08:酒に飲まれる系女子
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社交恐怖のため人との関わりをできるだけ避けたい僕は一人解読をしていた。
それにしても【名前】さん、開幕早々攻撃を食らっていたようだけど大丈夫だろうか…。
ちょうどそんなことを考えた時だった。少し先になぜかトボトボと歩いている【名前】さんがいた。
なぜトボトボ歩いているのかと少し気になるところではあるけど、彼女は牽制型だから撒くことができたのだろうと思い、ついでに顔を見させてもらおうと【名前】さんに近付いていった。
「【名前】さん、少し顔を…」
そう言って【名前】さんの顔を見た瞬間とても驚いた。
【名前】さんは頬を赤らめ虚ろにさせた目を潤わせている…。【名前】さんの惚けたようなこんな表情、普段の彼女からはとても想像できない。
「体調でも悪いんですか?」
そう声をかけると、【名前】さんはその虚ろな目で僕をしっかり捉えた。そしてふにゃっとしたどこか切なさを感じさせる笑みを浮かべながら僕を見上げてくる。
「…………れしゅ…。」
その目に、その笑みに鼓動が一瞬高くなった気がした。だけど気のせいだろうと思い、何と言ったのかと聞き返そうとしたその時だった。
「ダメだイソップーッ!!」
背後からしてきたその声に振り向くと、ナワーブさんが何やら必死の形相でこちらに向かってきているのが見えた。そしてナワーブさんの後ろには、バーボンさんとなぜか白無常さんも続いていて彼らもなんだか慌てた様子だ。今日は優鬼なのだろうか、なんて考えていると体に重みを感じる。だから正面に顔を戻すと、【名前】さんが僕の胸に顔をうずめるような態勢を取っていた。
「…【名前】さん?」
「しゅきれしゅ…。しゅきなんれしゅ…!しゅきしゅぎて【名前】こわれしょお…!」
「………………はいっ!?」
柄にもなく声を裏返して驚いてしまった。
いや、でも…、あの【名前】さんが異性である僕に「好き」だなんて言っているんだから、そうなってしまうわけで…。
「遅かったか…。」
混乱する僕の元へたどり着いたナワーブさんは背後でそう言っている。振り向くと頭を抱えていた。
「ど…、どういうことですか…?」
「【名前】は惚れ上戸なんだよ。私がうっかり酒を飲ましちまったせいで…。」
「とりあえず今の【名前】さんと目を合わすと惚れられます。」
「な…、なんですかそれ?」
説明らしきものを受けたけど全然理解できない。何かの冗談かと思ったけど、男性不信の【名前】さんが僕に抱きつくなんて芸当をできるわけがないから冗談でもなさそうだ。だからといって「惚れ上戸」なんて言われても余計に混乱してするだけで…。
でも【名前】さんはそんな僕に構わずふやけきった顔で僕を見上げると、体に力を込め押し倒す。そしてそのまま僕の体に馬乗りになってきた。
「もういっそのこと【名前】をこわしてくだしゃい…。もうあなたのことしかわかりゃにゃいくらいこわしてくだしゃい。」
「な…な…な…な……!?」
あの【名前】さんがこんな官能的なセリフを…?
そう思うと顔に熱が集まってくる。
「やっ、やめろコラ【名前】っ!!」
「イソップは社交恐怖なんだよ!」
「彼、ついに引きこもりになってしまいますよ!」
幸いというのか、ちょうど僕の背後にいる彼らからは僕の顔が見えていないんだろう。官能的な台詞を言う【名前】さんに顔を赤らめているところを見られなくてよかったとどこか安堵している一方で、【名前】さんのその虚ろになった真っ黒な瞳から視線を離せなくなっていた。
普段彼女がしている哀れな目には正直以前から魅力を感じていた。なぜならその目は何かに縋っているような哀れな目だから。だけど、今の虚ろな目はもっと素敵だと感じてしまう。
何を感じたらそんな目をできるんだろう…?
そんなことを考えてたらマスクの下では笑みを浮かべてしまいながら無意識に紅緒さんに手を伸ばしていた。
だけど次の瞬間、とてつもない痛みが僕の頭を襲った。
「すみませんイソップさん。でもこれだけ強く殴れば気絶できるので、他人が至近距離にいるこの現実から逃げられますよ」
「その手があったか。」
「ナイス白いの!」
どこがナイスなんですか。
そう言おうにも僕はもう意識を手放していた。
【納棺師は手を伸ばす】