09:謝罪しまくる系女子
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「ん…?」
目を覚ました私の目に飛び込んできたのは、見慣れている自室の天井だった……
……
……
………ってアレ…?
私なんで自室にいるんだろ…?
「あら?気が付いた?」
疑問符を浮かべながら起き上がりつつ、ありもしない自室に帰ってくるまでの記憶を辿ろうとする私の耳にそんな聞き慣れた声が聞こえてきた。だから声の方を見てみると、お酒を嗜むマル姐とお酒を豪快にぐびぐび飲んでいるデミの姿が目に入った。
「あれ…?なんでマル姐…?」
「そりゃ私が呼んだからさ。娘が大変だって言うと飛んでやってきたよ。」
「誰が保護者よ。今度言ったらぶっ飛ばすわよ?」
「……って、協力狩りのゲームは…?」
「【名前】が河に落っこちたから、美智子が早くあったかいところに連れてってあげてって泣きながら投降したけど?」
………うん。なんだか思い出してきた…。
確か…、酔っ払って例の「惚れ上戸」を発動させたらしい自分にショックを受けてふらついて…、そして河に落ちたんだった。あとこの頭に感じるジンジンとした痛みは…、その際に岩でぶつけたときのものだ。
そんな記憶が戻ってきたと同時になんだか血の気がサーっと引いていく…。そして例に漏れず白目をむいて震えが出てきた。
「その反応は…、何があったのか記憶が戻ったのね。」
マル姐はいつも私と一緒にいてくれるから私のことを理解してくれてるんだろう…。そう言いながら少し呆れたような顔で私を見てきている。
でも、そんなことより…!
「ご…、ごめんなさいデミ…!」
私はデミの方を向くと謝罪しながら深々と頭を下げる。デミはそんな私のことをぱちくりとしながら見ていたけど、デミ独特のサバサバした感じでハハッと笑った。
「別に私は何にもしてないさ。謝るなら男連中に謝った方がいいと思うよ。
ナワーブは惚れ上戸になったあんたの為にステージ中走り回ってた上に河に落ちたあんたを助けに入ってたし、ウィリアムはそんなあんたをここまで運んできたし。」
「ああ、あと湖景村のダブハンはハンターの調子がすこぶるよかったみたいでね。だからエミリーは湖景村組の看病に忙しくて、呼び出された私とデミと、あとクラークさんとカールさんで看病してたのよ。」
うわあ…。至れり尽くせりだぁ…。
散々迷惑かけた上にそんなご迷惑までかけて…、ものすごく申し訳ない…。
「そんで、ノートンは終始機嫌悪かったね。」
ヒイイィィィーッ!!一体何しちゃったんだろ私いぃぃーっ!?
「ああ、それからマイクはマルガレータが来るまで『起きなきゃイタズラしちゃうよ~』なんて言いながら終始あんたのほっぺたぷにぷにしてた。気付けばいなくなってたけど。」
ヒイイィィィーッ!!イタズラされなくてよかったぁぁぁーっ!!
って、それは置いといて…。
とにもかくにも皆さんに謝罪をしに行かねば…!
「お、教えてくれてありがとうデミ!そそそそ早急に謝罪しに行ってくる!」
「まあ…、一旦落ち着いたらどうだい?」
「そうよ。それにそんなもの今々しなくても今度会った時に『この前はありがと♡』って言いながらウインクしとけば大丈夫よ。」
「マル姐がしたらそれで許されるけど!私がそれしたら『ふざけるな』って埋められるだけから!」
ただでさえ男性にはヘイトを買ってるのに!と白目をむきながらあわあわと言うと、マル姐はクスクスと笑いながら「わかってないわねあんた」なんて言っている。だけど私から言わせればわかってないのはマル姐の方なわけで…。
………くぅ…っ!美人はうらやましいなぁもう!
「まあでも謝りに行くんなら食堂に行ったらいいさ。この時間だと男連中は大体食堂に集まって酒盛りしてる時間だからね。」
私もたまに混ぜてもらっててね、なんて言うデミの言葉にいつの間にかぐぬぬと噛み締めていた下唇を緩めてハッとする。
そうだ。私はこんなところでマル姐の美貌に嫉妬してる場合じゃなかったんだった。食堂に集まってくれているならちょうどいい。皆さんにちゃんと謝罪して……
……
……
………え?男性がみんな集まってるの…?
そう気付いた私の顔からはまた血の気が引いていく。
だって…、男性相手に一人で立ち向かいに行くのは私にはハードルが高すぎるんだもん…。
「……あ、あの~ぅ…」
「さ、【名前】も目ぇ覚ましたことだし、これで安心して一人酒飲めるよ。」
そう言って笑顔を浮かべたデミは、ウインクしながら「じゃあね」と言うと私の部屋を出ていった。
………うん。デミのそんなサバサバしたところは大好きなんだけど…、実は謝罪についてきてもらおうと思ってただなんてあんな安心しきった笑顔を見たら言えやしない…。
ならば!と私はマル姐の方をバッと勢いよく向く。
「マル姐…っ!!」
「………あら~、も~こんな時間~。早く寝ないと美容に悪いわ~。」
なんだかわざとらしい言い方のマル姐は、じゃあね~なんて言いながらそそくさと私の部屋を出ていった。そして部屋にポツンと一人残された私は、バタンとドアが閉まる音を聞きながら白目をむいていた。