08:酒に飲まれる系女子
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
解読が遅い俺がこれまた解読の遅いウィリアムとなぜか一緒に解読していた時だった。
「ちょっとあんたたちーーっ!!!」
そんな叫び声がしたもんだから声の方を見ると必死の形相でこっちに走ってくるデミの姿が見える。
「どうしたデミ?」
「トイレでも行きてぇのか?」
「違うよ!何呑気なこと言ってんだい!」
呼吸を整えるよりも早くそう怒鳴ったデミは少し呼吸を整えてから「【名前】に…!」と声を絞り出すように言うから俺はその言葉にぴくっと反応した。
だが、次の瞬間呆気にとられることになる。
「【名前】に酒を飲ませちまったんだよ!」
……………は?
こういうわけで俺は呆気にとられた。というのもデミの能力上別にそれはおかしなことではないからだ。
「酒を飲ませて回復させんのがお前の能力だろ。」
「まあマーサやヘレナだったらヤベェだろうけど、【名前】は童顔とはいえ成人済みだしな。」
俺たちがそう正論を言ったにもかかわらずデミはなぜか青筋をピキピキと浮かべている。
「わっかんない奴らだね!とにかく来な!」
そう言って俺たちの手を引きどこかへ連れて行った。
----------
俺は目の前の光景にそりゃ大変だと痛感した。
なぜなら…、男性不信で男が近付くだけで顔色を悪くするあの【名前】が、潤わせた目を虚ろにさせつつ頬を赤らめながら白無常にべったり引っ付いてるからだ。その顔はそう…、もはや欲情してるようにも見える…。
おまけにこの言葉…。
「しゅきれしゅ…。しゅきれしゅきれおかしくなっちゃいしょお…。
いえ………、あなたのためなりゃおかしくなってもいいれしゅ!」
「何言ってるんですか【名前】さん。しっかりしてください。」
呂律の回ってない舌で甘い言葉を並べる【名前】を見て俺は衝撃を受けすぎて思わず白目をむいた。ウィリアムに至っては白目を向いてる上に血の気を引かせてガタガタ震えてやがる。
そしてデミは頭を抱えながら「ごめん…」と一言言った。
「【名前】はね、惚れ上戸なんだよ…。」
「惚れ上戸…?」
聞き慣れねぇ言葉に俺は白目をむいたままデミを見てオウム返しをする。
「以前女子会をしてわかったんだけどね。【名前】は一滴でも酒を飲むと、男でも女でも動物でも石像でも絵でも目があるものと目が合えば何でも惚れちまうんだよ。」
「………は?」
いや…。説明を聞いたがやっぱり意味わかんねぇ。
「【名前】さんを追ってこちらへ来たらすでにお酒を飲まれてまして、私と目が合った瞬間からこの状態なんです。
先ほどからこんな惚けた顔で甘い言葉を並べられゲームになりません。どうか助けていただき「なアァァにが助けてだこのムッツリ無常ォォーッ!!!」
まだ困惑している俺に白無常が補足を話し出したが、言い終わる前にウィリアムが叫びながら突進してきた。
だがまあ、白無常は鼻につく野郎だから寸前でウィリアムの攻撃をかわしてたが、その反動で【名前】は放り出されていた。といってもその放り出された【名前】をウィリアムがしっかり掴んでいたが。
それにしても…ウィリアムの奴、なんであんなにブチギレてんだ?
しかも白目むきながら泣いてんぞ。あと鼻水汚え。
「しっかりしろ【名前】!!あんな不気味な笑い方する奴のどこがいいんだ!?」
そう言いながら放り出された【名前】を抱き起こすウィリアムを見て、白無常はニッコリ笑みを浮かべながら青筋を浮かべている。まああんな汚え顔してる奴に不気味なんて言われたもんだからムカついたんだろうな。
俺は相変わらず白目をむいたままどこか冷静にそう分析してると、横でデミが「ダメ!」と叫んだ。
「【名前】と目を合わしちゃダメだウィリアム!!」
しかし時すでに遅し…。
【名前】の目はウィリアムの目をしっかり捉えた。
「しゅきれしゅ…。」
頬を紅潮させながらウィリアムの目を見つめてそう言う【名前】。
そんなもんを見た俺はまた衝撃を受けてしまい、白目をむいたまま震えまで出てきやがった…。
【傭兵は震えた】