赤羽くんの妹の場合。
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「ねぇコータロー、赤羽に妹がいるって聞いたんだけど」
「マジかよ!絶対スマートじゃねぇだろ!」
「ちょっと!会ってもないのに失礼でしょ!でもまぁ、気になるわよね」
小耳に挟んだ情報だけど、あの赤羽の妹…ねぇ?やっぱり変わった子なのかしら。でもあんな兄だからこそ、結構しっかり者だったり?
謎が深まるばかりだったから思い切って本人に聞いてみると、唐突にギターを弾き始めた。…いや、それはいいから。普通に答えなさいよ。
「フー…そんなに会いたいなら、今すぐ僕のミューズを呼ぼうか」
「「…ミューズ?」」
イヤ~な予感がするのはアタシだけじゃないみたいね。でも、文芸や音楽の女神の名前を出すくらい、綺麗な子なのかしら。そんな疑問を抱いてる間に、思ったより早く小柄な女の子が赤羽に詰め寄ってきた。
「~っ!一体なんなのよハヤ兄!学校の中で会いたくないって言ってるでしょ!」
「紹介しよう。妹の愛だ。僕のミューズで「ミューズいうな!!」
想像とは違ったけど、髪がふわふわしていて可愛らしい子だった。でも、兄妹揃って赤髪赤目なんて、一体どんな家系なのよ。赤羽に文句言ってる辺り、あまり仲は良くないみたいだし。
「えーと、愛ちゃん?アタシは沢井ジュリ。よろしくね」
「佐々木コータローだぜ!よろしくー!」
「あ、はい。存じ上げております。いつもバカな兄がお世話になってます…!」
「「いや、ホントに」」
「………」
さっきの態度と違って、深くお辞儀をしてちゃんと挨拶もしてるし、根は真面目そうだった。良かった。どうやら赤羽にだけキツくいってるみたいね。確かに、あれくらい威勢よくいかないと張り合えなさそうだけど…
「つーか、お前もすげー色だなー」
「…このバカ兄に染められたんです」
「フー…愛は黒髪より、こっちの方が似合うからね」
「それに加えて目まで赤くする必要ある!?ホントばか!ばかハヤ兄!!」
「なんていうか、ご愁傷様ね」
なんか赤羽が一方的に愛ちゃんを可愛がっていて、それをかなり迷惑そうにしている気がする。嫌なら嫌っていえばいいのに…と思いつつ、ふと視線を外すと、愛ちゃんの髪飾りが目に留まった。少し欠けたり汚れているから、随分前から使ってるのかしら。
「その髪飾り、可愛いわね」
「え!?これは別にっ」
「僕が誕生日にあげた髪飾りだ」
「は、ハヤ兄に貰ったから大事にしてる訳じゃないからね!デザインが気に入ってるだけだしっ!」
そういって、彼女は髪色と同じくらい真っ赤になってそっぽを向いた。ああ、そうなの。なんだかんだ仲いいのね…とニヤニヤしつつ様子を窺っていると、赤羽が急に割って入って来た。
「ちなみにこのピアスは、愛が去年のMVP記念にくれたものなんだ」
「へー優しいのねぇ」
「そんなんじゃっ!まさか取れると思わなかったから!仕方なく!」
「嘘をいうな愛。発表を聞いて嬉し泣きした後、何時間も掛けて選んでくれたじゃないか」
「ななななんで知ってんのよー!!」
愛ちゃんはまた「ばかハヤ兄ー!」と喚きながらポカポカと赤羽を叩き、叩かれてる本人は余裕で受け止めながら微笑んでいた。赤羽って…意外に笑うのね。なんかバカップルを傍観してるみたいだわ。だんだんアホらしくなっていると、コータローが愛ちゃんに向かってビシッといつものポーズを決めた。
「赤羽の妹、ツンツンしてるようで可愛いとこあんじゃねぇかー!」
「か、かかかかわっ!?」
「…コータロー、僕はお前にお義兄さんといわれる気はないよ」
「なんでそこまで話が飛躍してんだよ!可愛いっていっただけじゃねぇか!」
「わぁあああハヤ兄どうしよう!可愛いっていわれたよー!」
「僕が毎日いってるじゃないか」
「ハヤ兄とは違うの!」
「フー…やはりお前とは音楽性が合わないな」
「なんなんだよ!!」
赤羽は急に愛ちゃんの前に立ち、ガードを固めてきた。でも、可愛いのに言われ慣れてないなんて意外ね。もしかして、赤羽のせいかしら。
…いや、もしかしなくてもそうでしょうね。無駄に強いし、このビジュアルだけでも相手がビビりそうだもの。
「あの…さ、佐々木先輩と沢井先輩は付き合ってるんですか?」
「あー違う違う全然違う!なんでこんなやつと!無理!」
「おいジュリ!流石に傷つくぜ俺も!」
「そっか。良かった…」
「つーか余所余所しいなー!コータローでいいって!」
「こ、コータロー!」
「ぶはっ!流石に先輩は付けとこうぜ!まぁ、スマートでいいけど!」
コータローがニカッと笑うと、愛ちゃんは一気に耳まで赤くなった。お、これはもしやコータローといい感じ…?と交互に見つめていると、赤羽がまたも割って入って来た。
「待て愛、僕は無理だ。コータローとは音楽性が合わないといっただろう」
「ハヤ兄は関係ないじゃない!」
「関係ある。こいつはキックとスマートしか興味がないバカだ」
「おい!!もう少しなんかあるだろ!!」
「いや、大体合ってるわよ」
「だから!私の勝手じゃない!邪魔したらギター壊すからね!」
「そういいながら、一度も壊したことがないくせに。本当に可愛いな僕のミューズ…」
「た、高いから躊躇してるだけだし!ミューズっていうな!」
「それでも止めないなら、身長を気にして厚底しているのをバラし「わぁああああバカ兄いいいい!!!」
とりあえず、愛ちゃんにいいたいことは一つ。コータローでも別の人でも、そのお兄ちゃんをどうにかしないと当分恋は無理ね。
でも、愛ちゃんも兄離れする気はないんじゃないかしら。なんだかんだ仲良さそうだし。赤羽のシスコンぶりが異常だけど、貴女も相当じゃない?
「愛、今度の試合の日程表だ。練習試合だから僕も出るよ」
「ホント?じゃあ絶対応援に…あ、いや、行ってあげてもいいけどっ」
「ルールや進行がわからなかったら、ジュリに聞くといい」
「もうとっくに覚え…じゃなくて!負けたら許さないんだからね!」
「フー…僕の愛らしいミューズがいる限り、負ける気はしないね」
“ギュイーンッ”
「「何この兄妹…」」
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あとがきで簡単な設定→
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