Sister×Sister
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「きゃっ!?」
勢いよく飛び出してきた車に驚いて、思わず持っていた袋を落としてしまいました。パックに入っていたサクランボは見事に飛び散り、大惨事です。折角綺麗なものを選んだのに~!と半泣きで拾い集めていると、近くにいた人がしゃがんで声を掛けてくれました。
「大丈夫?」
「は、はい!」
「勿体ないから、傷がついたのはお菓子用に使ったほうがいいよ。こっちは残念だけど、怪我しなくて良かったね」
そういって微笑んでくれたお姉さんは、とても可愛らしくてお姫様みたいで…思わず見惚れてしまいました。その間に、お姉さんは大半のさくらんぼを回収して袋に戻しています。い、いけない!ぼんやりしていた私が悪いのに、迷惑ばかり掛けちゃってます!
「本当にありがとうございました!お急ぎじゃなかったですか?」
「急いではいないんだけど、この辺りに来るのが初めてで迷っちゃって…金剛さんってお家知ってる?」
「はい。ウチですけど」
「…えっと、この近くでは多い苗字なのかな?有名な双子の兄弟がいるお家でね」
「うーちゃんとあーちゃんのことですね!私のお兄ちゃんですよ!」
「お兄ちゃんって…え!?雲水さんと阿含さんの妹さんなの!?」
「はい!妹の金剛愛です!」
お姉さんはとても驚いたあと、じっと私を見つめ始めました。わぁ、すごく綺麗な目!まつ毛も長くて、お人形さんみたいです!本当に何処かの国のお姫様なんじゃないでしょうか。こんな機会滅多にないですし、握手してもらったほうがいいのでは…!?
「こんなに可愛くて純粋そうな子があの二人…というか、阿含さんの妹だなんて…」
「どうかしましたか?」
「あ、ごめんね。私は水瀬花音です。別の高校でアメフト部のマネージャーをしているんだけど、用があってお兄さん達に会いに来ました」
「そうだったんですね!丁度帰るところだったので、ご案内します!」
「ありがとう。よろしくね」
にっこり笑った顔が、とても可愛いです。お姫様じゃないかと質問してみたら、冷たい表情で否定されてしまいましたけど。きっと何度も同じことを言われ過ぎて、疲れちゃったんですね。私もあーちゃん達のことを何度も聞かれるので、気持ちはよくわかります。
「お兄ちゃん達は、まだ帰ってないみたいですね。ここで待っててもらっていいですか?」
「うん。急にお邪魔したこっちが悪いから。愛ちゃんは予定とかなかった?」
「はい!ない、です…よ」
「やっぱり…ごめんね。用があるなら、そっちを優先してね」
「違うんです!その、サクランボがほとんど傷んじゃったから。花音さんが言ってたように、お菓子に入れたほうがいいのかなって」
「流石にこのまま食べるのは良くないからね。ジャムにしても美味しいと思うけど」
「でも私、お菓子とかほとんど作ったことないんです。もっとダメにしちゃうかもしれません…」
普段からお兄ちゃん達に「台所へは入るな!」と止められています。家庭科の授業だって普通にあるのに、過保護すぎると思います。練習もせずに上手くなる訳がありません。そんなこと出来るのは、あーちゃんだけなんですから。
わかりやすく落ち込んでいる私を見て、花音さんは携帯を取り出して何かをメモし始めました。
「お家にホットケーキミックスってある?」
「…?はい。あったと思います」
「それがあれば、簡単なケーキが作れるよ。サクランボのケーキにしてみよっか」
「お、教えてくれるんですか!?」
「台所を使ってもいいなら。なんて、いきなりお邪魔した上に図々しかったかな」
「そんなことないです!是非お願いします!」
それから、花音さんに教えてもらいながら、ケーキを作ることになりました。失敗しても丁寧にコツを教えてくれて、とてもわかりやすいです。ママより料理上手かもしれません。
可愛い上に優しくて、お料理まで出来るなんて!まさに女の子の理想そのものです!花音お姉さまとお呼びしたいです!
「はい。あとは20分後に様子を見ましょう」
「ありがとうございます!花音お姉さま!」
「…お姉さま?」
「え、えっと、その…!」
「どうせならお姉ちゃん、のほうが嬉しいかな。あんまり呼ばれたことないから」
「じゃあ、花音お姉ちゃん!」
「ふふ、愛ちゃんは可愛いね。私もお兄ちゃんだけだから、妹が欲しかったよ」
そういいながら、優しく頭を撫でてくれました。私も花音お姉ちゃんみたいなお姉ちゃんが欲しかったです!って言いたいけど、ドキドキして言葉になりません。本当にお姉ちゃんだったらいいのに…とウットリしていたら、玄関先から物音が聞こえてきました。あ!お兄ちゃん達が帰ってきたみたいです!
「阿含!女物の靴があったが、家に連れ込んでないだろうな!?愛がいるんだぞ!」
「わかってるっつーの。外でしか会ってねぇし、ンなヘマしねぇよ。そもそもヒールもねぇペタンコな幼稚靴履いてんなら、愛の友達だろ」
「ペタンコな幼稚靴で悪かったですね」
「君、は…」
「おいおい。なんで人ん家に上がってきてんだ。ストーカーかよ」
「妹さんに許可は得てますし、ウチの水町にした一件で話し合いに来ただけです。またバックレないように、自宅へお邪魔させていただきました」
「そりゃわざわざ「早速ですが、これが医療明細と領収書のコピーです。負担していただける割合については、そちらが8割負担ってことでいいですか」
「あ゛ー?あの金髪が俺に突っかかってきたから悪ぃんだろ。いいとこ6:4だ」
「避けるか抑えるかで済むのに、わざわざ関節を外して怪我させたんですよ。そちらが悪いに決まってます」
いつの間にか、玄関付近がバトルフィールドと化しています。バチバチと火花が散っています。いつものあーちゃんじゃない上に、花音お姉ちゃんもあんなに優しかったのに別人みたいです。つまり、とても怖いです。
オロオロしながら様子を伺っていたら、花音お姉ちゃんの包帯に気づいたうーちゃんが、二人を止めつつ間に入りました。
「それより、君は病院に行ったのか?」
「はい。軽い捻挫でした。自分に巻いたのが初めてで、大袈裟に見えるかもしれませんけど、大したことないですから」
「でも、巻くほど痛いんだろう?阿含のせいで女性に怪我をさせたんだし、その治療費もこちら持ちで構わないから!」
「いいんですか?念のため、もう一度来るようにと言われましたけど」
「悪化してたら困るだろう!寧ろ何回でも診てもらえ!」
「ありがとうございます。ちゃんと治ったら、報告させてもらいますね」
もう少しだけ身を乗り出してみると、花音お姉ちゃんがうーちゃんに紙の束を渡しているのが見えました。さっきからお金や症状について話し合っていますけど…ちょっと待ってください。うーちゃんはあーちゃんのせいで、って言いませんでしたか?お姉ちゃんの怪我はもしかして…
「花音お姉ちゃん!」
「うん?どうしたの?」
「あーちゃんが、お姉ちゃんに何かしたんですか!?」
「お、おい何言ってんだ。お兄ちゃんがそんなことする訳ないだろ?」
「うーん…利き手じゃないのが救いだったけど、まだ手首を曲げると痛む程度の怪我は負わされたかな?」
「そんな…!花音お姉ちゃんに酷いことするあーちゃんなんて嫌いです!!」
「っ!!?」
あーちゃんが崩れ落ちたのなんてお構いなしに、私は花音お姉ちゃんに抱き着きました。水町さん、って人のことはわからないけど、お姉ちゃんは確かに怪我をしています。ケーキを作ってる最中も痛そうにしてたけど、心配を掛けないように笑ってくれました。あーちゃんのバカバカバカ!ケンカか何か知りませんけど、女の人に怪我させるなんて最低です!
「心配してくれてありがとう。ちょっとごめんね…っと、はい激写」
「ま、まさか…」
「痛いのは本当ですけど、お二人とも妹さんに弱いんですね。いい収穫になりました。今のうちにヒル魔さんに送信しとこう」
「こんのクソ女ァ…!!」
「うわーん!いつものあーちゃんじゃない~~っ!!」
「愛ちゃんが怖がってますよ。あーちゃんさん?」
「てっめぇ…っ!!」
「諦めろ阿含。愛が彼女に懐いている時点で、負けは確定してる」
よくわからないけど、花音お姉ちゃんの勝ちってことになったみたいです。それから、あーちゃんは元に戻りました。あの鬼のような顔をしていた人と同じとは思えません。もしかしたら、悪い人に操られていたのかもしれません。この前見たロケットベアのアニメでそんなお話をしてました。一瞬だけ悪い心が暴走してしまっていたんですね…そうだと信じたいです。
「うん。ちゃんと火も通ってるし、いい感じに出来たね」
「すごいです!ケーキが出来ました!」
「とりあえず用も済みましたし、私はそろそろ失礼しますね」
「もう帰っちゃうんですか!?花音お姉ちゃんは食べないんですか!?」
「すぐ帰るつもりだったし、あまり長居するのも申し訳ないから」
「イヤです!花音お姉ちゃんと一緒に作ったのに、お姉ちゃんがいないなんて!みんなで仲良く食べたいです!」
「あの、本当にお二人の妹さんなんですか?突然変異でこんなに可愛い子が生まれたんですか?」
「よく驚かれるが、君ほどハッキリ言う人は初めてだよ」
このままだと、本当に帰ってしまいそうです。まだ話したいこともたくさんあるのに!私はお姉ちゃんの腕を引っ張りながら、必死に引き止めました。
「帰っちゃイヤです!ケーキ食べてからにしてください!もっと一緒にいたいです!」
「…自分の言いたいことを素直に言えて羨ましいな。ご迷惑でなければ、もう少しお邪魔させてもらってもいいですか?」
「ああ。構わないが、阿含もいて大丈夫か?」
「はい。雲水さんがいますから」
「っ、そうか。お、お茶を出すから待っていてくれ」
うーちゃんが顔を真っ赤にして、ドギマギしています。こんなお兄ちゃんを見るのは初めてです。花音お姉ちゃんがいると、いつもと違うお兄ちゃん達の姿を見られるので新鮮です。
そういえば、さっきのお姉ちゃんの寂しそうな顔…なんだったんでしょうか。我慢してることがたくさんあるんでしょうか。お姉ちゃんは優しい人だから、とっても心配です。
勢いよく飛び出してきた車に驚いて、思わず持っていた袋を落としてしまいました。パックに入っていたサクランボは見事に飛び散り、大惨事です。折角綺麗なものを選んだのに~!と半泣きで拾い集めていると、近くにいた人がしゃがんで声を掛けてくれました。
「大丈夫?」
「は、はい!」
「勿体ないから、傷がついたのはお菓子用に使ったほうがいいよ。こっちは残念だけど、怪我しなくて良かったね」
そういって微笑んでくれたお姉さんは、とても可愛らしくてお姫様みたいで…思わず見惚れてしまいました。その間に、お姉さんは大半のさくらんぼを回収して袋に戻しています。い、いけない!ぼんやりしていた私が悪いのに、迷惑ばかり掛けちゃってます!
「本当にありがとうございました!お急ぎじゃなかったですか?」
「急いではいないんだけど、この辺りに来るのが初めてで迷っちゃって…金剛さんってお家知ってる?」
「はい。ウチですけど」
「…えっと、この近くでは多い苗字なのかな?有名な双子の兄弟がいるお家でね」
「うーちゃんとあーちゃんのことですね!私のお兄ちゃんですよ!」
「お兄ちゃんって…え!?雲水さんと阿含さんの妹さんなの!?」
「はい!妹の金剛愛です!」
お姉さんはとても驚いたあと、じっと私を見つめ始めました。わぁ、すごく綺麗な目!まつ毛も長くて、お人形さんみたいです!本当に何処かの国のお姫様なんじゃないでしょうか。こんな機会滅多にないですし、握手してもらったほうがいいのでは…!?
「こんなに可愛くて純粋そうな子があの二人…というか、阿含さんの妹だなんて…」
「どうかしましたか?」
「あ、ごめんね。私は水瀬花音です。別の高校でアメフト部のマネージャーをしているんだけど、用があってお兄さん達に会いに来ました」
「そうだったんですね!丁度帰るところだったので、ご案内します!」
「ありがとう。よろしくね」
にっこり笑った顔が、とても可愛いです。お姫様じゃないかと質問してみたら、冷たい表情で否定されてしまいましたけど。きっと何度も同じことを言われ過ぎて、疲れちゃったんですね。私もあーちゃん達のことを何度も聞かれるので、気持ちはよくわかります。
「お兄ちゃん達は、まだ帰ってないみたいですね。ここで待っててもらっていいですか?」
「うん。急にお邪魔したこっちが悪いから。愛ちゃんは予定とかなかった?」
「はい!ない、です…よ」
「やっぱり…ごめんね。用があるなら、そっちを優先してね」
「違うんです!その、サクランボがほとんど傷んじゃったから。花音さんが言ってたように、お菓子に入れたほうがいいのかなって」
「流石にこのまま食べるのは良くないからね。ジャムにしても美味しいと思うけど」
「でも私、お菓子とかほとんど作ったことないんです。もっとダメにしちゃうかもしれません…」
普段からお兄ちゃん達に「台所へは入るな!」と止められています。家庭科の授業だって普通にあるのに、過保護すぎると思います。練習もせずに上手くなる訳がありません。そんなこと出来るのは、あーちゃんだけなんですから。
わかりやすく落ち込んでいる私を見て、花音さんは携帯を取り出して何かをメモし始めました。
「お家にホットケーキミックスってある?」
「…?はい。あったと思います」
「それがあれば、簡単なケーキが作れるよ。サクランボのケーキにしてみよっか」
「お、教えてくれるんですか!?」
「台所を使ってもいいなら。なんて、いきなりお邪魔した上に図々しかったかな」
「そんなことないです!是非お願いします!」
それから、花音さんに教えてもらいながら、ケーキを作ることになりました。失敗しても丁寧にコツを教えてくれて、とてもわかりやすいです。ママより料理上手かもしれません。
可愛い上に優しくて、お料理まで出来るなんて!まさに女の子の理想そのものです!花音お姉さまとお呼びしたいです!
「はい。あとは20分後に様子を見ましょう」
「ありがとうございます!花音お姉さま!」
「…お姉さま?」
「え、えっと、その…!」
「どうせならお姉ちゃん、のほうが嬉しいかな。あんまり呼ばれたことないから」
「じゃあ、花音お姉ちゃん!」
「ふふ、愛ちゃんは可愛いね。私もお兄ちゃんだけだから、妹が欲しかったよ」
そういいながら、優しく頭を撫でてくれました。私も花音お姉ちゃんみたいなお姉ちゃんが欲しかったです!って言いたいけど、ドキドキして言葉になりません。本当にお姉ちゃんだったらいいのに…とウットリしていたら、玄関先から物音が聞こえてきました。あ!お兄ちゃん達が帰ってきたみたいです!
「阿含!女物の靴があったが、家に連れ込んでないだろうな!?愛がいるんだぞ!」
「わかってるっつーの。外でしか会ってねぇし、ンなヘマしねぇよ。そもそもヒールもねぇペタンコな幼稚靴履いてんなら、愛の友達だろ」
「ペタンコな幼稚靴で悪かったですね」
「君、は…」
「おいおい。なんで人ん家に上がってきてんだ。ストーカーかよ」
「妹さんに許可は得てますし、ウチの水町にした一件で話し合いに来ただけです。またバックレないように、自宅へお邪魔させていただきました」
「そりゃわざわざ「早速ですが、これが医療明細と領収書のコピーです。負担していただける割合については、そちらが8割負担ってことでいいですか」
「あ゛ー?あの金髪が俺に突っかかってきたから悪ぃんだろ。いいとこ6:4だ」
「避けるか抑えるかで済むのに、わざわざ関節を外して怪我させたんですよ。そちらが悪いに決まってます」
いつの間にか、玄関付近がバトルフィールドと化しています。バチバチと火花が散っています。いつものあーちゃんじゃない上に、花音お姉ちゃんもあんなに優しかったのに別人みたいです。つまり、とても怖いです。
オロオロしながら様子を伺っていたら、花音お姉ちゃんの包帯に気づいたうーちゃんが、二人を止めつつ間に入りました。
「それより、君は病院に行ったのか?」
「はい。軽い捻挫でした。自分に巻いたのが初めてで、大袈裟に見えるかもしれませんけど、大したことないですから」
「でも、巻くほど痛いんだろう?阿含のせいで女性に怪我をさせたんだし、その治療費もこちら持ちで構わないから!」
「いいんですか?念のため、もう一度来るようにと言われましたけど」
「悪化してたら困るだろう!寧ろ何回でも診てもらえ!」
「ありがとうございます。ちゃんと治ったら、報告させてもらいますね」
もう少しだけ身を乗り出してみると、花音お姉ちゃんがうーちゃんに紙の束を渡しているのが見えました。さっきからお金や症状について話し合っていますけど…ちょっと待ってください。うーちゃんはあーちゃんのせいで、って言いませんでしたか?お姉ちゃんの怪我はもしかして…
「花音お姉ちゃん!」
「うん?どうしたの?」
「あーちゃんが、お姉ちゃんに何かしたんですか!?」
「お、おい何言ってんだ。お兄ちゃんがそんなことする訳ないだろ?」
「うーん…利き手じゃないのが救いだったけど、まだ手首を曲げると痛む程度の怪我は負わされたかな?」
「そんな…!花音お姉ちゃんに酷いことするあーちゃんなんて嫌いです!!」
「っ!!?」
あーちゃんが崩れ落ちたのなんてお構いなしに、私は花音お姉ちゃんに抱き着きました。水町さん、って人のことはわからないけど、お姉ちゃんは確かに怪我をしています。ケーキを作ってる最中も痛そうにしてたけど、心配を掛けないように笑ってくれました。あーちゃんのバカバカバカ!ケンカか何か知りませんけど、女の人に怪我させるなんて最低です!
「心配してくれてありがとう。ちょっとごめんね…っと、はい激写」
「ま、まさか…」
「痛いのは本当ですけど、お二人とも妹さんに弱いんですね。いい収穫になりました。今のうちにヒル魔さんに送信しとこう」
「こんのクソ女ァ…!!」
「うわーん!いつものあーちゃんじゃない~~っ!!」
「愛ちゃんが怖がってますよ。あーちゃんさん?」
「てっめぇ…っ!!」
「諦めろ阿含。愛が彼女に懐いている時点で、負けは確定してる」
よくわからないけど、花音お姉ちゃんの勝ちってことになったみたいです。それから、あーちゃんは元に戻りました。あの鬼のような顔をしていた人と同じとは思えません。もしかしたら、悪い人に操られていたのかもしれません。この前見たロケットベアのアニメでそんなお話をしてました。一瞬だけ悪い心が暴走してしまっていたんですね…そうだと信じたいです。
「うん。ちゃんと火も通ってるし、いい感じに出来たね」
「すごいです!ケーキが出来ました!」
「とりあえず用も済みましたし、私はそろそろ失礼しますね」
「もう帰っちゃうんですか!?花音お姉ちゃんは食べないんですか!?」
「すぐ帰るつもりだったし、あまり長居するのも申し訳ないから」
「イヤです!花音お姉ちゃんと一緒に作ったのに、お姉ちゃんがいないなんて!みんなで仲良く食べたいです!」
「あの、本当にお二人の妹さんなんですか?突然変異でこんなに可愛い子が生まれたんですか?」
「よく驚かれるが、君ほどハッキリ言う人は初めてだよ」
このままだと、本当に帰ってしまいそうです。まだ話したいこともたくさんあるのに!私はお姉ちゃんの腕を引っ張りながら、必死に引き止めました。
「帰っちゃイヤです!ケーキ食べてからにしてください!もっと一緒にいたいです!」
「…自分の言いたいことを素直に言えて羨ましいな。ご迷惑でなければ、もう少しお邪魔させてもらってもいいですか?」
「ああ。構わないが、阿含もいて大丈夫か?」
「はい。雲水さんがいますから」
「っ、そうか。お、お茶を出すから待っていてくれ」
うーちゃんが顔を真っ赤にして、ドギマギしています。こんなお兄ちゃんを見るのは初めてです。花音お姉ちゃんがいると、いつもと違うお兄ちゃん達の姿を見られるので新鮮です。
そういえば、さっきのお姉ちゃんの寂しそうな顔…なんだったんでしょうか。我慢してることがたくさんあるんでしょうか。お姉ちゃんは優しい人だから、とっても心配です。
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