03:中止させちゃった系女子
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「本当にごめんなさい…!」
マル姐が出て行ってすぐのことだ。ジョゼフさんが無事に目を覚ましたもんだから私は深々と頭を下げてひたすら謝っていた。
「もういいよ。これはそもそもそういうゲームなんだから。」
そんな私の謝罪に対し、ジョゼフさんは呆れたようにフゥとため息を吐きながらそう言ってくれている。そんな大人の対応に私は感動して思わず目をうるうると潤わせてしまった。だけど私のその顔はものすごくへんな顔になっていたんだろう、ジョゼフさんは私の顔を見るなり冷や汗を一筋垂らしながら困ったようにはにかんだ。
「……ま、まあつまり…、もう気にしていないから。
ああ、でもそうだなぁ…。せっかく考えてきた決め台詞はちゃんと最後まで聞…——]
「そうよ。気にしなくていいのよ【名前】。ハンターたちだって私たちのことをボコボコにしてくるんだから。」
「話を最後まで聞こうか君たち。」
出ていったはずのマル姐は医務室に戻ってくるなりジョゼフさんの言葉を遮ってそんなことを言っていた。そんなマル姐の言動にジョゼフさんは笑顔のままピキリと青筋を浮かべている…。でもマル姐ったら全然動じていない…。ジョゼフさんから怒りのオーラを受けても尚すました顔をしているマル姐を見て、マル姐ってきれいな顔してホント心が強いよなぁ…なんて思った。
「まあ一件落着ということで、せっかくだしお茶でもどうかしら?」
そんなことを思っていたらエミリーの穏やかな声が聞こえてくる。だから3人揃ってエミリーの方へ顔を向けてみると、エミリーはニッコリと朗らかに笑いながら木でできたおしゃれなおぼん…じゃなくてトレイを両手で持っている。その中には4つのティーカップといい香りを放っているティーポットがある。この香りから察するにそのティーポットに入ってるのは紅茶かな?
「君たちサバイバーと相容れる気はないけど、たまにはこういうのもいいかもしれないね。」
「せっかくだからチェイス中されたら嫌なこととか各ステージの逃げ込まれたくない場所とか教えてくれる?」
「あら。それは私も知りたいわ。」
「誰が教えるものか!」
どうにかハンターさんたちの苦手ポジを聞き出そうとするマル姐とエミリー。そして意地でも教えまいとするジョゼフさん。
ちょっとそれぞれの思惑があるお茶会って感じだけど、それなりに楽しそうにお茶を飲み始めていた。
そんな中私はボーと渡されたお茶の色を眺めていた。
「どうした【名前】君?」
「もしかして【名前】は日本国出身だからお茶といえば紅茶より緑茶だった?」
「あ、ごめんごめん。そんなわけじゃなくて…」
そう。渡されたお茶は紅茶。
もちろんそんなわがままのつもりでお茶を見てたわけじゃくて…
「実は紅茶も緑茶も元は同じお茶って聞いたことがあって、ホントなら不思議だなぁと思ってさ。」
「それは事実だが?」
私の話に乗ってきたのはジョゼフさん。
私はきょとんとしながらジョゼフさんを見た。
「元は同じお茶というのは同じ茶葉という意味だけどね。」
「へえ。そうなんだ。」
マル姐も一緒にそう驚いてみせたもんだから、ジョゼフさんはちょっと自慢げになり、謎に立ち上がって私たちの周りをくるくる回りながら話し始めた。
「なぜ同じ茶葉から別々のお茶ができるか。それは発酵の度合いによって変わるからだ。
発酵させていないものが緑茶、完全に発酵させたものが紅茶。更に緑茶と紅茶の間には青茶というものも存在する。」
「青茶?」
「中国茶で烏龍茶とも呼ばれているものだ。」
「へえ!すごい!お詳しいんですねジョゼフさん!」
話の詳細まで知らなかった私は長年不思議に思っていたことを知ることができて感動していた。
それにしても知識というのはふとした瞬間にためになるものなんだなぁ。
亀の甲より年の功とはこういうことなのかな?
私がそう感心してると、いつの間にか私の後ろに来ていたジョゼフさんは得意げに「そんなに感心したのかい【名前】君」なんて笑いながら私の肩に手を置い……
……
……
「イヤアアアァァァァーッ!!!」
男性に体を触られトラウマが爆発した私はとっさに持っていた熱々のお茶をジョゼフさんにぶっかけてしまった…。
ジョゼフさんはこの後「もうサバイバー怖い」とか言って3日程ゲームを休んだらしい…。
……私のせいだよね…?