01:暴走しちまった系女子
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
手紙が来てから3カ月が経った。
怪しいけど魅力的だと感じてしまったあの手紙に、そそのかされるようにこの荘園まで来てしまったけど、あのゲーム以外は割と快適だ。温かい食事は3食出してもらえるし、毎日体だって清められる。おまけに毎日キレイな服を用意してくれるのだから。
それに、あの恐ろしいゲームだって立ち回りさえ気を付ければどうにかなるものだ。こちらは地獄の路上生活をしていたんだ。あの頃に比べればこの荘園での暮らしなんて暮らしやすいものだ!
今いる廊下の窓からは、心地のいい日差しが入ってくる。私は思わず、んーっと伸びをした。するとその時、曲がり角から何やらがやがやとにぎやかな声がしてきた。まもなくしてその声の主たちが目の前に現れて、思わずギョッとした。
「お!【名前】じゃねぇか!調子はどうだ?!」
「今日もかわいいね【名前】ちゃん。」
その声の主は、どうやら“オフェンス”のエリスさんと“カウボーイ”のアユソさんだったようだ。笑顔である彼らに対し、私は申し訳ない反面みるみる内に顔を引きつらせた。なぜならこのお二人、試合終わりなのかはたまたシャワー後で熱いからなのか、上半身が……、裸……──
「キャアアアァァァァーッ!!!」
私は諸事情により「男性不信」である。申し訳ないけれど、男性はとてもとても怖いのだ。そんな恐怖の対象である男性を、それも裸を見てしまったがために全身から血の気が引いていった。それと同時に思わず叫んでしまった私は、携帯していた「退魔護符」を咄嗟に手に取った。
「ちょ…待っ……グフッ!!」
「落ち着い…ゲフッ!!」
目の前にいるお二人がそう制止するのも無視して、私は「退魔護符」をそのまま投げつけた。それによりお二人は苦しそうにのたうち回ってるけど、混乱している私は更に退魔護符を投げつけた。
「どうしたんですか!?」
混乱する私の背後からそんな慌てた声がして、私はハッと我に返った。その勢いのまま振り向いてみると、“占い師”のクラークさんが随分と慌てた様子でこちらに向かってきている。恐らくクラークさんはこの近くで私のあの断末魔のような叫び声を聞いたんだろう。そして、私に何かあったのかと思って駆けつけてくれたんだろう。
……だろうけど。だろうけど、床に転んで苦しそうにのたうち回るこのお二人の様子を見て、自身が想像していたこととは違うと悟ったらしい。クラークさんはみるみる内に顔を青ざめさせた。
「おおお落ち着てください【名前】さん!!」
そして、咄嗟に私を危険人物と認定したんだろう。クラークさんは、叫ぶようにそう言うと、私を後ろから羽交い締めにして取り押さえ……
……
……
……って……──
──……羽交い締め……?
「イヤアアアァァァァーッ!!!」
「グフッ!!」
羽交い締めにされてることに気付いてしまった私はまたしても発作が出た。そして、今度はクラークさんにも「退魔護符」を投げつけてしまっていた。
そのせいで床で苦しそうにのたうち回っている人の数が増えてしまっている……。苦しそうなうめき声をあげながらのたうち回っている3人を目の前に……、……私は今更ながら自分がしてしまったことに恐怖して泣きそうになっていた。
………いや、泣きたいのはきっとこのお三方だろうけど。どうしたらいいんだろうこの状況……──
「──ちょっと、何の騒ぎ?」
泣きそうになりながら固まっていると、騒ぎを聞きつけたらしい誰かがやって来た。振り向くとそれは“空軍”のマーサだった。
「ってェェェェェ!!? 何コレっ!!?」
私が口を開くよりも早く、マーサは目玉が飛び出そうなほど目を見開いて驚きの叫び声をあげた。……なんせこの惨状だ、こうなるのは当然である。だけど……、余計に自分がしでかしたことを思い知らされて、ついに目頭に涙が溜まってきた。
とりあえずマーサになぜこうなったのかを伝えなきゃ! いつもの男性不信の発作が出てまたこんなことをしてしまったと伝えなきゃ! 混乱しつつもそう思った私は、マーサに駆け寄るなり涙ながらにこう言った。
「助けてマーサ…!」
……
……
………しまった…。
動揺しつつもこう思った。だって、主語もない説明もないこんな言い方じゃ、まるであの3人が悪いみたいになってしまうじゃないか……。そう思ってしまうと、罪悪感やら混乱やらが混ざり出し、挙げ句には嗚咽を漏らしながら泣き出してしまった。
こうなっては全てがうまくいかなくなってきた。声を詰まらせながら「違う……、違うの……」と説明を試みたものの、その後の言葉を続けることができなくて。マーサは「え~っと……」と大変困ったような様子を見せていた。
そんな状況でもマーサは頭をフル回転させ、これがどういう状況なのかを自分なりに考えてくれたらしい。だけど、その結果…──
「【名前】に何したのあんたたち?」
泣きじゃくる私を被害者だと断定したらしい。
私をかばうように抱きしめながら、ようやくむくりと起き上がってきた男性3人をキッと睨みつけていた。
「「「被害者こっちなんですけど。」」」
