03:中止させちゃった系女子
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荘園での一日は早い。
ゲームをすればすぐ夜になる。
「いいもん飲んでんじゃねぇか。」
何人かの野郎共がむさ苦しくうまそうに酒を飲んでたから声をかけた。
……かけたら仲間に引きずり込まれたわけだが…。
「そういえば君のゲーム中止になったって?」
「ジョゼフがぎっくり腰になったって噂も聞いたな。」
ここってホント狭ぇのな。
そういう情報はすぐ流れる。
…ちょっと間違って流れてんけど。
「ぎっくり腰じゃなくて短時間で何回も脳震盪起こして気絶した。」
別に隠しておくべき話でもねぇから俺がそう言うとその場が爆笑に包まれた。
まあ確かに傍から聞いたらおもしれぇ話だもんな。
ただ……、
「【名前】の前でその話すんなよ。【名前】落ち込んでるから。」
俺がそう言うと何人かが殺気立った。
「あンのジジイ…!【名前】ちゃんに何しやがった!?」
「【名前】に何かしたんなら悪質タックル何回でも決めてやらァ!!」
「僕だって信号銃ばっかり見つけて打っ放しまくってやりますよ!!」
「やめてやれ。ジジイ死ぬぞ。」
俺たち男は【名前】にボコボコにされてるわけだが、誰一人として【名前】のことを悪く言う奴はいねぇ。
なぜなら【名前】は真面目で一生懸命で健気だからだ。
直接聞いたことはねぇが、日本国の片田舎に居たという【名前】は異国の男にそそのかされて10代の内に母国を出たらしい。
だがその後、その男には捨てられ異国の地で生きるため退魔師なんて胡散臭い商売をしてたんだとか。
正直自業自得だとは思うが、言葉も通じねぇ遠い地で苦労したと思う。
その証拠に【名前】は、未だにこの地の礼儀作法を勉強したり、わからない言葉を聞いたり見たりしたら自分で調べたりして自分の物にしようとしている。
俺たち男はバカだから、そんな努力を見かけたら例えボコボコにされようともいじらしく感じちまうもんだ。
あと俺の場合、言葉を覚えることの大変さもわかるしな…。
だから力になりてぇと思うんだが……
…難易度が高えぇ……。
「よォし。じゃあ俺は次ジョゼフに当たったらタックル30回決めてやる…!」
「もし僕とゲームが一緒になったらボールいっぱい見つけてきてあげますよ…!」
「僕は50回スタンさせてみようかな?」
「俺はこの縄で鞭打ちにしてやる…!」
やべえ…。
俺が一人考えに耽ってる内にえらいことになってやがる…。
ちなみにジョゼフはこの後「もうサバイバー怖い」とか言って3日程ゲームを休んだらしい。
【傭兵は考える】