進くんの妹の場合。
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「へー進って妹いるんだ」
「ああ。いつも弁当を作ってくれる」
「お弁当を!?そりゃすごい子なんだね…」
朝練の途中、珍しく進からプライベートな話が聞けた。あの進に妹がいて、お弁当まで作ってくれてるらしい。何回か見たことがあるけど、それはもうお店に売ってるような完璧なお弁当だった。
進の妹、か。きっとしっかりした感じの子なんだろうな。そう思いながらタオルを取りに行くと、小さな女の子が出口付近をウロウロしていた。150cm…あるかないか。一年生の子かな。誰か探してるんだろうか。
「どうしたの?」
「あっ、あの、お兄ちゃんを探してて」
綺麗なソプラノの声。お人形みたいに可愛い子が、俺を見上げていた。う、わぁ…可愛い!芸能界入った頃に色んなモデルの子を見たけど、引けをとらないくらい可愛い。思わず頭撫でたいくらいだ…って、そんなことしてる場合じゃない。この子のお兄ちゃん、って誰だろう?
「君、名前は「愛?」
「あ、お兄ちゃんっ!」
愛ちゃん、というらしい。その“お兄ちゃん”の元へ駆け寄って行く。うん。おかしいな。おかしい…な?あの子、進の方へ向かって…あ、抱き着いた。もしかして、もしかしなくても…あの可愛い女の子が、進の妹!?
「せじゅろーお兄ちゃん!お弁当忘れてたよっ」
「清十郎だ。…そうか。俺としたことが」
「ちゃーんと残さず食べてね!」
「俺が残したことがあったか?」
「ふふ、ないでーす」
愛ちゃんは進のことが大好きみたいで、ずっとぎゅうぎゅう抱き着いてる。進も相変わらず…と思いきや、頭を撫でてる!あの進が!女の子の!いや妹相手だけど、かなりレアだ!
そうこうしているうちに、近くにいた高見さんや大田原さん達も一体何事だ、と集まって来た。
「すみません。妹が入ってきてしまって」
「いや、構わないけど…進の妹君、名前は?」
「し、進…愛です。1年生です」
「そうか。わざわざ中等部から…偉かったね」
「…?愛は高等部ですが」
「……え?」
「は?」
「へ?」
「以前は女子中学校で、今年から高等部に入りました。マネージャーの若菜と同じクラスのはずです」
……幼く見えたし俺も勘違いしてたけど、中1じゃなく高1らしい。愛ちゃんは勘違いされたのが不服らしく、ぷくーっと頬を膨らませている。拗ねてても可愛いなぁ。
「ご、ごめんね?可愛いから、ついね!」
「ばっはっは!ちゃんと食わないから大きくならないんだ!」
「愛はきちんと摂取していますが、残念ながらあまり変化が見られません」
「お、お兄ちゃん!傷つくからやめてよー!」
「うーん…進のほうに成長要素がいっちゃったのかな?」
「いや、でも可愛いじゃなっ、があああ!?」
「「猫山あああああ!!?」」
愛ちゃんの頭を撫でようとした猫山相手に、何故か進のスピアタックルが炸裂した。ちょ、進!なんで!?今その技使うとこ!?驚いてる俺達とは遅れて、進がハッと自分の手を見つめた。
「…すまん。手が勝手に」
「そんな無意識にスピアタックルされたら、俺達持たないよ!?」
「うーん…恐らく、愛ちゃんに触れられるのが嫌だったんだろうね」
「そんな理由でですか!?」
無意識らしいけど、愛ちゃんへのガードは相当固いらしい。うわー俺さっき撫でなくて良かった。でも、思わず撫でたくなるくらい可愛いんだよなぁ…
「お前ら、練習はどうしたッ!!」
「「「「「す、すみません監督…!!」」」」」
「あ、ショーグン先生!」
「ん?なんだ。愛も来ていたのか」
「監督は、彼女が進の妹だって知ってたんですか?」
「まぁ、この名字は校内に二人しかいないからな。ほら、飴をやろう」
「わーい!」
「「「「「!?」」」」」」
「監督。愛を甘やかせないでください」
「いや、つい孫のようでな…」
あ、あのショーグンすらべたべたに甘やかしてるなんて…!進の妹恐るべし!
結局その後、愛ちゃんは少しだけ見学をすることになった。進のベンチプレス記録が上がったのは、日頃の成果以上に、もしかして…
「お兄ちゃん!せーじゅろーお兄ちゃん!」
「愛、清十郎だ」
「清十郎お兄ちゃん!」
「…よし」
それからたまに、愛ちゃんが進の忘れ物を届けに来た。気のせいか少しだけ、ほんのすこ~しだけ進が微笑んでいるように見える。進はわざと忘れ物しているんじゃないかと思えてきたけど、そんなまさか…ね?
「ちなみに愛ちゃんって彼氏いっ、ぐへええ!!」
「ああああだから進!容赦ないなぁもう!!」
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