08:酒に飲まれる系女子
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「た…大変だ…!」
開幕早々攻撃を食らった【名前】さんの様子を見ようと相棒を飛ばしたところ、現在大変な事が起こっていると把握した。急いでナワーブたちと合流しようと駆け出す私の肩に慣れた重みを感じ横を見ると相棒がいつの間にか帰ってきていたらしい。
「お帰り。大変なことになっているね。私たちもナワーブたちに合流して…」
そう言いかけたその時、目の前に【名前】さんがいた。そんな彼女はなんだかふらふらしている。
ーー……そういえば…、【名前】さんは今相棒と目を合わしてしまって……
そんなことを頭によぎらせた瞬間、【名前】さんは「しゅきれしゅ~!」と言いながらこちらに突進してきた。普段なら【名前】さんに懐いている相棒も、この時ばかりは嫌だと言わんばかりに震えながら両翼で私の頭にしがみつくように寄り添ってくる。だから私がすべきことは一つだった。
「お…落ち着いてください【名前】さん!」
相棒を守ろうと、そして正気でない【名前】さんをどうにか元に戻そうと立ちはだかった。しかし今しがた言った通り【名前】さんは正気を失っている。だから謎の押し問答が始まってしまった。
「しゅきれしゅ!しゅきなんれしゅ!」
「やめた方がいいですよこの子は!時間通りに餌を与えないとすごく怒りますし、たまにゲーム時でも言うこと聞きませんし!あと捕食中はなかなかえげつないですよ!」
「にゃら【名前】がほしょくしゃれましゅ~!」
「何言ってるんですかっ!?」
そんな謎の押し問答をしている内にバランスを崩してしまい、後ろ手をついて倒れてしまった。そしてなぜか私の視界が開け、頬を赤く染め虚ろな目を潤わせている【名前】さんが目に入ってきた。
ーー…しまった……。
【名前】さんの姿を捉えた私はそう思って冷や汗を一筋垂らした。というのも、私が正気でない【名前】さんの前に堂々と立ちはだかれたのは目を覆う布があったため目を合わすことがなかったから。しかし今はそれがなくなってしまっている。どうしたものかと冷や汗を垂らしてしまう反面、普段の彼女なら絶対に見ることができない顔につい見入ってしまっていたその時、「しゅきれしゅ~!」と言いながら【名前】さんは私の顔に抱きついてきた。
顔に抱きついてこられたものだから当然彼女の胸の感触を顔で感じてしまうわけで…。その感触を感じた瞬間、ツーと鼻の下を何かが伝った。
そしてようやく【名前】さんが体を離した瞬間、不幸にもナワーブたちがやって来た。…すごく軽蔑したような目をしながら。
「………そんな目やめてください…。」
「ならその鼻血やめろよむっつりスケベ。」
「うっわ、引いたんだけど。」
「見損ないました。」
否定しようとも開き直ろうとも待っているのは批難されるだけの未来が視えた私はトホホとうなだれる。だけど【名前】さんはそんな私の首に手を回して慰めるように抱きついてきた。
「【名前】はしょんなあなたれもひきましぇんよ。ろんなあなたれもらいしゅきれすから。」
「いや。誰のせいでイライがそんなことになってると思ってんだい。」
デミさんが冷静にそう突っ込んでいるけど、そのストレートすぎる言葉は私のツボを捉えていて、胸の辺りからキュンと音が鳴った気がした。だけどここで流されてはいけないと我に返り、熱を帯びてくる顔をふるふると振る。だけど【名前】さんの小悪魔的ともいえるその攻撃は止まってはくれない。
「らめ?【名前】じゃらめ…?【名前】になんてすかれたらめいわく…?」
「…………うっ…。………ち、違うんです、【名前】さん…」
「……【名前】、こっちのくにのおんなのひととちがってかみもめもくろくてくらくおもたくみえるし…、ことばもれいぎさほうもなってないし……、しょりゃらめれしゅよね…。」
「そ…そんなことないです。
【名前】さんを暗いだとか重いだとかだなんて思ったことはありませんよ。」
「れも…、あなたはいったじゃないれ……」
【名前】さんがその涙を滲ませた虚ろな目を少し見開いて何か言いたそうだったけど、もう私は耐え切れず彼女の手を両手で掴んで目を見据えた。
「生まれ育った故郷とは違うところで随分苦労したでしょう。なのにあなたは健気に言葉も文化もちゃんと学習して…。私はそんなあなたのことをいじらしくてかわい…「何流されてんだお前はアァァーッ!!!」
私が全て言い終わるよりも早く、後ろからナワーブが強烈な蹴りを入れてきた。それによって私は吹っ飛ばされ石に頭をぶつけてしまった。そうして意識を手放す直前、私に近付いてきた相棒が何だか蔑んだような目をしている気がした…。
「こんのむっつりスケベ…!」
「ウィリアムを見習いな!」
「あれ…?【名前】さんはどこへ?」
【占い師は流される】