03:中止させちゃった系女子
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モートンさんはついさっきまで頬を膨らませていたのに、急にいつもの笑顔に戻ってその場を後にした。そんな彼の背中を見送りながら僕はフゥとため息を吐い……
「カールさん。」
誰かが後ろから急に僕の名前を呼んできたから、僕は肩をビクッと揺らしてしまった。誰かと思って振り向いてみると、そこにはツェレさんがいる。
「そんな嫌そうな顔はやめてちょうだい。」
つい社交恐怖が出てそんな顔になっていたらしい。……自覚はないけれど…。
「【名前】に変な嘘吐いてたから文句のひとつでも言ってやろうと思ったんだけど…、逆に感謝するべきかしら?」
……変な嘘…。
…ああ、【名前】さんに言った「ツェレさんが大事な話があると言っていた」というアレか。
そう納得した僕はとりあえず「はぁ…」とだけ答えておいた。すると、その答えに満足したのかしてないのかはわからないしなぜツェレさんに感謝されるのかわからなかったけれど、僕の曖昧な返事を聞いたツェレさんは元来た道を戻っていった。
…まあ、とりあえずとして僕のしたことは間違ってなかったみたいだ。そう安心した。
【名前】さんがこの荘園へやって来た時、髪はボサボサで服はボロボロ、なんだか全体的に薄汚れていて年頃の女性がする出で立ちではなかった。
なぜ彼女はそんなことになっていたか。路上生活をしていたからだそうだ。そして路上生活をせざるを得なかったのは男性が原因とのこと。そのため近付いた男性には防衛本能が働いて反射的に攻撃してしまうようになったんだとか。
僕はそんな【名前】さんの力になれればなんて思ってたまに余計なお世話をしてしまう。さっきの嘘もゲーム中の注射器もそういうわけでしてしまった余計なお世話だ。
幸い…というのか、僕も社交恐怖なんてものを持っているから彼女が男性からされたくないであろうことはなんとなくわかってしまうし。だからこそ今日のゲーム前の待機室での出来事は彼女からしたら大変だっただろうななんて思っていた。…まあ思うだけで何もしてあげられずただただ見ていただけだったけど。
しかし…、なんで【名前】さんに余計なお世話をしてしまうんだろう…。
同じようなものを抱えているから…?
………なぜだろう?
【納棺師はわからない】