03:中止させた系女子
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モートンさんはついさっきまで頬を膨らませていたのに、急にいつもの笑顔に戻ってその場を後にした。そんな彼の背中を見送りながら僕はフゥとため息を吐いた。……その直後だった。
「カールさん。」
誰かが後ろから急に僕の名前を呼んできたものだから、僕は肩をビクッと揺らしてしまった。誰かと思って振り向いてみると、そこにはにっこりと笑っているツェレさんがいた。
「……驚かせてごめんなさいね。だからそうも露骨に嫌そうな顔はやめていただけるとうれしいわ。」
相変わらずにっこりと笑っているツェレさんはそう言う。ああ、なるほど。つい“社交恐怖”が出てそんな顔になっていたらしい。……自覚はないけれど。
「【名前】に何か嘘を吐いていたようだから少しお話したいと思ったのだけど……、むしろ感謝するべきよね。」
嘘──。……ああ、【名前】さんに「ツェレさんが大事な話があると言っていた」と言ったことだろうか。心当たりはあるもののいまいち確信を得られない僕は、とりあえず「はぁ…」と曖昧な返事をしておいた。するとツェレさんは、こんないい加減な返事にも関わらず納得してくれたらしくフフッと微笑んだ。その微笑みのまま「ありがとう」と僕にお礼を言ってから元来た道を戻っていった。
まあ、とりあえず僕は余計なことをしていなかったようだ。……【名前】さんにとって──。
【名前】さんがこの荘園へやって来た時、髪はボサボサで服はボロボロで、なんだか全体的に薄汚れていた。それは年頃の女性がするような格好では到底なかった。
なぜ彼女はそんなことになっていたか。路上生活をしていたからだそうだ。そして路上生活をせざるを得なかったのは男性が原因とのこと。そのため、近付いてきた男性には防衛本能が働くのか反射的に攻撃してしまうようになったんだとか。
僕はそんな【名前】さんに「余計なお世話」をしてしまっていることがある。さっきの嘘も、ゲーム中の注射器もそう。僕自身も“社交恐怖”なんてものを持っているから、彼女が男性からされたくないであろうことはなんとなくわかってしまう。だからこそ今日のゲーム前の待機室での出来事は彼女からしたら大変だっただろうななんて思っていた。……まああの時は、何をしてあげられるわけでもなく、ただただ見ているだけだったけど。
しかし……、なぜ彼女にそんなことをしてしまうのか自分でもわからない。確かに僕は、彼女のことも“救うべき対象”だと思っている。とはいえ……──、……なぜだろうか?
【納棺師はわからない】
