09:謝罪しまくる系女子
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にんまりと不気味に笑いかけてきたカールさんについに殺されてしまうのではと恐怖した私は、白目をむきながら体を震わせていた。だけどカールさんは何をするわけでもなく、そのまま部屋を出て行ってしまった。
……正直、めちゃくちゃホッとした。だって今まで散々カールさんにもいろいろやらかしてしまっていたわけだし。今日だけでもほっぺたひっぱたいてしまったし、酔っ払って「壊してくれ」なんて迫ってしまったらしいし……。
それにしても私ったらどこで「壊してくれ」なんていういやらしい言葉を覚えたんだろうか……?
………読んでいた恋愛小説は違う。あれは恋愛小説だもん。官能小説を読んでいたわけではない。官能的なあれやそれに興味があるわけではない。……け…っ、決してない。
悶々とそんなことをひたすら考えていた。だけど私は意外にも疲れが溜まっていたらしい。そんなことを考えている内にいつの間にか眠ってしまっていた……。
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ふと目が覚める。あれからどれ程寝ていたんだろう? そんなことを考えながら起き上がった私は思わずぎょっと目を見開いて固まった。
だって……っ!備え付けられてる椅子になぜかキャンベルさんがお酒片手に座ってるだもん……っ!!
「ななななっ!?」
「不用心だね【名前】さん。鍵開いてたよ。」
驚く私にキャンベルさんは悪びれることなくそう言った。
…そ、そういえば…!カールさんが出ていった後に鍵を閉めずに寝入ってしまっていた…!だから入ってきちゃったのか!
……
……
……いや、入って来るもんなのかなそれで…。
「そのまま寝てたの?」
あわあわと困惑する私に悪びれる様子もないキャンベルさんはそう言ってくる。これにだらしないとでも思われたんだろうかなんて思った私は思わずあたふたとした。
「あ…っ、いや……!いつもはちゃんと寝巻き…的なものに着替えるんですが…っ!今日はいっちょ前に疲れてたというかなんというか……あっ、いや、キャンベルさんの方が疲れましたよね!?ごめんなさい!」
「そうだね。今日はすごく疲れたよ。どこかの誰かさんが酔っ払ってあっちこっちで男をベタベタ触ってた上に、どこの誰とも知らない奴に間違われたわけだからね。」
ヒイイイィィィィーッ!!?
なんだかめちゃくちゃ怒ってらっしゃる……っ!!!
そういえば私は結局のところ誰にもまともに謝っていない……! 皆さんはそれで許してくれていたけれど、キャンベルさんはめちゃくちゃ怒ってたからちゃをと謝れ的な…!?
そんなことを考えて白目をむきながら震えていると、「【名前】さん、」と私の名前を呼んだキャンベルさんがベッドの上へと上がってくる。そして眼前までやってきた瞬間、ツンとお酒の匂いがしてきてクラッとした。
「…へぇ。匂いもダメなの?ホント弱いんだね。」
クラッとする頭を押さえながら距離を取ろうと後ろに下がるも、ついに後ろが壁になる。というか目の前に男性が居るという恐怖に体の震えが止まらない…!おまけに手元に御札もない…!!逃げ場もない…!!!身を守る術が何にもない…っ!!!!!
そんなわけでただただ身をぷるぷると震わせるだけしかできない私をついに追い詰めたキャンベルさんは、にんまりと不気味な笑みを浮かべながら私を見下ろしてきた。
「ごごごご…っ、ごめんなさい…っ!」
「…謝罪はもう飽きた。」
その低い声にはやっぱり怒りが含まれている。とはいえ謝ってみても謝罪を受け入れてはもらえない…。かといって逃げることもできないし身を守る術もない…。というかそもそも何をしでかしたのかもわからない…!なら一体どうすればいいんだとただただ困惑していると、私を見下ろすキャンベルさんの吐息が耳元で聞こえ……
……
……
………って、ええ!?
体をがっちりと固定されているというか、体温を感じるというかお酒臭いというか……っ!
私!抱き締められてないっ!?
「なっ!?キャ…っ、え…?えっ!?」
状況が掴めず肩を振るわせながら素っ頓狂な声をあげる。おまけに顔面…だけでなく全身から血の気が引いたり集まったりを繰り返している。だけどキャンベルさんは離れてはくれず、そのままなされるがまま抱き締められていた。
だけど、しばらくしてようやく飽きたのか、ようやく離れてくれた。その瞬間、私は膝から崩れ落ちるようにその場に座り込み、ぷるぷる震えながら白目をむいた。
「な…、あ…、え…?」
「…こういう時は、もうちょっと色気のある声を出すべきじゃないかな。」
「え…?あ……、ご、ごめんなさい…?」
私が謝る所なんだろうかとどこか冷静な部分の私が言っている。だけど謝罪を取り消さず白目をむいたままただただ震えるだけの私をキャンベルさんは満足げに見下ろしていた。
「まあでも…、これで許してあげるよ。」
え……っと…、「許す」というのは今日終始機嫌が悪かったということについてでしょうか…?
そんな疑問は口に出ることはなく、キャンベルさんはそのままドアの方へと向かっていった。でもドアノブに手を当てた瞬間こちらに少しだけ機嫌のよくなったようなその顔を向けてくる。
「…ああ、僕さ、酔うと質が悪いってよく言われててね。夜は大概酒を飲んでるから鍵閉めといた方がいいよ。」
「【名前】さんにその気があるなら別だけど」なんて言い残すと珍しく饒舌なキャンベルさんは部屋を出ていった。
……って、一体何がしたかったんだろう…?
そう思いつつ、その後ちゃんと鍵をしっかりかけておいたし、寝巻きにしている浴衣に着替えてから寝た。
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【名前】「あと、(自業自得だけど)男性不信も悪化すると思う。」