Story of winter with西部(全2種)
「ただいま。はぁ~部屋の中は温かいな」
「おかえり。毎日ランニング欠かさない辺り、マメだねぇ」
「りっくん、おかえりなさい!みかんいる?」
「サンキュ。隣いいか?」
「うん。わっ、キッドさん!足伸ばし過ぎですよ!」
「え?俺は別に伸ばしてないけど」
「じゃあ、鉄馬さん?」
「…違う」
「キッドさんでも鉄馬さんでもないってことは、クッションか何か入ってんじゃないのか?」
「でも、温かいし動いたよ?」
「「「………」」」
「せ、せーので「ガウッ!」
「ひゃああああ!?ケルべロスくん!?」
「なんで泥門の犬がここにいるんだ!俺の妹に手出しはっ、ってすげぇ懐いてんじゃねぇかあああ!!」
「…お兄ちゃんも忙しいねぇ」
その後、りっくんが一走りして泥門に帰しに行きました。何処から侵入したのかは不明です。
「ガフォッ!グルル…!」
「ほうほう、キッドが居候中か。ケケケ、絶好のネタ拾ってきやがったな。ご褒美だ」
「またヒル魔くんは、何してるんだろ…嫌な予感しかしないんだけど」
「あれ?オシャレ代表が、やけに年季の入ったマフラー巻いてるじゃないの」
「これはアイツが小学校の時に、俺のために作ってくれたマフラーです」
「成程。そんな前から大事に使ってるんだね。心が籠ってる分、温かそうだ」
「そりゃもちろん!これ使ってる時に風邪引いたことないですから!」
「すごい効力だね。俺も作ってもらいた…いや、なんでもないよ」
「ええ。キッドさんはウエスタンのスカーフがあるから要らないでしょう」
「そうなんだけどさ、そのヒル魔氏に匹敵するほど恐ろしい顔はやめてほしいな」
「あ、いた!りっくんー!いい加減そのボロボロのマフラー使うのやめてよー!お洒落なストールたくさん持ってるくせに!」
「いいんだよ!俺は気に入ってるんだから!」
「じゃあ新しく作るから、もう少しマシなのにして!私がお裁縫苦手みたいでしょ!」
「だってこれ、手を傷だらけにしながら一生懸命作ってくれただろ。俺はその時の嬉しさを忘れたくないんだ」
「りっくん…!大好きー!」
「当然!」
「ああ、なんかこの子達見てるだけで温かいというか…暑いねぇ」
「…しかし、冬はこれからだ」
「暖を取るにはこの従兄妹の傍が最適、かな」
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