伏字だらけのアイラブユー
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「わざわざ助けに来てくれてありがとう。」
ゲームステージからサバイバーの居館へと続くこの通路で、横にいるサベダーに中指を突き立てながらそう言ってみせた。まあ、もちろんこれを見たサベダーは青筋をピキリと浮かべながらその鋭い目で私を睨みつけてきたけれど、私にはこれくらいのことをする権利があるはずだ。
というのも、それは今し方終えたゲームでのことだ。
どうにか3通電できた状態で私がラスチェを引き受けていたんだけど、「ゲートが開いた!」というチャットが飛んできた途端、安心感からかその瞬間にあっさりやられてしまった。もちろんハンターはノーワン発動中だったわけだから即ダウン。だからハンターは私を椅子へ縛り付けると、瞬間移動でゲートへと向かっていった。でも引き分けではあるだろうと安堵していたら、なんとサベダーが救助へとやって来たのだ。
なんで来たの!?
救助なんてしなくていい!
そう言ってみても「どうせなら勝ちが欲しい」の一点張り。そして私を救助するなり手首を掴み、「行くぞ」と一言声をかけてからゲートへと駆け出したのだ。
だけどゲートには先程の瞬間移動したハンターがいるわけで…。やはり二人とも脱出するなんて不可能だと思ったものの、サベダーは私の手首を掴んだその手を離そうとしない。それどころか離せ離せと騒ぐ私を「うるせぇ」と一蹴すると、ゲートに向かって駆け出した。もちろんハンターは獲物がかかったと言わんばかりに攻撃してきたわけだけど、サベダーがそれを自身の身で受けて私を庇い、持ち前の頑強さで痛みに耐えながら私の腕を引っ張って脱出していった。
「何が不満だ【名前】。3逃げできただろ。」
サベダーはできるだけ冷静さを保ちながらそう言ったが、相変わらず中指をこれ見よがしに突き立てている私に相変わらず青筋を浮かべながら怪訝な目を向けてくる。そんな態度を取られてはぐうの音も出なくなりそうになるけれど、ここはきちんと言わせてもらおう!
「今回は上手くいっただけよ。下手したら私達が負けていた。あんたの戦犯行為でね!」
「勝算があった。」
「だから!今回は上手くいっただけなんだってば!また同じことをしようものなら結果は同じとは限らないわよ!大体その勝算は何割よ!?」
「うるせぇな。勝算が低かったとしてもちゃんと結果を出しただろ。」
「ということは低い勝算で救助に来たのね!?そんなんただ賭けじゃないのよ!」
「運も実力の内だ。」
「黙んなさいこの枝豆っ!!」
確かに今回は結果こそ出たけれど、無謀にも程がある。あの場面では私を見捨てて確実に引き分けを取る方が絶対に良かった。それに…、というより大体いくら“頑強”だとはいえ、自分を盾にしてまで人を助けるという自己犠牲精神、正直どうかと思うのよ。…怪我を負う度に古傷が痛むというのに。
……まあ、それは置いといて…、私はとりあえず確実な方を選ぶよう伝えたいわけだけど、この男は自分のした行動こそが合っていると言わんばかりのこの態度…。私も大概頑固と言われるけど、この男もそれに劣らず頑固だ!
「とりあえず、次こんなことがあったら遠慮なく見捨ててちょうだい。取るべきは賭けの勝利より確実な分けよ。」
「うるせぇ。その判断は俺がする。【名前】のくせに指図すんな。」
「はあ!?何その言い方!?私は合理的な方を言ってるだけでしょ!」
「合理主義を追求するなら勝利にこだわれ。」
「こだわってるわよ!この荘園の莫大な賞金欲しいんだからこだわってるわよ!!こだわってるからこそ確実な方を取るべきだと言って……」
青筋をいくつも浮かべながら半ばヒステリックな言葉を放っていたその時、同じく青筋をいくつも浮かべているサベダーが眼前へと近付いてきて私の胸倉を掴み上げてきた。そんなサベダーの行動に思わず言葉が詰まり何事かと思う間もなく唇に柔らかい感触が降ってくる。
………は?
…何?
何されてるの私?
そう自分に自問自答してみたけれど、そんなもの考えずとも今自分が何をされているのかわかるわけで…。
なんせこの男…、私にキスしてやがる!?
「〜〜〜〜〜っっっ!!?」
そう気付いて私が一気に全身の血液を煮え滾らせたのも束の間、サベダーはそのまま私の体を押して壁へと移動し押し付ける。だけども抵抗したい私は両手の拳を強く握ってサベダーの胸板をドンドンと叩きつけた。なのにこの男、他の男より体格が小さいくせに筋肉質だから腹が立つことにビクともしやがらない!それどころか私のその両手をやすやす掴み上げて私の頭上でまとめ上げてしまった。
「…っ、ふっ……っ、」
おまけにそれ以上の抵抗は許さんとばかりに足の間に自身の足を滑り込ませてくる。そのままその足が上へ上へと上がってくるもんだから、クソ!どうすればいい!?とぐるぐるしてくる頭に問いながらギュッと目を瞑ったその時、突如として唇が離れたと同時に奪われていた自由が全て返ってきた。
その瞬間、私は情けないことに腰が抜けたようにその場に崩れ落ちる。そして、ゆっくりサベダーを見上げてみると……
……
……
……ニ…っ、ニヤリと笑ってやがるんだけどっ!!?
「ようやく落ち着いてくれたか【名前】ちゃ〜ん。」
相変わらずニヤニヤと笑うサベダーは私に視線を合わすようにしゃがんでそう言った。おどけることなんてそんなにないこの男がこんな言い方するなんて…、
「…随分…っ、煽ってくれるじゃないのクソ野郎…つ!」
顔を真っ赤にしながら、そしてわなわな震わせながらそう言うも、この男のこの腹の立つ笑みは消えてはくれない。
「うるせぇこと言ってねぇで大人しく救助されてろよ。」
「あんたのケツ穴に、ナイフぶち込んで…、ファックしてやろうか…!」
「お前ってホントかわいくねぇのな。」
顔を真っ赤に染めてわなわな震えつつ侮辱的な言葉を放ってやるも、ニヤニヤ笑ったままのサベダーは愉快げにそう言いながら私の頬を優しくペチペチ叩いてくるだけ。…ああ!腹の立つ!
ちなみに決してときめいてなんていないからクソ野郎!!
【伏せ字だらけのアイラブユー】fin.
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煽り傭兵と口の悪い夢主。
(※付き合っていない。)
(煽るサベダーさんに思わず「小エビちゃん」と言わそうか迷ってごめんなさい(中の人ネタ))
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