10:ぶち壊し系女子
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「ぬあぁぁー……ッにこれっ!!?」
ゲームに参加していないメンバーが歓迎会の準備をしている最中である。
突然そんな声がしたので振り向くと、顔を真っ赤にして歯をむき出しにするという女の子がしてはいけないような顔をしながら大きな荷物を持とうとしてるトレイシーの姿が目に入った。…たぶんトレイシーが気を利かせてくれて使わなかったものをどこかに運ぼうとしたんだろう。でも、トレイシーはそのボーイッシュな見た目や口調とは裏腹に体力も腕力もあまりない。なのであれをトレイシーが運ぶのは無理だ…!そう気が付いた私は慌ててトレイシーに駆け寄った。
「トレイシー!無理しないで!私が持ってくよ!」
「ごめ~ん!ボクこう見えてか弱いから無理だったみたい。なんせ実はとある国のお姫様だからさ~。」
「通りで品のある佇まいだと思った~!」
トレイシーったら可愛いなぁ…。何かをごまかすようにペロッと舌を出しながらそんな冗談言ってきたトレイシーになんだかほっこりする。ほっこりしつつもトレイシーが運ぼうとしていた荷物を持ち上げた瞬間、私はぎょっと目を見開いた。
……確かにこれ…、結構重い……。これじゃトレイシーじゃ無理なわけだ。そう思った私は代わって正解だったと思った。
「ありがとね【名前】。代わりといっちゃアレだけど、【名前】の作業引き継いどくよ。」
「ものすごく助かる!ありがとう!」
トレイシーったら可愛い上に気が利くなぁ…。そう思いながらまた更にほっこりする。
それにしても、この荘園ってトレイシーやエマやヘレナなんていうかわいい女の子たちもいる……。エマがここに来た理由はいまいちわかっていないけど、トレイシーやヘレナがここに来た理由はなんとなく知っている。それだけに彼女たちには幸せになってほしいなぁ…なんてことをふと考えた。
だけど、そんなことを考えているとは知らないトレイシーがぼーっとしている私を不思議に思ったんだろう。ふと我に返るとトレイシーの顔が目の前にあって思わずビクッと体を震わせた
「大丈夫【名前】?やっぱボクが持ってこうか?」
「だだだだ大丈夫!ちょっとぼーっとしてただけ!私、意外と力持ちだし!」
「うーん…。確かに【名前】ってよく人をぶん殴ってるし、力はありそう……。」
「誤解だよトレイシー!殴ってはない!」
あわあわと焦りながら誤解を解いたものの、男性たちには理不尽ともいえる暴力行為を働いてることには違いない……。そう思ってトホホと泣きながらも手に持っているこの重たい荷物を元あった場所へと持っていこうとした。
「今からこれ運んでくる行くけど、何か取ってきてほしい物ある人いますか?」
「あら、気が利くわね【名前】。
だったら帰りにキッチンに寄って、ナイフを取ってきてもらってもいいかしら?」
そう言うウィラさんはおいしそうなオレンジを掴んで匂いを嗅いでいる。そして恐らくそれを切りたいってことなんだろうと察した私は「わかった!」と返事してその場を後にした。
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「……しょっと!」
無事荷物を元あった場所へと持ってきた私は続いてキッチンに向かう。
その道中に
……そう考えると、私は毎度大変失礼なことをしているなぁと改めて反省した。
というのも、私の時もその後の人たちの時も歓迎会をぶち壊してしまったからだ……。
まず私の時、男性不信の発作を盛大に引き起こしてしまい、その場にいた男性みんなに退魔護符投げ付けてしまった。その結果、もちろん歓迎会は中止となった。
そしてその約1ヶ月後ぐらいにグランツさんの歓迎会を開いた時、何もないところでつまずいてずっこけてお酒の瓶を割りまくってしまった…。
それだけでも盛大にやらかしたと思う。だけど私はそれだけでは飽き足らず、私を心配して駆けつけてきてくれた主役のグランツさんにびっくりして咄嗟に退魔護符を投げ付けてしまったのだ……。それによりグランツさんはもちろんダウン……、歓迎会は中止に……。
更にその1ヶ月後ぐらいのクレスさんの歓迎会では、突然裸になって踊り出したエリスさんとピアソンさんのイチモツをうっかり見てしまい、恐怖したあまり退魔護符を10枚程一気に投げ付けるという騒ぎを起こしてしまった……。そして、そんな私を取り押さえるべく駆けつけてくれた男性たちにも退魔護符を散々投げつけて暴れた挙げ句、私も気絶してしまった。それにより歓迎会は中止に……。
あとこれは余談だけど、クレスさんがこの館にやって来た際に初めて顔を合わした人がどうやら私だった。だけど、この荘園について尋ねるべく詰め寄ってきたクレスさんが思いの外近いてきて……、びっくりってほっぺたをひっぱたいてしまった……という話もある。なのでたぶんクレスさんは私のことがあまり好きではないと思う……。その証拠にクレスさんは私のことを名前ですら呼んではくれない……。
そんなことを振り返った私は、いろいろやらかしてしまってる自分自身に引き、白目をむきながら顔を引き攣らせた……。
というか、やらかしすぎててもう泣きそう……。そんなことを考えながらキッチンに入るべくドアを開いたその時、入ってすぐのところにちょうど人が立っていた。
「……な、何か用か?」
……噂をすればというものだろうか。目の前には先程脳内に出てきたクレスさんが、その少し奥にはグランツさんと見たことのない男性がいる。私の頭には、この男性が誰だろうという疑問がわずかにあった。だけど、それがどうでもよくなるような状況に陥っている。
………そう。だって、クレスさんがあんまりにも近いところにいるもんだから……、血の気が引いていって……──
「──キャアアアァァァァーッ!!!」
「まっ、待てっ!!やっ、やめろこの暴力女っ!!」
私が叫びながら退魔護符を構えると同時にクレスさんも顔面蒼白になりながら制止を促す。だけど恐怖のあまりそんな言葉が耳に届いてない私は、そのままクレスさんに退魔護符を投げ付けてしまったのだった…。