2.
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「よかった~……。【名前】さんキレイになったし、その『上手に淹れてくれる人』って恋人なんじゃないかと思うと気が気じゃなくて──」
でも、その直後に出てきたこの言葉は全然予想してなくて、今度は私が持っていた資料をバタバタと落としながらコビー君の顔を見た。それと同時にコビー君も私の顔をハッとした様子で見ている。
──まさかこの人、私に恋人がいないとわかって安心した──???
そう考えてしまった途端、心臓の音がまたも大きく鼓動し始めて顔がカーッと熱くなっていくのを感じる。おまけにそれと同時にコビー君の顔まで真っ赤に染まっていくものだから、更に心臓の音が大きくなる。こんなにうるさく鳴ってたらコビー君に聞こえてしまうんじゃないかと心配になるくせになぜかコビー君から目を逸らせなくて……。ああ、この状況どうにかしなくっちゃ──……
……──でも、そんな心配は近づいてくる気配にかき消された。「どうしたんだい2人共?」と話しかけながら近付いてくるその声に、むしろ血の気が引いていく。ゆっくりゆっくりと声がした方に顔を向けてみると、にっこりと笑みを浮かべながらこちらに近付いてくる基地長の姿があった。
次第に震え出す体を無理やり動かして敬礼をする。
「お…っ、お疲れ様です……っ」
震える声を振り絞って挨拶をする。そんな私に基地長は「コビー大佐といたのか」や「迷惑はかけてないだろうね」などとニッコリ笑顔で声をかけてきた。傍から見たら一見他愛もない上司と部下の会話に聞こえるけど、その声色には苛立ちや若干の怒りが含まれていることが私にはわかる。そこから察するに、私が何か気に障ることをしてしまったのは明確で……、そうなればこの後どうなるかなんて決まり切っている。
──ああ、今日の運命は決まった……。
そう絶望した私の足は感覚がなくなる程痺れ始めた。
そんな時だった──
「────中将、資料を踏んでいます。」
まるで私を庇うかのように基地長と私の間に割って入ってきたコビー君は、私の前に立つなり基地長にこう言った。びっくりして思わずコビー君の顔を覗き込むも、何の悪気もない様子。これを見た私はびっくりするのも通り越して唖然とした。
基地長だってまさか自分に盾突く人間がいるとは思っていなかったらしくとてもびっくりしている様子。笑顔のままながらも青筋を浮かべつつ言い返すも、コビー君は「いえ、皆さんが使われる物なので。」とまた何の悪気もない様子で言い放った。だけど、基地長も負けじと「じゃあそもそも落とすな!」と珍しく真っ当なことを言い返してきた。
「あ、それは確かにそうですね。以後気を付けます。」
基地長としてはコビー君が更に言い返してくるものだと思っていたのだろう。だけど、今度はこう素直に謝ったものだから逆に腹が立ったらしい。ぐぬぬ…と歯を食い縛りながら拳を固く握っていた。私はこの光景に引き続き唖然としていたけれど、次第に零れそうになる笑いをこらえるのに必死になっていた。
そうこうしている内にコビー君は比較的軽い資料をてきぱきと拾い集めると、私に渡してきた。私がそれにお礼を言ったのも束の間、更に残っている重たそうな資料を拾い集めると自分で持ち、そのまま基地長に敬礼をする。
「では、僕たちはそろそろこれで。行きましょうか【名前】さん。」
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