03:中止させちゃった系女子
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「安心して【名前】。短時間で脳震盪を何回も起こしただけよ。」
ジョゼフさんを診察したエミリーはそう言った。
あの後、ジョゼフさんは白目をむきながらピクピク痙攣させて気絶してしまったためゲームは中止となった。そしてサベダーさんによってエミリーの元へ連れてこられたんだけど…、「そんなもの投げるなぁ…!」とか「話を最後まで聞けぇ…!」などとうなされてるだけで起きる気配がない。そんなジョゼフさんを見ていたら思わず涙が浮かんできた。
「このまま起きなかったら…、どうしよう…!」
そして思わずそんな心配が口を衝いて出る。
だってジョゼフさんは若く見えるけどなかなかのおじいちゃんなんだ。なのに私がテンパって板当てまくったり退魔護符投げつけたり壁をぶつけたりとスタンさせまくっちゃったからこんなことになっちゃったんだもん…!
「気にすることないよ【名前】ちゃん。」
「そうよ。大したことないんだから直に起きてくるわ。」
「ジジイだから眠りが深いだけだろうしな。」
「怒られますよ。」
涙を浮かべながら罪悪感に苛まれている私を励ますために皆さんがそう声をかけてきてくれる。だけど、カールさんがちゃっかり失礼なことを言っていたサベダーさんに放った言葉を聞いた私は、何かがグサッと胸に刺さった。
「そうですよね…。怒られますよね…。こんなひどいことしちゃって…」
そう。気持ちに余裕のない私はカールさんがサベダーさんに放った言葉を自分に向けられた言葉だと勘違いしたためだ。だから、ゲームとはいえご老体にこんなひどいことをする私はダメな奴なんだと自虐しちゃって…ついつい涙が溢れ出てきた。そんな私を見たサベダーさんはなぜかカールさんの頭をパンっと叩いた。…部屋に乾いた音が響いた。
「ねぇ、ジョゼフさん…っ、怒ってくれてもいいです…っ、いいですから……っ、
だから…っ、どうか死なないでくださいジョゼフさあぁぁんっ!!」
そう言うと私は思わずうわああんと泣き出してしまった。
「待て。死んでねぇぞジョゼフ。」
「いや。というかすでに死んでますのでもう死にませんよ。」
サベダーさんとカールさんがそんなことを言ってる気がする。だけど…、どうせ私の罪悪感を減らすために妙な優しさをかけてくれてるだけだ…っ!どうせ私なんて…、私なんて…っ、
「ハンターさんたちをスタンさせてでも逃げまくる酷い奴なんだああぁぁぁっ!!」
「いや。酷いも何も、ゲームに勝つためにはそうしないといけないんですが。」
再び激しく泣き出した私にカールさんが冷静にそう言う。だけどそんな冷静にこのゲームの真理を言われると余計に辛い…!そんなわけで泣き止むどころかむせび泣き始めた私を今度はモートンさんが「落ち着いてよ【名前】ちゃん!」と少し慌てた様子で言ってきた。
「ね、よく考えてみて?ジョゼフたちハンターはウィリアムのあの強烈なタックルを何回も受けてるんだよ?」
「そ、そうよ!私は最初からこのゲームに参加してるけど、スタンで死んだハンターなんて見たことないわ!」
「いや。それ以前にハンターたちはもう死んでます。」
モートンさんに続いてエミリーもそう言ってくれるけど、もしジョゼフさんがスタンで死んじゃった初めてのハンターになったらどうしよう…!そう思ったら、ついには嗚咽まで出てきてしまった。
「ったく。しっかりしろ【名前】。」
そう言いながら私の背後にやって来たのはサベダーさんだった。そして私の肩にポンと手を置く。
「俺は今日、しかもこの短時間でお前に何回も攻撃食らったけど、この通りピンピンしてんぞ。」
肩に手を置かれたままそう言われハッとする。そして顔をゆっくりと上げてサベダーさんの方へ顔を向けた。
確かに今日私はサベダーさんに退魔護符に平手打ちにといろいろ失礼を働いた。なのにサベダーさんは全く持って元気……
……
……
………って、あれ?
「なのに、死んでからもしぶとく生き続けてるジジイがこんなことで死ぬわけねぇだろ。だからもう泣くな。」
な?と私に優しく微笑みながら語り掛けてくれるサベダーさん。
だけどその優しい微笑みを目にしながら私はだんだんと顔を青ざめさせていった。
「イヤアアアァァァァーッ!!!」
…思ったよりサベダーさんの顔が近くにあった。だから驚いた私はとっさにサベダーさんを力いっぱい突き飛ばしてしまった。
それによりサベダーさんはジョゼフさんに激突してしまい、ジョゼフさんから「ゴフゥッ!!!」という鈍い悲鳴が聞こえた…。