08:酒に飲まれる系女子
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「しゅきれしゅ…。」
その一言に俺は衝撃を覚えた。
男性不信で男が近寄れば混乱するあの【名前】がこんな惚けた顔で男に「好き」だなんて言ってくる日が来るなんて…。しかもその男が俺なんて…。
そう思うと俺は思考回路がフリーズし、【名前】の放った舌足らずな「好き」という言葉だけが頭をぐるぐる駆け巡……
「ダメだ!!しっかりしろウィリアム!!」
ナワーブがそう叫んできて俺は我に戻った。
…そうだ!【名前】は惚れ上戸とかいう意味の分からねえ酔い方をするせいで誰彼構わず惚れて甘い言葉を言ってるだけだ!
そう思って沸き上がる何かをどうにか抑え込む。そして【名前】の華奢な肩を掴んで前後に揺さぶった。
「しっかりしろ【名前】!おめえの「好き」って言葉はこんなに軽いもんじゃ「しゅきーっ!!しゅきれしゅっ!!」
だが【名前】は、俺の話を最後まで聞かずに俺に抱きつくとそう言ってきた。だから俺は再び衝撃を覚えて固まってしまった。
「【名前】はあなたのことがしゅき…!
しゅきでしゅきで【名前】のあたまのなかはもうあなたでいっぱい…!あたまだけじゃなくてかららもあなたでいっぱいににゃりたいれしゅ…!」
………な…、なんつ―甘い言言葉を言ってくんだっ!しかもこれを耳元で囁いてくんだぞ!俺もう負けそうなんだけど…!
つーか、こんなに言ってくれてんなら別によくね?だって……ーー
ーー…って!いやいやいやいや!だからダメだって俺!うん絶対ダメだっ!
いいか俺!?このまま流されたら俺が恥をかくんじゃねぇ!【名前】が恥をかくんだ!!それは絶対にダメだろ!だから絶対に耐えろ俺!!
「そうだ!がんばりなウィリアム!」
「そいつは【名前】であって【名前】じゃねぇ!」
「【名前】さんの皮を被ったじゃがいもですよ。」
そうだ!ここで漢見せろ俺!流されるんじゃねぇ!あの健気でかわいらしい【名前】に恥かかせんのかてめぇは!!漢ウィリアムの名が廃んぞ!
つってもこんな抱きついてきたまま耳元で囁かれるだなんて状態じゃ俺もいずれ限界が来る…!
「お前ら…!早いこと【名前】の酔いを醒ましてくれ…!」
俺は沸き上がる何かと必死に戦いながらナワーブたちにそう願い出た。しかしあいつらときたら俺がそう言った途端黙り込みやがった。
「なあ…、どうやったら【名前】は治んだ?」
「よ、酔い醒ましとか…?」
「その酔い醒ましってどうやってするんですか?」
そう会話すると黙り込む3人…。
…ってェェーッ!!
「なんだよそれっ!!なんか方法があんだろっ!!」
俺は思わず叫ぶようにそう言った。
だがその間にも俺に抱きついている【名前】は攻撃の手を緩めてこねぇわけで…。
「ねえ…?【名前】、あたまもかららもこころももっとあなたでみたしゃれたい…。」
耳元でそう囁いたかと思えば【名前】は俺の耳にカプッ…と甘噛みしてきた。その瞬間、俺の頭に甘い電流が走った。
俺はこの瞬間、もう負けそうだった。
ーーもういいじゃねぇか。俺はよくがんばった…。据え膳食わぬは男の恥って言うじゃねぇか。
そう思う反面、漢ウィリアムがここで流されるわけにはいかねぇ!と漢気を出した俺が俺自身を奮い立たせてくる。だから俺を抱きしめてくる【名前】の腕をそっとほどく。だがついつい名残惜しく思って【名前】の肩に震える手を置いてしまった。
だが!意を決して【名前】に背を向けると力いっぱいボールを握りしめ壁に突進してやった…!
「「ウィリアムーッ!!?」」
俺の予想外の行動にナワーブとデミが揃って俺の名前を叫ぶ声が聞こえる。そしてこれ、予想以上に痛え…っ!
だが、こうして俺が気絶でもしてしまえば【名前】に流される心配はなくなる…!つまり「据え膳食わぬは~」とかバカなことを頭によぎらせた俺と【名前】が過ちを起こす心配はねえってことだ!
「あんた漢だよウィリアム!」
駆け寄ってきたデミがそう言う。そして少し先ではナワーブと白無常が目頭を押さえながら頷いている。
「ハハ……。当…ったり前じゃねぇか……。俺は……、俺はここで…、流されるわけにはいかねぇ…」
俺は目の前を霞ませながらデミにニヤリと笑ってみせてこう言った。なのに【名前】ときたら…、
「しゅきれしゅ~っ!」
そう叫ぶように言いながら頭上を飛ぶイライのフクロウを追いかけてってた。
……俺は、猛烈な痛みとショックで意識を手放した…。
「ウィリアム、お前の意思は引き継いだ…!」
「私たちが必ず止めてみせるからね!」
「大変なことになってきましたよ無咎。」
【オフェンスは貫いた】