伏字だらけのアイラブユー
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「よし!治療終わった!立てるか【名前】?」
得意げな顔をしたウィリアムはそう言いながらその大きな手を差し出してくる。だから私はその手を握って立ち上がると、ウィリアムはニカッと豪快に笑った。その笑顔が太陽のように眩しくて…
「あ、ありがとう…。」
私は思わずそっぽを向きながらお礼を言った。
ああ、なんてかわいくないのかしら。
自分で自分にそう呆れる。だけどウィリアムはそんなこと気にも止めず相変わらずその眩しいほどの笑顔を私に向けてくる。
「いいっていいって。そんなことよりよくがんばったな。【名前】がファーチェもセカチェもがんばってくれたおかげで4通電も目の前だ。」
それは…、確かに私自身も奮闘したけれど、あなたがしつこいくらい粘着に来てくれたからでしょ。
そう思ったけれど、当のウィリアムはそれを鼻にかけることなんてない。一見粗暴で豪快で…、なのに何気に人を見ていたり自分のすべき立ち振る舞いを理解していたり…。この男は決して馬鹿ではなく、馬鹿のフリをしてその時々に自分がすべきことを一所懸命している。そんな彼を見て改めてそれが彼の魅力だろうかなんて少し胸を高鳴らせながら呑気に考えてしまった。
だけど今はこんな悪趣味なゲームの真っ只中であり、そんなことを考えている場合じゃない。そう思い直した私は眉間にグッとシワを寄せて今までの思考を振り払うと現状を整理した。
「どうやらハンターは暗号機を守りに行ってしまったようね。」
「だな。確かマーサとトレイシーは一緒に解読してたんだったな。」
「ええ。それで確か進捗率は3割。」
「なら解読妨害してからトレイシー追うだろうな。」
現状を整理するため発した私の言葉にウィリアムが言葉を重ねてくる。それでお互い現状を整理したところで案の定トレイシーから「ハンターが近くにいる!」というチャットが飛んできた。だからなんとなく横にいるウィリアムを見てみると、同じくそのチャットを受け取ったウィリアムがグッと真剣な目をしていた。
「…ボール、少なくなってるんじゃない?」
ウィリアムの目を見て助けに行くんだと察知したものの、私を助けるためにたくさんボールを使わせてしまったことへの申し訳なさから少し眉を下げながらそう言った。すると彼はその鋭い目のまま口角だけをニッと上げて笑ってみせた。まるで自信満々だと言わんばかりに。
「それがなんとあと一回分はあるんだよな。」
「一回分しかない、の間違いじゃないかしら。」
「言ってくれるなぁ【名前】。俺はプロだぜ?一回分ありゃ十分だ。それにその一回分はここぞって時に使うとして、まだハンターは俺のボールの残量を知らねぇ。だからうまいことフェイントかけまくってたらあっちが勝手にミスってくれんだ。」
なるほど。この男、ホント馬鹿のフリがうまいわね。
そう思ったと同時に、仲間の救出を最後まで諦めない彼の強さや頼もしさを再確認して思わずクスッと笑みが溢れてきた。
「どうした?俺おもしれぇこと言った?」
「いいえ、何も。そんなことより私は新規の暗号機を上げに行くわ。トレイシーのことよろしくね。」
「ああ、任せろ!」
そう言って駆け出そうとするウィリアムに背を向けた瞬間、「【名前】!」と大きな声で私を呼ぶウィリアムの声が聞こえてきた。だから目をぱちくりとさせながら振り返ると、既に駆け出して行ったと思っていたウィリアムがこちらを向いたまま後ろ向きに小走りをしているのが目に入った。
「ハンターはトレイシーが狙えなくなったら絶対【名前】のとこ飛んでくる!」
何かと思えば…、そんなこと十分わかっている。ハンターの今の目的はあくまで解読妨害で、次また揺れている暗号機を発見したら飛んでくるだろう。しかも私は次で飛び確。十分に気をつけて臨まないといけないわけで。だからわかっていると答えようとしたその時だった。
「そうなったらまた【名前】のとこに駆けつけてまた助けに行くから無理すんなよ!!」
ボールとないと思うけど!なんて言いながらまたあの太陽のように眩しい笑顔を浮かべながら私に拳を突き出したウィリアムは、ほんの一瞬ニッといたずらな笑みを浮かべてからくるりと体を翻して去っていった。一方、残された私は顔を真っ赤にしたままその場に立ち尽くしていた。
ああもう…、勘違いしそうになったじゃない。
そう勘違いさせられると、求めてはいけない言葉が欲しくなるからどうかやめてくれるかしら…!
【息するかわりに、すきって、いって fin.】
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オフェンスに絶賛片思い中の夢主。
(そして作者は永遠の低ランカーなので、各立ち回りに関しては突っ込んではいけませぬ。)
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