伏字だらけのアイラブユー
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
私は大変困惑している。
……な、…なぜなら、絶賛片想い中であるルカぴに今現在後ろから抱き締められているからだ…!
……なぜ、こんなことになっているのか…、実は私にもよくわからない。だから自分自身の頭の整理も兼ねて状況を整理してみる。
事の発端はそう…、たまたま用があってルカぴの部屋に来てみたらルカぴが例の頭痛で苦しみのたうち回っていたことだ。それで慌ててエミリー先生を呼びに行くと、廊下をものすごい勢いで走る私に異変を感じたわが友であるイライ君が事情を聞いてくれて代わりにエミリー先生を呼びに行ってくれた。…うん、ここまではOK。
だから私は来た道を戻って苦しみわめくルカぴを大丈夫だからと宥めていた。すると間もなくしてエミリー先生を連れたイライ君がやって来た。それで暴れるルカぴをイライ君と私とでどうにかベッドに押さえつけてエミリー先生が処置をして…、次第に落ち着いていったルカぴはベッドですやすや眠り始めて…、それを見届けたエミリー先生とイライ君が部屋を後にした。……うん、ここまでもOK。
…で、私は心配だからルカぴが目を覚ますまで部屋にいておこうとしたんだ。それでルカぴの寝顔を見てるとついつい安心しちゃってついつい頭を撫でちゃって…、そしたらそのタイミングでルカぴを目を覚ましたんだった。それでびっくりしちゃって…、びっくりした勢いで部屋を出ようとドアへ向かおうとした瞬間にルカぴに後ろから抱き締められて…ーー
ーー……って、アレ?結局どういうこと?
状況を整理してみてもやっぱり今なぜこんなことになっているのか謎過ぎる…。だから恥ずかしさやら照れ臭さやらほんの少しの嬉しさやらといった様々な感情が入り混じる頭をぐるぐるとさせていると、ようやくルカぴが口を開いた。
「…もう行くのか?」
たった今目を覚ましたところなんだが、と私の頭に顎を乗せながら子供が少し拗ねたように言う。正直ちょっとかわい………って、違う違う。ルカぴが口を開いたところでこの状況がどういう状況なのかということへの答えにはなってないし!
そんなことを考えてる内に私の全身の血液が沸騰したんじゃないかってくらい体温が上がってきて、鼓動がバクン、バクン、とけたたましく鳴り始める。ぐるぐると混乱する頭でもそれを感じ取った私は、体のこんな異変に気付かれたくないと思ってなぜこの状況に陥っているのかという原因究明よりもこの状況を脱する方が先決だと考えた。
「…おっ、お礼っ!お礼、言わなきゃだしっ!」
絞り出すようにそう言った声は動揺のあまり裏返っている。それでもそんなことを気にも留めないルカぴは「ん~?」ととぼけた声を出している。
「だ…、だからねっ、駆け付けてくれたエミリー先生にはもちろんっ!わ、私の代わりにエミリー先生を呼びに行ってくれたイライ君にもお礼言わなきゃと思って!だっ、だってイライ君ったら、テンパって語彙力欠けた私の言葉でも理解してくれてすぐ駆け出してくれて…ーー!?」
そこまで言った瞬間、後ろから伸びてきた手によって口を塞がれる。それは極々弱い力だったのだけど、驚いたあまり言葉に詰まった。
「今、彼の名前を出さないでほしい。……【名前】君が彼を頼りにしているのは知っているが…。」
言葉に詰まった私の代わりに口を開いたのはルカぴだった。
……そ、それにしても…、なんだろうこれ…?それってまるでルカぴが私にヤキモチ妬いてるみたいじゃん…。そ…、そんなことを言われたら勘違いしちゃいそうになるじゃん…!
…い、いやでも違う違う。ルカぴはたぶん…というかきっとトレイシーのことが好きだ。だってルカぴは分野が違うとはいえ同じく機械いじりを得意とするトレイシーのことを一番頼りにしている節がある。そして何より、トレイシーと話してる時のルカぴはヤキモチ妬けちゃうくらいイキイキしている。それにトレイシーもルカぴと話してる時、同様にイキイキしている辺り二人はいわゆる両片想いなのかもしれない…。そんなことを映像付きで思い返した私は、だから私じゃないんだと自分を戒めた。
…だというのに、ハァと感慨深くため息を吐いたルカぴはまた口を開く。
「なぁ【名前】君、もう少しだけ君の時間を私にくれ。せめて、今だけでも君を独占させてくれ。」
……ズルい…、ズルいよ…。そんなこと言われると切なくなっちゃうじゃん…。
ルカぴの言葉を受けて胸をキュンっと絞め付けられた私はそんなことを思いつつもルカぴから抱き締めてきたんだからという言い訳を盾に抵抗することもやめてそのまま抱き締められることにした。
…したのだけど……、
「【名前】君は小柄だから抱き心地がいい。」
そんなルカぴの言葉にトレイシーの顔が頭によぎってハッと我に返った。小柄…、ルカぴはそう言った。確かに私も小柄なんだけど、トレイシーも同じくらい小柄だ。つ、つまり…、ルカぴは頭痛から解放されて目に入った小柄な私に想い人である小柄なトレイシーを投影してるだけだ。それにより私を抱き締めてるんだとしたらルカぴの淡い恋心にはもちろん、なんだかトレイシーにもめちゃくちゃ申し訳ないんだけど!?
そう気付いた私は自分でも驚くほどの速さでルカぴから抜け出すと、ファイティングポーズをしてルカぴに身構えた。
「……なんで突然そんな色気のないことをするんだ?」
「いやいやいやいや!そもそも私たちの間に色気もクソもないよルカぴっ!?こ、こんなことしてっ、もし私が勘違いしちゃったらどうするのっ!?」
「あわよくば勘違いしてほしいんだが。」
「なァんでそんなこと言うのっ!?」
「ああなるほど。私とあんたは身長差がおおよそ8インチだから、抱き締めたら私の体にあんたがすっぽり入るから抱き心地がいいのか。」
「だからなァんでそんなこと言うのっ!!?私の抱き心地がいいとかいったら
「………まだ付き合ってないだろう?」
ヒイィッ!ルカぴがチャラ男みたいな発言してるっ!!付き合ってない内は本命以外にも手を出してもいい的なっ!?
このままじゃ埒が明かない、そう思った私は動揺や恥ずかしさや照れ臭さから顔を真っ赤にしながら再びドアへ向かうとドアノブに手をかけた。だけどその手に上に一回り大きな手をかざされて私は動きをピタッと止めてしまった。
「…本当に行くのか【名前】君?」
その声におもむろに振り返ると、いつになく真剣な目で私を見据えていたルカぴがいる。
ーーこの真剣な目をしたルカぴにもしもう一言何か言われてしまったら、私はこの部屋から出ていけないかも…。
そんな危機感と期待を抱きながらルカぴの真剣なまなざしをこの目で受け止めていた……
………のだけど……、
……
……
……
………何もないんかーいっ!!
「じゃ…っ、じゃあ安静にしててねっ!」
口早にそう言った私は「あ」と声を漏らしたルカぴの声を聞かないふりしてそそくさと部屋を後にした。それから逃げんばかりに廊下を足早に歩いていたけれど、突然足を止めてその場にぐったりとうずくまる。そして頭を抱えながらハアアァァァ…と大きなため息を吐いた。
そんな哀れな私の前に誰かがやって来る。だから頭を抱えたまま見上げてみると、何を悟っているのか呆れ笑いを浮かべてるイライ君がそこに立っていた。
「
「天眼で視てたなっ!!?」
----------
囚「彼女の決意は固いようでな。
技「………その『君たちは』って主語ちゃんと付けた?」
囚「付けてないが?」
技「うわ。絶対また【名前】にボクらのこと誤解されてんじゃん。【名前】の言ってる相手ってボクのことだからね。」
囚「………だが、抱き付いたことをあわよくば勘違いしてほしいと言ったんだが。」
技「いやいや、そもそも帰したくないからって抱きつかないでよ。」
【わるいおくちに蓋してあげる】fin.
----------
両片想いなのにお互いに相手には好きな人がいると思っている「囚人」と夢主(と巻き込まれる占い師と技師)。
(ネタ提供元はむU様!ありがとうございますっ!そしてめちゃくちゃ長くなってごめんなさい…!)
(ちゃっかり裏話…。
占い師:囚人と夢主が両片想いだということを知っていて応援しているが、コントのようにすれ違う二人に少し呆れている。だがその理由の一つが自分だとは気付いておらず、応援するあまり余計なことを言って余計にこじれる。
機械技師:囚人と夢主が両片想いだということを知っていて応援しているが、コントのようにすれ違う二人に少し呆れている。そして夢主に囚人の想い人が自分だと思われていることも知っているためどうにか誤解を解きたいのにうまくいかない。
ちなみに8インチ=22センチだそうな(作者は計算苦手なのでググりました(笑))。
こんなラブコメギャグになりました!すみませんっ!!しかも夢主はネタ提供主様を勝手にモデルにしました!すみませんっ!!!)
次ページ→お題【砂糖が溶けない温度で愛して】