11:特殊マッチしちゃってる系女子
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
「そ、それにしてもなんでここで身を潜ませていたんだ?」
男性不信が発作により暴れた挙句自滅した私が床に突っ伏しているのをよそに、クレスさんはグランツさんにそんなことを聞いていた。それに応えるように目を見開いたグランツさんは「んんっ!」と何かを訴えるようにくぐもった声を出すと、紙とペンを手に取って何かをさらさらと書き出した。
「ん?“開幕早々……がおかしくなって……された”?
って、殴り書きにも程があるぞ。こ、こんな字じゃ読めないだろう。」
ここでようやく男性不信の発作が落ち着いてむくりと起き上がった私は恐る恐る近付いて程よい距離感からクレスさんが持っている紙を覗き込む。
普段グランツさんは字がキレイだ。だというのに、その字はクレスさんの言う通り殴り書いたような字ではっきりと読めない。それでもその殴り書かれたスペルを読み解いてみせようとする私は顎に手を当てながら「う~ん?」と唸ってみせた。
そんな私の間抜けな唸り声にクレスさんとグランツさんは恐らく何の気なしに振り向いたんだと思う。だけど、振り向いた2人のその顔は次第に青ざめていった……
………って。
「そ…、そんな恐ろしいものを見るような目をやめてくださいよお二人とも…。確かに先程は男性不信が発動して暴れてしまって申し訳なかったですけど、今はもう…--」
ヘラヘラしていた私もそこまで言うと顔が青ざめてきた。……だって…、後ろからなんだかおどろおどろしい気配がするんだもん…。
そのおどろおどろしい気配を感じた私は胸に嫌な予感をめいっぱい感じながらゆっくりゆっくり振り向いてみる。
すると…、そこにはやたらと無表情なキャンベルさんが立っていた。
……キャ…、キャンベルさんは確かに普段からいまいち何を考えてるかわからないような顔をしている…。何ならたまに目が死んでると思うことすらある…。
でも、今のこのキャンベルさんはそのレベルじゃない…。目が…、目がイッちゃってる…っ!
と…、というか…っ!
なぜ鍋をかぶってるの…っ!!?
「キャ…キャンベルさん…?あ、あの……、い、いつもの帽子はどうしたんですか…?」
白目をむき体をプルプルと小刻みに震えながらそう聞くも、キャンベルさんは無表情のままじっと私の顔を見てくるだけ………かと思いきや、急に口を三日月のように弧に描き出した。それはもう、ニタァという効果音が似合いそうな不気味な笑みで……
………ってえええっ!!?何コレ怖あああーいっ!!!
「んんんんんーっ!!!」
「逃げるぞ暴力女!!探鉱者も異常者化している!!」
「はははははいイイィィィーッ!!!」
クレスさんの声に我に返った私は素っ頓狂な声を出すと、この場から逃げようと足を踏み出した…
…のに!左手をガシッと掴まれてしまい、体がグイっと後ろに引っ張られる傾いてしまう。その拍子に思わず後ろを振り向くと、相変わらずニタァと不気味な笑みを浮かべているキャンベルさんの姿が目に入った。
「そんな剥き出しの頭でどこに行くの【名前】さん?」
ヒイィィーッ!!めちゃくちゃ怖いんですがああぁぁぁーっ!!?
そんなことを心の中で叫んで背中にぞくぞくと悪寒を走らせたその時、私は先程のグランツさんの神に殴り書かれた文字を思い出した。というのもあの一文、
“開幕早々キャンベルさんがおかしくなって追いかけ回された。”
…だとつじつまが合うのではないだろうか…?
「ィィイヤアアアァァァァーッ!!!」
「今助けるぞ暴力女!」
「んンンっ!!」
一文の全貌が分かった瞬間身の危険を感じた私は、白目をむいて青ざめながら断末魔のような叫び声をあげる。そんな私に駆け寄ってきてくれたクレスさんとグランツさんは、急いで私を助け出そうと二人で右手を掴んで引っ張ってくれた。
「君たちは何…?…ああ、なるほど…。順番に剥き出しの頭がいかに危険か教えてやるからちょっと待ってなよ…。まずは【名前】さんからだから…。」
頭がおかしくなっちゃってるキャンベルさんは相変わらず不気味な笑みを浮かべたまま意味の分からない発言をうわ言のように言っている…!黒々とした目でそんなことをぼそぼそと言われてはものすごく怖いんですが…っ!
……そ、それにしてもこれ…、両側から力いっぱい私の体を引っ張られているような状態で…。それにより私の体からはミシミシと関節から不穏な音が鳴っているんですが…っ!体が裂けそうなくらいものすごく痛……
……
……
………え?今私の体は男性たちに両側から引っ張られて……?
「イヤアアアァァァァーッ!!?」
突然気付いてしまったそんな事実…。それにより私は再び断末魔のような叫び声をあげたもんだから、グランツさんとクレスさんはビクゥッと大きく肩を振るわせた。だけどそんなことに構う余裕のない私は叫び終わるや否や力が抜けていって気絶しそうに…なる……ーー
「ーって!!コっ、コラ暴力女っ!!気絶するなっ!!」
「んンんんんンんんんっ!!」
そうは言われても男性不信の私にこの状況はもう限界だった…。白目をむいて顔を青ざめさせたまま口からは泡が出てきて、ゆっくりゆっくりと意識が遠のいていく。
そうしてついに意識が完全に途切れる直前、青い電流みたいなのが見えた気がした…ーー