1周年リクエスト企画
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※夢主が割とぶっ飛んでいます(笑)
ゲーム会場の待機室に繋がるドアのノブを握った瞬間、なんだかものすごく嫌な予感がした。嫌な予感というものはなぜだか高い確率で当たってしまうというのはこれまでの経験上から知っている。だからまだ見ぬ嫌な未来に思わず眉を少しひそめたものの、ドアをガチャリと開けてみた。
開かれたドアの向こうを見て、やっぱり嫌な予感が当たってしまったと思わず顔をしかめる。というのも、視線の先──、机の上には堂々と寝そべっている鯖の着ぐるみが目に入ったからだ。
着ぐるみにより体型が隠れているものの、こんな奇行をする奴なんてこの荘園には一人しかいない。そう思ったその時、一方の“鯖”も人の気配でも察知したのか、上半身をムクリと起き上がらせるとこちらに顔を向けてきた。
「ノおおぉぉぉトンキャンベルううぅぅッッ!!」
“鯖”はその気配の正体が僕だと分かるなり、目を輝かせつつ奇声を発しながら駆け寄って来た。だから“鯖”がいざ僕の目の前へとやって来た瞬間にドアをパタンと閉めてみると、その直後にゴンッと鈍い音がドアの向こうから聞こえてくる。この鈍い音に安堵のため息を吐くと、何事もなかったかのようにドアを開けてみた。
「ぬ゛お゛おおぉぉおぉぉぉおおおぉぉおおおおッッッ!鼻゛がああああッ!鼻゛があああああああッッ!!」
鼻を押さえながら地面をのたうち回っている“鯖”をしばらくの間見下ろした僕は、“鯖”を跨いで席へと向かう。そして何事もなかったかのように椅子に座ると、頬杖をつきながらこれから始まるゲームでどう立ち振る舞おうかと考えていた。だけどその時、横から伸びてきた指先がツンと僕の鼻先に触れてくる。だから横目で隣を見てみると、先程までのたうち回っていたはずの“鯖”が何食わぬ顔でそこにいた。
「もう!オイタは程々にするんだぞノートン・キャンベル☆」
ウインクをしながらそう言ってきた“鯖”に思わずイラっとし、額に青筋が浮かんできた。
この“鯖”こと【名前】は最近この荘園にやって来た女で、館内で台車を乗り回す、ゲーム中は逆にハンターを追いかけ回す、ふとした瞬間に目が合えばなぜかものすごい勢いで追いかけ回してくる…など、端麗な容姿に反し奇行が目立っていた。とはいえ、ここは訳ありの変人ばかりが集まってくるエウリュディケ荘園だ。彼女の奇行はただ単に「おもしろい」という風に評されて受け入れられていた。
だけど僕は彼女が苦手だ。だというのに……
「ノートン・キャンベルぅ〜!今日のあたしはいつもと何か違うと思わない〜?」
「………なんで鯖?」
「ふふ…、よく気が付いたな。」
「それに気付かない方がヤバイでしょ。」
「今日の【名前】様のイメージコーデは『鯖を着たサバイバー』!!なんつってぇ!!」
「ふーん。」
「すましてんじゃねぇよこのムッツリちゃんめ!かわいいだろ!?かわいいと言え!!」
「魚にはあんまり興味ないから。」
「はああっ!?鯖なのにっ!!?お前だってサバイバーなのにっ!!?」
「ちょっと何言いたいのかわからない。」
一方の彼女はというと、こんな感じで僕に何かと絡んでくる。前述した通り、彼女のことは苦手だしこんな絡みも面倒臭いからあしらうように適当な返しをしているけど、それでもなぜだか彼女はめげてはくれなかった。
一体何がしたいんだと考えてみたけど、きっとこの狂人のことだから何も考えてないんだろう。何で毎度毎度こんな意味のない絡みをされるんだと考えると思わずため息が漏れた。だけどそんな僕の心境も知らないだろう“鯖”は隣で「あ、ヤベ」などと言いながらもぞもぞと動いている。
「ちょ…っ、ごめんノートン・キャンベル。手伝って!」
「……何を?」
「鯖脱ぎてぇのに脱げねー。助けてっ!」
「ホント、君は何がしたいの?」
自分で脱げなくなるようなものを何のために着てきたんだ? そんな疑問が残ったものの、確かにこの格好のままゲームに参加しようものならチェイスなんてできやしないだろう。それは困ると思った僕は彼女の背後へと回った。
既に開かれていたファスナーの向こうにはもぞもぞと動いている彼女の本体が見える。その本体の脇の下辺りに手を伸ばすと、グイっと力を込めて引っ張ってみた。
「うおっ!?」
だけど必要以上の力を込めてしまったのか、驚きの声を漏らす彼女を持ったまま後ろへと倒れ込んでしまう。これにより背中に広がるわずかな痛みにほんの少し顔を歪めていたところ、手に何やら柔らかい感触がすることに気が付いた。
正直身に覚えのあるこの感触に嫌な予感がする……。そう思った瞬間には僕の前にいる彼女が勢いよく振り返ってきた。
「~~~~~っ!!」
「ごめん。わざとじゃない。」
顔を真っ赤にしながら言葉にならない声を発している彼女を見て、瞬時に両手を上に上げて故意ではないと主張する。だけど怒りなのか羞恥なのかが治まらない彼女は、僕の胸倉を両手で掴むとぐわんぐわんと僕を揺らした。
「お前~~っ!!お前えぇぇ~~~っっ!!!おっぱいをっ!よくも【名前】ちゃんのおっぱいを揉んだなああっ!!?」
「ごめんって。ホントにわざとじゃない。」
謝罪の言葉を口にしつつも、狂人だと思ってた彼女でもこういうことをされたらちゃんと恥ずかしがるぐらいのまともな感性はあるんだなとどこか安心した。だけどその瞬間、ビリッと豪快な音がしたかと思いきや、揺らされていた体がまたもバランスを崩し前へと倒れた。咄嗟に手を前に着いたものの……、気が付けば【名前】を押し倒しているような状況になっていた……。
【名前】は最初こそ真っ赤だった顔をきょとんとさせていたものの、次第に耳や首まで真っ赤に染め上げていった。だけど何か意を決したような表情をすると、目を瞑って口をすぼめてきた。
「いや、何してんの?」
僕がそんな発言をした直後、ガシャーンと何かが床に落ちたような音がした。だから音がした方を見てみると、開け放たれたドアのところには顔を真っ赤にしながら口をあんぐりと開いて立っているレズニックさんとウィリアムがいた。一瞬だけ二人はどうしてそんな表情をしているのかと思ったけど、すぐに答えは分かった。なんせ今僕は、肌をはだけさせながら【名前】を押し倒しており、押し倒されている【名前】もキスをせがむかのような表情をしている…。こんなの誤解しかされない…!
即座にそう気付いて冷や汗を垂らした瞬間には、ウィリアムがレズニックさんの目を塞いで勢いよくドアを閉めた。閉められたドアの向こうではドタドタという落ち着きのない複数の足音と「待てってトレイシー!!!」というやたら焦ったウィリアムの声が聞こえる。
……ひどく面倒なことになってる…。そう思って全身の血の気を引かせていると、僕の下から何やら弱弱しい声が聞こえてきた。
「早く……、早くしてくれ…。お前ならいいし……」
「君はちょっと黙ってて。」
(この後、二人は付き合ってるなんていう噂がめちゃくちゃ広まった。)
【もしや恋が始まるのか? fin.】
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変人奇人な夢主ちゃんに散々な目に遭わされる探鉱者。
(あとがき ⇒ 「【リクエストあとがき】もしや恋が始まるのか?(探鉱者)」)
ゲーム会場の待機室に繋がるドアのノブを握った瞬間、なんだかものすごく嫌な予感がした。嫌な予感というものはなぜだか高い確率で当たってしまうというのはこれまでの経験上から知っている。だからまだ見ぬ嫌な未来に思わず眉を少しひそめたものの、ドアをガチャリと開けてみた。
開かれたドアの向こうを見て、やっぱり嫌な予感が当たってしまったと思わず顔をしかめる。というのも、視線の先──、机の上には堂々と寝そべっている鯖の着ぐるみが目に入ったからだ。
着ぐるみにより体型が隠れているものの、こんな奇行をする奴なんてこの荘園には一人しかいない。そう思ったその時、一方の“鯖”も人の気配でも察知したのか、上半身をムクリと起き上がらせるとこちらに顔を向けてきた。
「ノおおぉぉぉトンキャンベルううぅぅッッ!!」
“鯖”はその気配の正体が僕だと分かるなり、目を輝かせつつ奇声を発しながら駆け寄って来た。だから“鯖”がいざ僕の目の前へとやって来た瞬間にドアをパタンと閉めてみると、その直後にゴンッと鈍い音がドアの向こうから聞こえてくる。この鈍い音に安堵のため息を吐くと、何事もなかったかのようにドアを開けてみた。
「ぬ゛お゛おおぉぉおぉぉぉおおおぉぉおおおおッッッ!鼻゛がああああッ!鼻゛があああああああッッ!!」
鼻を押さえながら地面をのたうち回っている“鯖”をしばらくの間見下ろした僕は、“鯖”を跨いで席へと向かう。そして何事もなかったかのように椅子に座ると、頬杖をつきながらこれから始まるゲームでどう立ち振る舞おうかと考えていた。だけどその時、横から伸びてきた指先がツンと僕の鼻先に触れてくる。だから横目で隣を見てみると、先程までのたうち回っていたはずの“鯖”が何食わぬ顔でそこにいた。
「もう!オイタは程々にするんだぞノートン・キャンベル☆」
ウインクをしながらそう言ってきた“鯖”に思わずイラっとし、額に青筋が浮かんできた。
この“鯖”こと【名前】は最近この荘園にやって来た女で、館内で台車を乗り回す、ゲーム中は逆にハンターを追いかけ回す、ふとした瞬間に目が合えばなぜかものすごい勢いで追いかけ回してくる…など、端麗な容姿に反し奇行が目立っていた。とはいえ、ここは訳ありの変人ばかりが集まってくるエウリュディケ荘園だ。彼女の奇行はただ単に「おもしろい」という風に評されて受け入れられていた。
だけど僕は彼女が苦手だ。だというのに……
「ノートン・キャンベルぅ〜!今日のあたしはいつもと何か違うと思わない〜?」
「………なんで鯖?」
「ふふ…、よく気が付いたな。」
「それに気付かない方がヤバイでしょ。」
「今日の【名前】様のイメージコーデは『鯖を着たサバイバー』!!なんつってぇ!!」
「ふーん。」
「すましてんじゃねぇよこのムッツリちゃんめ!かわいいだろ!?かわいいと言え!!」
「魚にはあんまり興味ないから。」
「はああっ!?鯖なのにっ!!?お前だってサバイバーなのにっ!!?」
「ちょっと何言いたいのかわからない。」
一方の彼女はというと、こんな感じで僕に何かと絡んでくる。前述した通り、彼女のことは苦手だしこんな絡みも面倒臭いからあしらうように適当な返しをしているけど、それでもなぜだか彼女はめげてはくれなかった。
一体何がしたいんだと考えてみたけど、きっとこの狂人のことだから何も考えてないんだろう。何で毎度毎度こんな意味のない絡みをされるんだと考えると思わずため息が漏れた。だけどそんな僕の心境も知らないだろう“鯖”は隣で「あ、ヤベ」などと言いながらもぞもぞと動いている。
「ちょ…っ、ごめんノートン・キャンベル。手伝って!」
「……何を?」
「鯖脱ぎてぇのに脱げねー。助けてっ!」
「ホント、君は何がしたいの?」
自分で脱げなくなるようなものを何のために着てきたんだ? そんな疑問が残ったものの、確かにこの格好のままゲームに参加しようものならチェイスなんてできやしないだろう。それは困ると思った僕は彼女の背後へと回った。
既に開かれていたファスナーの向こうにはもぞもぞと動いている彼女の本体が見える。その本体の脇の下辺りに手を伸ばすと、グイっと力を込めて引っ張ってみた。
「うおっ!?」
だけど必要以上の力を込めてしまったのか、驚きの声を漏らす彼女を持ったまま後ろへと倒れ込んでしまう。これにより背中に広がるわずかな痛みにほんの少し顔を歪めていたところ、手に何やら柔らかい感触がすることに気が付いた。
正直身に覚えのあるこの感触に嫌な予感がする……。そう思った瞬間には僕の前にいる彼女が勢いよく振り返ってきた。
「~~~~~っ!!」
「ごめん。わざとじゃない。」
顔を真っ赤にしながら言葉にならない声を発している彼女を見て、瞬時に両手を上に上げて故意ではないと主張する。だけど怒りなのか羞恥なのかが治まらない彼女は、僕の胸倉を両手で掴むとぐわんぐわんと僕を揺らした。
「お前~~っ!!お前えぇぇ~~~っっ!!!おっぱいをっ!よくも【名前】ちゃんのおっぱいを揉んだなああっ!!?」
「ごめんって。ホントにわざとじゃない。」
謝罪の言葉を口にしつつも、狂人だと思ってた彼女でもこういうことをされたらちゃんと恥ずかしがるぐらいのまともな感性はあるんだなとどこか安心した。だけどその瞬間、ビリッと豪快な音がしたかと思いきや、揺らされていた体がまたもバランスを崩し前へと倒れた。咄嗟に手を前に着いたものの……、気が付けば【名前】を押し倒しているような状況になっていた……。
【名前】は最初こそ真っ赤だった顔をきょとんとさせていたものの、次第に耳や首まで真っ赤に染め上げていった。だけど何か意を決したような表情をすると、目を瞑って口をすぼめてきた。
「いや、何してんの?」
僕がそんな発言をした直後、ガシャーンと何かが床に落ちたような音がした。だから音がした方を見てみると、開け放たれたドアのところには顔を真っ赤にしながら口をあんぐりと開いて立っているレズニックさんとウィリアムがいた。一瞬だけ二人はどうしてそんな表情をしているのかと思ったけど、すぐに答えは分かった。なんせ今僕は、肌をはだけさせながら【名前】を押し倒しており、押し倒されている【名前】もキスをせがむかのような表情をしている…。こんなの誤解しかされない…!
即座にそう気付いて冷や汗を垂らした瞬間には、ウィリアムがレズニックさんの目を塞いで勢いよくドアを閉めた。閉められたドアの向こうではドタドタという落ち着きのない複数の足音と「待てってトレイシー!!!」というやたら焦ったウィリアムの声が聞こえる。
……ひどく面倒なことになってる…。そう思って全身の血の気を引かせていると、僕の下から何やら弱弱しい声が聞こえてきた。
「早く……、早くしてくれ…。お前ならいいし……」
「君はちょっと黙ってて。」
(この後、二人は付き合ってるなんていう噂がめちゃくちゃ広まった。)
【もしや恋が始まるのか? fin.】
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変人奇人な夢主ちゃんに散々な目に遭わされる探鉱者。
(あとがき ⇒ 「【リクエストあとがき】もしや恋が始まるのか?(探鉱者)」)