09:謝罪しまくる系女子
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「へぇ、謝罪に?」
あの後、カールさんの淡々とした宥めにどうにか落ち着きを取り戻した私に、カールさんはどこかへ行こうとしていたのかと質問してきた。なので、今日協力狩りに参加していた人たちに謝罪しに行くというと、きょとんとした顔でそう言った。
「別に気にしなくていいと思いますよ。皆さん気にしてないどころかいい思いをしたのでは?」
きょとんとしたままそう言われたんだけど…、これって嫌味なのかな?
そう考えるとまた白目になるし震えが出てくる。そんな私を見てカールさんはビクッと肩を振るわせた。
「……ど、どうしても行くと言うなら…、僕もついて行きますよ。」
「………え?」
「男性不信の【名前】さんが男性だらけのあの中に飛び込むだなんて、一人じゃ心細いでしょう。」
………ま、まあ…、そうなんだけど…。そう言ってくれてるカールさんも男性なんだよね…。
でも、言われてる通り男性だらけの中に一人で飛び込むだなんて絶対無理だ…!なら…、私は男性不信、カールさんは社交恐怖と対人関係に問題を抱えている者同士ということでお言葉に甘えさせてもらおうかな…。
「よ…、よろしくお願いします。」
「…日本人って皆さんすぐそうやって頭を下げるものなんですか?」
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そんなわけでやって来た食堂。ドアを開けなくてもわかるほどガヤガヤとにぎわっている。さて…、ここからが本番なんだけど……、
「ど…、どうしましょ……」
いざこの場面になってみると怖気付いた私は、白目をむきながらただただ震えるだけでドアを開けることなんてできそうになかった。
「やっぱり、無理に今行かなくてもいいと思いますよ?」
「そそそそ…そんなわけには……、ちゃちゃちゃちゃちゃんと…、ちゃんと謝っておかないと…「おおっと!これは驚いた!」
白目で震えながらという情けなさ満載の状態で発していた言葉は陽気で愉快げな声によって遮られる。そんな声に私はもちろんカールさんも肩を揺らした瞬間、カールさんの肩に逞しい腕ががっちり回された。
「こんな時間に、こんな場所に花が咲いているかと思えば…、麗しい【名前】ちゃんじゃないか。こんな夜に君に会えるなんて僕はなんてツイてるんだ!」
カールさんの肩に腕を回しながらそんな口説き文句を言う人物、それは白い歯を見せながらニカッと笑うアユソさんだった。そんなアユソさんのセリフに顔を赤くする私とは対照的に、肩に腕を回されたカールさんはものすごく嫌そうな顔をしている…。そしてその顔のまま「離れてください」としきりに言っている…。
……こ、これはまずい…。
「ア…、アユソさん!この中に今日月の河公園の協力狩りに参加した方々っていらっしゃいますか!?」
同じように対人関係に問題を持つ者同士、今のカールさんの気持ちがわかるため、カールさんからアユソさんを引き離そうと急いでそんな質問を投げかけてみる。するとアユソさんはきょとんとした顔をすると、ハハハっと豪快に笑いながら私に近付いてきた。
「他の男に会いに来たのかい。少し妬けてしまうなぁ。」
「そ…、そういうわけでは…」
「でも夜に男に会いに来るのは気を付けた方がいい。なんせ夜は男が狼になってしまう時間だからね。
レディを危険な目に遭わすわけにはいかないから、このカヴィンが護衛しつつエスコートしてあげよう。」
そう言いながらアユソさんは私の手を取って手の甲に口付………
……
……
………て…、手の甲に…?柔らかい感触…?
……く…、口付けたから…?
「キャアアアアアァァァァァァーッ!!!!!!」
顔を真っ赤にした私は退魔護符を10枚ほど手に取って構え、そしてアユソさんの腹部目掛けてに投げつけた。
「グフウゥッ!!」
一気に10枚もの退魔護符の衝撃を味わうことになったアユソさんはお腹から沸き上がったような鈍い悲鳴を漏らすと、その衝撃のままドアの中へと入っていった。
やらかしてしまったと我に返った私は急いでドアを開いて中へ入る。すると、ピクピク震えながら泡を吹いているアユソさんの周りに集まっていた皆さんが一斉に私の方へ向いてきょとんとした顔をしながら固まっていた。それに恐怖したのとアユソさんへの申し訳なさから目からは涙が溢れ出して流れ出てきた。
「ご、ごごご…ご………、っごめんなさああぁぁぁいっっっ!!!」
「なっ、なんで【名前】がここに!?」
「な、泣かないで【名前】ちゃん!」
「って!イソップもなんでいんだ!?」
「………。」
「何か言ってください!」