは“彼”の部屋。部屋の中では数名が、床に流れている大量の赤黒い液体を取り囲むようにして立っている。その中央には何かがあるようだ。
一体何があるのか──、嫌な予感に鼓動が速く打つものの、ゆっくりとゆっくりと彼らに近付いた。するとその時、その数名の内の1人であったナワーブさんが私に気付いて、焦った様子で駆け寄ってきた。
「見るな【名前】!」
だけど、そう言われた時にはもう遅かった。彼らの隙間から、青白くなっている“彼”が目に入ってきたのだ。それが見えた瞬間、全身の毛がぞわりと逆立って思わず全身から力が抜けた。
そのまま崩れ落ちるかと思ったけれど、膝がつく寸前のところで体をガシッと抱き止められる。これがナワーブさんだとわかったけれど、これにお礼を言える程の余裕などなかった。
そんな中、ふと床に物が落ちているのが目に入った。あれはリングケースだ。あの中にはおぞましい婚約指輪が入っていたはずだ。だけど──
「……あ、れ……?」
開かれているリングケースの中には、あの婚約指輪が入っていなかった。
「どうした?」
「……あれ…が、ない………」
「……婚約指輪のことか?」
ナワーブさんは、私の視線から私が言う「あれ」が婚約指輪のことだと察してくれたらしい。違和感を感じたのも束の間、ローボードの隅に目を向けた私は、突如として全身の血の気がサーッと引いていくような感覚に襲われた。
「ない…、………いない…っ、いないんです……っ!」
そう言いながらナワーブさんの腕を振り払った私は、よたよたと震える足でローボードに向かう。そして隅の方でふきんに伏せて置かれている2個のグラスを思い切り払い落した。
パリーンパリーンッと勢いよく割れたグラスの音が部屋に響き渡る。その音により注目を集めてしまったらしい。その場にいる全員が私を見ている気がする。だけど、そんなことには構わずに私は、「いない…!いない…!」と言いながらローボードの引き出しや扉を手当たり次第開けまくった。
「ねぇ!!落ち着いてなの【名前】!!」
こんな私の行動を見かねたのだろう、エマさんは私に駆け寄ると私の両手を掴んで自身の方へと向き直らせた。その表情は心配と困惑と恐怖が入り混じったような何とも言えない表情をしていた。そんな彼女に私は震えつつも口を開いた。
「いない…っ、いないんです…、……彼が…、どこにも……」
震えつつ遠慮がちにそう言った私に、エマさんはいよいよ困惑と恐怖の色を強くした。するとその時、そんなエマさんと私の間を遮るかのように誰かが割って入ってきた。
「ウッズ嬢、あとは任せてくれ。」
それはどうやらナワーブさんのようで。エマさんは声を震わせながら「わかったなの…」と答えると、私から震える手をゆっくり離した。そうしてエマさんの手が離れたことを確認すると、ナワーブさんは私の体を軽々と横抱きにし、そのまま部屋を後にした。
「不用心だな。部屋から出るときは鍵を閉めといた方がいいぞ。」
今のナワーブさんが言える精一杯のジョークだったんだろうか。私の部屋に着くなりそう言った。だけど、今の私にはこのジョークをジョークとして捉えられる程の余裕などなかった。
「……犯人、ドアから…来たんですか…?」
「……窓からだ。……この雨で証拠は洗い流されてるだろうな。」
そう答えつつナワーブさんはベッドまでやってくると、私をそっと降ろした。そして横たわる私に布団を被せると、私に手を伸ばし、頬にそっと手を添えた。ようやく薄くなってきた頬のアザを撫でるその手はあまりにも優しかった。そんなナワーブさんに恐る恐口を開いた。
「……な、んで、アレが……、……あの中にあったのが……婚約指輪って……」
リングケースの中に指輪がないと気付いた時のこと──、ナワーブさんはあの中身をすんなりと「婚約指輪」だと言った。
なぜナワーブさんはあのリングケースの中には「婚約指輪」が入っていたと思ったのか。それは昨晩、ナワーブさんが“彼”に会ったからではないだろうか。証拠を残さないようわざわざ窓から侵入して、そこで“彼”と話をして、“彼”が私にプロポーズしたくだりを聞いた。だからこそあのリングケースの中身が「婚約指輪」だと知っていた──。
なぜナワーブさんが“彼”を殺すに至ったのか、だからこそ証拠を残さないよう“彼”の部屋に行ったのか、指輪はどこに行ったのか──、その詳細までは分かり得ない。だから決定打などない。なので、ここからはあくまで私の推察……、いや、むしろ私にとって都合のいい妄想だ──
まず、昨日は新月だった。ナワーブさんは「新月は動きやすい」と言っていた。その時はその言葉の意味がわからなかったけど、今ならナワーブさんにとって月明かりのない新月は闇に紛れて行動を起こしやすいという意味と捉えてしまうのだ。
次に、ナワーブさん自身が犯人は窓から入ってきたと言ったこと。これは単純に、そんな芸当ができるのはこの荘園じゃナワーブさんぐらいだからだ。
そして、何よりローボードに2つのグラスが伏せて置かれていたことだ。“彼”は使った物を洗った上で伏せて置いておくなんてそんなまめなことはしない。加えてグラスが2つあったのは、誰かが部屋に来ていた可能性が考えられるのだ。
……“彼”は、幾度となく私との間に割って入ってくるナワーブさんのことを疎ましく思いつつも恐れていた。それにナワーブさんに目をつけられている自覚もあったことだろう。“彼”は意外と小心者なのだ。ナワーブさんの機嫌を損ねないよう、さすがに水ぐらいは用意したんじゃないのかな。ナワーブさんはそれに口をつけてしまったため証拠隠滅を図ったのか、はたまたグラスをそのままにしていくことがただ単にためらわれたのか。私の部屋でもそうしてくれていたように、“彼”の部屋でも同じようにグラスを洗ってふきんに伏せて置いたのかもしれない──。
2つのグラスが目に入ったあの瞬間、確証はないとはいえナワーブさんが犯人だと思った。だから思わず血の気を引かせたのだ。……だって、もしあのグラスの置き方がナワーブさんの癖なのなら、見覚えのある人がいるかもしれない。となると、あれが証拠となってしまうかもしれない。そうなると、ナワーブさんに疑いの目が向けられることだろう。
だから私は咄嗟に気が狂ったフリをして、グラスを払い落としたのだ。もうそこにないものを証拠にはできないからね。
「あんな指輪……、なくなってよかった……。私には……おぞましい物だから……。……あれを…、あれを消してくれたのが、…ナワーブさんなのなら……──」
期待を口にし、心臓がけたたましい程に鳴る。ナワーブさんはそんな私をただただ見つめていたけれど、次第にその目をにんまりと細めて口角を上げた。……それは、薄ら笑いとも微笑とも取れるような表情だ。
その表情のまま、ナワーブさんはおもむろに口を開いた──
【時計仕掛けのグリムリーパー fin.】
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果たしてそれは、「薄ら笑い」なのか「微笑み」なのか──。
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