15.鍵と保護者
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『『『『『カノン、ヒサシブリーー!!』』』』』
「こんばんは!みんな、久しぶりだね!」
最近は、ネットを繋げば簡単に交流出来るから便利だ。画面越しで話しているのは、アメリカへ行った時に出会った友達。道に迷ってしまった私をパンサーくんが助けてくれて、日本人だとわかると日本好きのワットくんが興味深々で…その後、NASA高校のみんなと仲良くなった。
彼らは試合のため、先日から日本に来ていたらしい。何故かパスポートを紛失されて、今富士の辺りにいるとか。全員の顔は映らないけど、「フジヤマ!フジヤマ!」ってはしゃぐ声が聞こえる。みんな浴衣もよく似合ってるし、初めての日本を満喫してもらえているようで嬉しい。
『カノンは、フジヤマ、のどこ?いるの?』
「あはは、別に富士山に住んでないよ」
『But it is near because it is same Tokyo?』
『“でも同じトーキョーだし、近いんだろ?”ってホーマーがいってるよ』
「え?いや、富士にいるならそっちは静岡だよ。There is not Tokyo(そこは東京じゃないよ)」
『『『『『What(何だって)!!!?』』』』』
「…富士山は、東京にないからね」
NASA高校は結構、頭良いはずなんだけど…流石に日本の勉強まで追いついてないのかな。第一、ワットくんも勘違いが多いし。出来る限り私が、ちゃんとした知識を教えてあげないと…
『でもまさかカノンが、カケイのチームのマネージャーになるとはね』
「え?駿く…筧くんを知ってるの?」
『フェニックス中と練習試合をしたことがあるんだ。あのハンドテクニックには、完敗だったよ』
「ふふ、ウチの筧くんはすごいでしょー!」
『…She is like an enemy over there, and I hate it!(カノンが向こうの敵みたいで、なんか嫌だ)!』
『OK!Let's smash KAKEI!(よし!カケイってやつ潰そうぜ)!』
「な、なんか英語で怖いこというのやめて!」
ホーマーくん、潰す的なこといってなかった!?確かにそういうプレイもあるけど、悪意を感じる。仮にもし試合することになっても、駿くんに攻撃が集中しないことを祈りたい。
「…でね、ごほ…ごほっ」
『カノン!?風邪引いてる?』
「大丈夫だよ。少し…喉が痛い、だけだから」
『really(マジで)!?だいじょぶ、なの!?』
『そういう時、日本ではネギを首の後ろに差すんだよね!』
『What is it(何それ)!?カタナっぽい!』
「…巻くと思うな。やったことないけど」
苦笑しながら間違いを正していく。でも、私が具合が悪いと知ると、改めて連絡し直すと言われてしまった。そんなつもりはなかったのに心配掛けちゃったかな。
「あ、パンサーくん!」
『え?俺?』
「初試合おめでとう!今度は生の試合を観に行きたいな!」
『えーと翻訳は…Congratulations on the first game!I want to go to watch a live game this time!』
『…っ、OK!I prepare a special seat!』
『“特等席用意する!”って。カノン、オオゴトにね!』
「…お大事に、かな。オオゴトにも読めるけど。ありがとう」
それを最後に、一旦通信は切れてしまった。この段階でまだ、エイリアンズからシャトルズに変わってないし、正式な選手じゃなかったんだけど…私の気持ちに嘘はなかった。ずっと彼の試合を観たい、って思ってたから。この前の試合も、誰かにビデオを借りて観てみたいな。
「ごほっ…はぁ。折角、久しぶりに話せたのに」
同じ国内だからか、いつもより映像も声もはっきりしてて嬉しかったんだけど…また元気な時にお話ししよう。私も早くお風呂に入って寝なきゃ。
「けほっ、ごほ…はぁ…はぁ…っ」
簡単に入浴は済ませたものの、さっきより酷くなってきたかもしれない。なんだかぼーっとしてきた。薬、何処に閉まったかな。喉スプレーとか薬とか…確か、食器棚の……探している途中で視界が揺らいで、そのまま意識が遠退いた。
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